シノブとキスの災難
ちょっと百合っぽい描写とか、タエシノブがヒーローじゃないお相手といい感じになったりします。
気温が低くなりつつある。アーベント王国北方ヴェーヌスは秋を迎えた。
街では領民たちが収穫祭に向けて活気付いている。やっぱりどこの国でも、作物を育てるところは恵みを祝うんだね。
けど、塔にお籠りする魔術師たちはそんなことどうでもいいみたいだ。
アーベント王国が誇る王立学院魔術科の誇るべき教授たちは、今日も今日とて研究室で陰気に何かをやっています。
どこかでは爆発が起きたり、どこかでは弟子を巻き込んで集団で妙な踊りを踊って何かの儀式を再現する教授もいるので、塔を下から上に登る間にも騒ぎに飽きることはない。最近ではよくこれだけ乱痴気できるもんだと感心する。
唯一人畜無害なのは最上階の天文台に住む占星術の教授くらいだ。大人しすぎて逆に御歳百を超えた教授がちゃんと息してないとかしてるとかで大わらわしたりする。
そして私はというと、今日も今日とてエメリヒ・ローゼンシュティール教授の研究室に日参しています。
「ですから、水晶はそんなにいりません」
「機材を惜しんでいるだけだろう」
「いいえ! あのですね、ちゃんと説明しますよ? 水晶が壁に投影する大きさと講堂の大きさを計算しました。ゴルト講堂は円形でなく四面の壁。そして壁面はだいたい縦5メートルの横25メートルです。水晶1個で十分な大きさです。たとえ四面全てに投影するとしても水晶は四つが最大で、それ以上は余計です。ああ、もし天井にも使いたいということなら、五つですかね」
日々の応酬で私の話し方もだいぶ嫌味っぽくなってきた。
陰険教授は長い指で小さな顎をつまみ、フンと鼻を鳴らす。
「なるほど、一理あるな。では五つだ」
「ご理解いただけてとっっっても嬉しいです」
かなり遠回しにもっと早く自分で気付けと答えた。魔術に対してだけ頭を使いすぎてるせいか、教授もときどきトンチンカンな注文をすることがある。
「師匠の作る魔法陣は精巧で美しいから弟子たちには必ず見せたい」って360度全面に水晶360度で投影する必要はないし。
あと最初の頃「羽根ペンを生徒の人数分用意しろ」ってうっかり真に受けて注文しかけたらテオさんにこってり絞られたこともあった。羽根ペンは各自で用意するもの!
美しきスペルクラフトマスターは妙な顔をした。一つ咳払いして、腕を組む。
「ところで、お前の方はどうなんだ?」
「は?」
突然の世間話にドスのきいた返事する気持ちもわかってほしい。
嫌いゲージMAXの相手と会話を長引かせたいと思う? さっさと出ていきたいのに何を言いだすんだ。
けど相手は上司。私はだいぶボロボロの猫をかぶり直して謝る。
「す、すみません。何のことですか?」
「魔術のことだ。お前のその垂れ流しの魔力をちゃんとコントロールする術を学んでいるのか?」
「ああ……」
「ああ、じゃない。どうなんだ?」
「いえ。ルートヴィヒ様からは教師を選んでいる最中だと」
「いつになるかわからないのか?」
「はあ……」
私に言われても。こちらとあちらでは常識が違うため、教え方も柔軟に対応してくれる人でないとっていうルートヴィヒ様の考えあってのことだ。
「仕方ない。ルートヴィヒには私が話をつけておく。来週から、そうだな……週二回。夕方にこの部屋へ来るように」
「嫌です!」
とっさに本音が出た。
ローゼンシュティール教授の麗しいお顔が険しくなる。美形が怒ると怖いっていうけど、もう見慣れたもんだ。怒っている顔でさえも整っているんだな〜とか心の中で無味乾燥なことを考えた。
「なんだと?」
「あっ〜、えっと。教授はただでさえお忙しいでしょうから……」
「そんなものは苦にならない。第一『旅人』に見える機会が次いつ訪れるかわからないのだからな」
「……」
そう、私以外にも『旅人』は存在するけど、どこでも手放したがらない貴重な人材なのだ。
魔力に知識、そして技術。自分じゃそんな価値があるようには思えないけど、ルートヴィヒ様も私がヴェーヌス領から出ることを禁じていた。
表向きは私がこっちの世界を覚えるまで保護するため。でも本当は金の卵を産むかもしれない鶏をおいそれと外に出すつもりはないってこと、社会人に片足突っ込んでる今なら何となくわかる。
なるほどね、陰険根暗教授にとっては私は珍しい研究対象、モルモットってわけね。私は腕を組んだ。
「それに関しては、私は拒否権があると思います」
「拒否権だと?」
「はい! 私は学院の事務員ではありますが、私が魔術を教わることは別問題、私の個人的な問題です。だからどの教師に教わるか、ルートヴィヒ様の打診はあっても最終的に決めるのは私です」
「……自分の言っている意味がわかっているのか? 初歩も初歩、魔術に関しての基礎を学院の、しかも教授であるこの私が直々に教えてやろうというんだ。何の不満がある?」
不満だらけだよっっ!!!!! とは言えず、私はちらりと後方確認した。
脱出路よーし。ジリジリと後ろに下がりながら、胸を張って答える。
「私は褒められて伸びるタイプなので! 教授に無能だ愚かだ何だと言われながら教わってもちーーーーーっとも覚えられる気がしません!! では失礼しました!」
「おいっ、まて!」
待てと言われて待つ馬鹿がいるかよ! 木の扉まで後退りして体当たりするように開けると、そのまま反転して逃げた。
逃げ足には自信はないが教授は超インドアなのでやつが追いかけてきてもあっちが先に息切れして走れなくなるのが先だろう。そして見よこの足さばき! 何度もあの研究室に登ったり降りたりするうちに下りだけはめっちゃ早く降りれるようになったのだ。ダダダダダ、と激しい足音にすれ違う学生が驚いて飛びのく。ごめんね、ありがとよ!
十数階分の階段を降りきって、中庭に差し掛かった。
「きゃっ!」
「おぐぅっ!」
勢いよく何かにぶつかって吹っ飛ばしてしまった。私も尻もちをついて、したたかにお尻を強打した。
「いてて、あっ、す、すみません!」
とっさに自分が女の子とぶつかったことはわかった。
悲鳴とぶつかった身体の感触からして、私よりもだいぶ細身だったように思う。
慌てて起き上がり、自分についた泥汚れも気にせず向かいに倒れた人影に駆け寄った。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
「あ、え、ええ……」
相手はとても華奢な女の子だった。ゆるく巻いた銀髪がふさりと広がり、肩を覆っている。
地面についた手は頼りなげで、どこか怪我していないか心配になって彼女の傍に膝をついた。
「本当に、ごめんなさい。怪我とかしていませんか?」
「ええ、たぶん、ないと思うわ……起こしてくださる?」
そう言って彼女は腕を差し出してきた。
上等な仕立ての刺繍入りの袖だ。上にマントを羽織っていたお陰か、大して汚れはないように見えた。手も擦り傷を作っているところはない。ホッとして言われるまま引っ張り起こす。
向かい合うようにして立つと、自分の目線より少し下に小さな白い顔があった。卵型の輪郭に、大事にはめ込んだような整った鼻や唇。そしてきらきらと潤む緑の目。とんでもない美少女だった。森の妖精だと言われても信じられる。
「本当に怪我はない?」
「どこもひねってもないし、擦り傷もないわ」
「でも……本当にごめんなさい」
「悪いと思っているなら、今度からはこんなところを走らないでちょうだいね」
「はい……」
どうかしてた。こっちの世界に慣れてきたつもりで、気が緩んでた。物語の主人公にでもなったつもりだったのか、馬鹿だった。うなだれて頷く。
「怒ってないから。顔を上げて」
細い指先が私の顎を持ち上げた。視界に銀色の長い睫毛で縁取られた緑の目が大写しになる。
その近さにたじろぐ前に、柔らかい感触が唇にかぶさった。
「ふふ……これで無礼を許すわ」
芳しい吐息が離れ、少女は天使のように微笑んだ。
自分の身に起こったことが理解できずに私はポカンと口を開ける。
さっきまで触れられていた指先が今度は彼女のふっくらした唇をなぞっているのを見て、羞恥で顔から火が出そうになった。
私の動揺に満足そうにふふっと笑い、彼女はその場を後にする。
「なっ、な、な……」
私はしばらく動けなかった。
今までキスしたことがなかったわけじゃない。けど女の子とキスなんてしたことがなかったし、悪いことをキスで帳消しにしてくれるなんてトンデモないし、経験したことがなかった。
ある意味ファーストキスかも。
なんか色々奪われた気分だった。
やっと正気を取り戻して助手課に戻ると、みんな束の間の休憩を取っていたらしい。
「おかえりシノブー」
デスクの前でひらひらと手を振るのはいわゆる私の同期、ユリアンだ。
商家の次男坊だとかでこの間まで学院の商科の生徒だったらしい。実家に戻って家業を手伝うまでの経験を積むためにここにいる。そばかす顔が健康的な青年だ。私と歳も近い。気安い名前呼びとか手を振る仕草とか、どこかチャラいところがある。交友範囲が広くて業務に上手いこと人脈使ってるところがなかなかのやり手だ。チャラさも馬鹿にならん。
「おかえりなさい、シノブさん」
ユリアンの隣に立っているのは魔術科のローブを羽織った教授。ハーラルト・ギレス。
金髪に鳶色の目の美男子で、騎士科の美形たちと人気を二分する人だ。騎士の爽やかな物腰や鍛えられた肉体とは対照的な物静かで柔和な物腰に知的な眼鏡。キャーキャーいう女の子たちの気持ちも何となくわかる。
ちなみにあの陰険根暗最低教授がなんでキャーキャーいわれないのかというと、あの性格なので並み居る女子たちを毒舌で泣かせては追い返すという。まあね、完全なる観賞用って感じよね。私も遠巻きで見るだけでいられたらよかったのに。
「ギレス教授。授業の打ち合わせですか?」
ギレス教授はユリアンの担当だ。心の底から羨ましい。彼は人格者だから。
ギレス教授は驚くことにあのローゼンシュティール教授の弟子なのだ。
あの陰険な教授の元で弟子が育つことにも驚きだが、案の定というかギレス教授は唯一の弟子らしい。
彼の元であの注文のうるさい指示を辛抱強く受けながら何くれと世話していた経験から、自分の授業に関する準備が素早い上に指示が的確なのだ。比較的腰が重くて研究室から出たがらない教授陣の中では比較的フットワークも軽く、こうやって事務棟に足を運ぶことも珍しくない。
他の事務員からも好かれていて、それが無理矢理な人気取りでないのがわかるから余計に尊敬されている。
ユリアンの向かいのデスクに座りながら教授を見上げると、彼は柔らかく微笑みながらユリアンの肩を叩いた。
「いえ、それはもう終わってね。ユリアンから相談を受けていたんだ」
「相談?」
「女性の意見も聞いてみればいいんじゃないかな、ユリアン」
「そうっすね」
首を傾げる私を見ながら男性2人は頷きあう。なんだろう?
「俺、好きな子いるんすけど」
「ユリアンに? へえ〜」
「収穫祭に誘ったら、一緒に行ってもいいって言ってくれたんすよ」
「おお、よかったね」
そろそろ終業の時間だ。デスクの上の書類をまとめながらユリアンの話に相槌を打つ。彼は嬉しそうにこっちに身を乗り出した。
「それで! 俺、収穫祭で彼女と恋人になりたいと思ってるんす!」
「いいじゃん。頑張って!」
「シノブあっさりしすぎ! もっと具体的になんか無いんすか〜」
「え〜。私の意見をあてにされても……好きな相手のご機嫌がうかがえないとダメだよね」
「は〜キビシイ〜」
ハハハ、とギレス教授が笑う。この人って意外と笑い上戸だよな。
三人とも歳が近いので頻繁に話すのだが、ユリアンの小気味いい話ぶりが面白いのか、声を立てて笑う姿をよく目にする。笑うと眼鏡越しのキツそうな目が撓んで子供っぽい感じになる。
「でもお祭りだったら、たくさん人が来るんでしょ? チャンスじゃん」
「チャンス?」
「はぐれないように、とか言って手が繋げる」
「おお……!」
目に見えてユリアンの顔が明るくなる。
「シノブ天才か!」
「へへへ。でも拒否されたら脈は無いと思うけど」
「シノブ〜〜〜」
そんな話をしているうちに終業時間がきた。少しずつ片付けていた私は荷物をまとめて鞄を肩にかける。
「ああ、もうそんな時間か」
「はい。それじゃあまた明日。ギレス教授、ユリアン」
「送っていこう」
ギレス教授は大股に歩いて私の隣に立った。
「でもすぐそこですよ?」
「僕も自分の家に戻るついでだよ」
並ぶと少し見上げる位置に顔があった。
眼鏡の奥の目はまださっきの笑いの影響か優しげに少し下がっている。
なんだか勘違いしてしまいそうだ。こんな美男子でいい人だと女子生徒たちも、もちろん女子職員も放っておかないわけだ。
歳が近くてラッキーくらいに思っておかないと、いらぬ恨みを買ってしまう。
「それじゃあ、お言葉に甘えて……」
この世界での私の住まいは門から出て西、学院と領主館の間にある。
職員寮みたいなものというか、ルートヴィヒ様のお邸の見習いさんも住んでいるので、領地の関係者の仮住まいみたいなものだろう。ずっとここに住むというよりは、仕事に慣れるまではここから通って、安定してきたら街に住まいを見つけて住む。
私もこちらの世界のことを覚えるまではここで暮らすことになっている。
事務棟の出口で円盤を操作して、学院の門に設定する。
並んで寮までの道を進む。領館の裏手ということもあって並木道にはほとんど人気がない。
「ギレス教授も行くんですか、お祭り?」
「そうだなあ、しばらく忙しくて行ってないな」
「あらら……」
教授も大変だ。まあ年中塔に引きこもってるのが好きな人種も多いけど、ギレス教授みたいに真面目で仕事の手が離せないって人もいるよね。
「というのは言い訳だよ。ユリアンみたいな恋する男や、大酒飲みには楽しいかもしれないけれど、僕はあいにく酒はそれほど飲めないし」
「そんなの、人によって違うのが当たり前じゃないですか」
飲みにケーションってやつですね。お酒が飲めることがなんぼのもんじゃい。
たくさん飲んでわざと理性飛ばしたり具合が悪くなってまでいいという気持ちもわかんない。ほどほどにできないほうが大人気ないし。
大学時代にモヤモヤしたあれこれを思い出して憤慨していると、教授は嬉しそうにフッと口元を緩めた。
「それじゃあ、一緒に行くかい?」
「へ?」
「収穫祭。初めてなら、案内が必要じゃないかい?」
「え、と……」
そこで、今までハーラルト・ギレスという人に抱いていた印象のひとつひとつがパズルのピースのようにハマった。
あ、この人私に好意を持ってる。
ユリアンと三人で話しているときによく笑うのも、私を見るときの目つきが優しげな気がしていたのも、そうしてこうやって送ってくれるのも。
ただ悲しいかな、それは私という個人に惹かれているというよりは、この世界の女性よりもいくらかオープンで、身分や慣習に囚われてないから気楽に接している気安さとか、そういう異文化の目新しいところが気に入ってるように思う。いざ付き合うとなると、文化の違いは大きい。教授は優しい人だけど、歩み寄れるかどうかはお互い次第だ。
私からすればあっちの世界でもお目にかかったことない美男子で、歳も近いし、優しいし、教授ともなればそれなりに生活力もあるし、願ってもないお相手だけど、やっぱり躊躇してしまう。
思わず足も止まって、困惑して彼を見上げた。
「ダメかな?」
「いえ、ありがたいですけど……教授、それってデートのお誘いですか?」
「でーと?」
「あ、こっちの言葉で……逢い引き、ですかね」
自分で口にしておいてドギマギしてしまう。目線をあちこちにさまよわせていると、彼はふとまた笑った。
「ああ、そうだよ。ただ……君のことをもっと知りたいんだ」
ひえ〜ドラマでしか聞いたことないセリフ〜! 鳶色の目や口元はずっと笑みの気配が漂い、柔らかな色気を醸し出している。これは相当おモテになっている〜! なんでそんな人が私みたいなのに興味持つかな!?
「で、でも。教授って貴族でしたよね? 婚約者さんとかいるでしょう? 私は『旅人』で……」
「うちは貴族といっても貧乏子爵だし、婚約者はいないよ。まあ伯爵以上なら『旅人』でもなんらかの功績がないと一緒になれないだろうけど、うちは逆に『旅人』が恋人になったとなったら箔が付くと思うよ」
「そ、そうなんですか……」
「他に質問は?」
「わ、私、こっちにきたばっかりで暮らしに慣れるので精一杯です……」
「僕を利用してくれて構わない。祭りだけじゃなくても、知らないことがあれば教えてあげよう」
異文化に早く慣れるには恋人を作ること。留学した男の同級生が昔言ってたことを思い出す。彼は結局帰国して遠距離恋愛になった途端に気持ちが薄れ、1ヶ月と持たずに破局した。
そんな風に、自分の気持ちがはっきりしていないのに不誠実なことをしたくない。私はピッと顔の横に手のひらを立てた。
「お、お試し期間を要求します!」
「お試し?」
「はい。ギレス教授も言ってたじゃないですか、もっと知りたいって。お互いよく知るべきだと思います」
声が不自然に震える。恥ずかしいのか怖いのか、自分でもよくわからない。
でも、教授が好意を伝えてくれたことは、私はここにいてもいいんだって安心を少しだけもたらしてくれた。ここで生きている姿を見つけてくれる人がいるって思えた。
私の精一杯の意見に教授はほどけるように笑った。
「それは、少しは期待してもいいってことかな」
「こ、今後次第です」
「そう。じゃあ頑張るよ」
頑張るって何をだ。首を傾げるが彼は答えず、歩こうと促される。
教授の端正な横顔にはほんのりと喜色が滲んでいた。わずかに弧を描く唇が綺麗な形を描いていて、気づいてしまった私はドギマギする。気まずいわけではない、どこかふわふわと地に足がつかず落ち着かない沈黙のうちに寮に着いた。
寮の入り口を一段登り、振り返る。教授の目線とほぼ同じ高さで向かい合った。
彼は名残惜しそうに眉を下げる。耳に心地よい高めの声が別れを告げる。
「それじゃあ」
「はい、また明日」
挨拶すると同時に、ぐいと肩を引き寄せられた。
大きな手がさらりと髪を撫で、露わになった額が風を感じる。ちゅっと音を立てて触れる温かい感触。
何をされたかわかったのに私は動けなかった。
「また明日」
教授は何が嬉しいのかそれはもう見事に微笑んで去って行った。
「や、やられた……」
風に優雅に翻るローブ姿が小さくなっていくのを見送りながら、呆然と額を押さえた。
一日でこんなに急襲される日があっていいのか?
何にせよ、今日も大変な一日だった……。
メートル法〜〜〜!!!!単位どうしようかと悩んだんですけどね、ファンタジー単位作るのもなんかそこまで賢くないし使いこなせる気がしなかったのでメートルです。あちら側から持ち込んだ先人『旅人』がいたってことに。
あとデートが通じなくて逢い引きが通じるの何でやってなった方いると思いますけど、私もです!! 私の中のファンタジー世界が現地人が使ってる用語が昔風だという認識なので、アーベント王国のヴェーヌスに起こったドラマを私が翻訳してるって感じで、そういう感じでここはひとつ!