八話 お祭りの準備(ルリエ)
一人の少女が大きなベッドの中で寝転がっていた。そう、ルリエだ。昨日、幼馴染の男の子と二人で祭りに行けることになったことが、あまりにも嬉しくて、楽しみで眠れなかったのだ。正確には何度も寝ていたのだがすぐに目が覚めてしまうものだから、一時間ほどごとに就寝と起床とを繰り返していた。
午前6時に目を覚ますと、あまりにも就寝と起床を繰り返したせいで疲れていたので、そのまま起きて外の空気を吸おうと部屋の窓を開けると、そこには剣を振っている幼馴染の少年の姿があった。彼の表情は真剣で、惚れ惚れするようだった。ちなみに、ルリエの部屋に一つだけある窓は隣の家の幼馴染の家が見えるようになっている。もともとは父の書斎だったのをルリエがわがままを言って変えてもらったのだ。
しばらく眺めていると、少年は剣を振るのをやめて家の中に入っていった。ルリエが少年がいなくなってから時計を見ると、すでに7時を回っていた。慌ててリビングに行き、家族と食事をとった後、そのまま使用人であるフユハにシロとお祭り行くから服を見繕ってほしいと言うと、「それならいっそ買いに行きましょうか?」と言われた。
フユハに連れられて帝都を歩く。なんでもフユハの言うには、最近この帝都で人気になりつつある服屋らしく、私のような年齢向けの服からどこぞの貴婦人向けの服まであるらしい。そんなことを聞きながら歩いていると、店に着いた。店の看板にはおしゃれな文字で『フリエット』と書かれており、確かに良さそうな雰囲気を感じることができた。
私がその店の扉を開けると、そこには今日会う予定だった男の子の顔があった。
「ええええぇぇぇ!!!シロじゃない!なんでいるの!?」
私が驚いて叫び声をあげると、それに合わせてシロも驚いて声をあげた。
「え、ルリエ!?そっちこそなんでいるんだよ!?」
「お嬢様の服を見に来たんですよ、シロさん。」
そうフユハが私たちの会話に割って入ってきた。
「ああ!なんでフユハが答えるのよ!私が言いたかったのに!」
このまま二人で喋っていたかったのに...。
「そうだったんですか?それはすいません。シロさん、すいませんが一回忘れてもらえます?お嬢様が言いたいそうなので。」
「え、あ、はい。わっかりました...。」
「ありがとうございます。それでは聞いてください、ルリエお嬢様で、『理由』」
「ちょっと!ちょっと!何歌うみたいな雰囲気になってるの!?シロも忘れるとかいいから!これじゃ私がわがままみたいじゃない!」
シロがいるのにそんなこと言わないでほしい
「大丈夫ですよ、シロさんは忘れておられますし。それに、わがままな方が好かれるかもしれませんよ?」
「べ、別にシロに好かれようなんて思ってないんだけど!?」
「あれ?私、シロさんとか言いましたっけ?」
「っ!......。フユハ、........あとでね?」
「あ、ごめんなさい。謝りますから。」
「ふふふ。ダ・メ・♡。」
隣のフユハから目線をシロに戻すと...ちょっと引いてた...やべ。




