表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

四話 特訓!

僕はまた紙に魔法陣を書いてから、魔力を流すと、平べったいデフォルメされた顔が出てきた。その顔は僕の方を見て、喋った。


「呼び出したんはお前か。で?望みはなんや。はよ言えや。こっちも暇やあらへんねん。」


そう言って顔は僕を急かした。僕が想像とのギャップに戸惑っていると、顔がまた急かす。


「はよしてくれ。お前のしょぼい魔力量やとあんま長居でけへんのや。」


「っああ。僕に合った簡単に覚えられる『技能』とその習得方法を教えてくれ。」


「それくらいなら答えられるな。よし、その〜お前がつけてる指輪見してみい。」


僕が指輪を見せるとしばらくして顔が答えた。


「お前に合ったんは”移動速度上昇”やな。習得方法は魔力を纏いながら60キロ走れ。以上。」


そう言うと顔は魔法陣の書かれた紙と共に消えてしまった。


「シロ!あれ何なの?すごい口が悪かったけど。」


「ああ、あれは特訓方法の中の一つで、込めた魔力に比例した情報を教えてくれるものなんだ。」


「じゃあさっきの顔が言ったことの通りにやれば『技能』の”移動速度上昇”が覚えられるの?」


「そうみたいだね。だから僕は明日から魔力を纏いながら走ることにするよ。60キロ走れば覚えられるらしいし。」


僕がそう言うと、ルリエは本当に不思議ならしく、しまいには「むぅ〜。」なんて言っていた。


翌日、朝からいつもの訓練みたいに帝都の中を走り始めた。ただ、いつもの訓練と違うのは、全身に魔力を纏っていることだ。これがなかなか難しい。魔力を纏っているから、走りながらも魔力を維持しなけらばならないし、魔力がどこかに偏ると、バランスが崩れて走りづらい。


そんなこんなしながら、ご飯どき以外は走っていると、急に目眩がしてきた。魔力切れだ。『技能』を使っているわけではないから、魔力の消費は少ないが、常に纏っているので少しずつ使用している。魔力切れを起こした時は、やっと7キロ走ったぐらいで、いつも普通に走っているよりも圧倒的に遅かった。そのあと少し昼寝をしてから、また少し走ってその日は終わった。


また次の日も魔力を纏いながらのランニングで、今度は最初に魔力切れがおきたのが、9キロほどだった。そのまま、昨日と同じように昼寝をしてから続きをして眠りについたのだが、シロは悩み始めていた。


昨日走ったのが約7キロ。今日走ったのは9キロ。魔力の量が増えたのか、走れる距離は増えてはいるが、このままでは目標の60キロには届かない。シロはある策を考えて、眠った。


翌朝、シロは昨日考えた策を実行するためにあるものを持ってランニングに出かけた。その日は10キロほど進んだ頃に魔力切れが起きた。シロは持ってきたもの、魔力回復のポーションを少し飲むと、また走りだし、魔力がなくなるとまた飲んで走った。その日は合計で24キロ走ることができた。


翌朝も同じようにポーションを使って、走っていると、20キロほど走ったところで頭の中にある言葉が浮かんだ。


------------------------------------------


”移動速度上昇 I”を覚えました。


------------------------------------------


「おお〜!やったぁ!覚えたぁぁぁ!」


思わず大きい声でそう言ってしまった後、後悔した。そう、周りの人達の視線が集まってしまったからだ。いつも挨拶してくれる、おじさんの優しい眼差しがひどく痛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ