連載1周年特別企画
今日は連載開始1年目での特別企画です。村正とユウキがこれまでの話の中から少し、ピックアップして話していく内容です。
「ねえ、マサ君。」
「何?」
村正とユウキが並んで話している。その空間は、いつもとはどこか違う場所。
「今日が何月何日なのか知ってる?」
唐突に、質問して来るユウキに戸惑う村正。そんな村正の様子に若干引くユウキ。しかし、村正にも今日と言うこの日が何の日なのか、それを忘れる様な愚か者ではない。
「分かっているさ。今日は、この物語が連載されてから丁度1年目の日。」
村正は腰に手を当て自信満々に答える。その様子にユウキはホッと息を吐く。
「分かってるなら何ですぐに言わないのよ?」
「え?なんとなく、その方が雰囲気あるじゃん?」
「ないわよ!」
ユウキに肩パンされて、左肩を抑える村正。ユウキの渾身の一撃が見事に入った。
ユウキはと言うと、そんな村正を他所に、今までの自分たちの行動や何やらがまとめられた資料を漁っている。
「それにしても、私達のこの数ヶ月を1年もかけてたなんて驚きよね~。」
「それが、この世界を作った人のやっている事だからね。」
2人して、自分たちの事が掛かれたものを読み込む。
「マサ君ってこの世界の人間じゃないの?」
「うん。知らなかった?」
「当たり前でしょ!」
村正の意外な出身を知って驚愕するユウキ。村正は、自分の事については深く話すことはない。現時点で彼の素性について知っり得る人物はイブ1人のみ。
ふと、村正はユウキに顔を向ける。
「てか、今の君がそれ知っていいの?」
「うん?問題ないわよ。ここと、物語の本編は別だから。」
「本当に?」
ユウキは村正の問いに、首を縦に振って応じる。ユウキはずっと、資料に目を通してばっかりで、村正は、今一、ユウキが話を聞いているのか不安になる。
「てか、さっきから何を読んでるの?」
「ん?マサ君の女の記録。」
は?
村正は慌ててユウキの持っていた物を横から取り上げる。ユウキが読んでいたのは、良い気の居ない場面で村正が女子と会話をしている部分。
横取りされた資料を読む村正に、ユウキは、意地悪そうな感じに、
「マサ君、また女増やしたの?」
「別に増やしてないよ!」
「本当?その割には、ルマニミ王国で新たな女作ったんでしょ?」
ルマニミで新たな女ってリウンの事かな?いや、彼女とはまだそんなに関係深くないよ。それに、僕はルマニミに遊びに行ったわけじゃないし。
「どこに、そんな事書いてあんのさ!」
ばん、と資料を机に叩きつけ、反論する村正。さらに、
「そもそも、僕今彼女1人も居ないからね!」
念を押すように、ユウキに迫る村正。その村正の態度に呆れを浮かべるユウキ。
「でも、周りに女の子はいっぱいでしょ?」
村正の周りに女子が多いのは仕方のない事だ。そもそも、この世界では魔法使いと言うのは、男性にはあまり適性が出ない。そもそも、クレア学園と言うのも魔法の中では有数の学園だ。その学園に入学している時点で並の少女よりも魔法に高い適性値を持っている事になる。
クレア学園では村正の他に男子学生と言えば、5年生のエレンのみ。村正の周りに女子が寄って来るのは自然な事。
さらに言えば、村正はこの世界のでは魔法使いとしてその名は知らないとされるイブとの関わりを持つ人物としても有名。それだけで村正は有名になった。
「君もその1人に入っているの分かって言ってる?」
「あら、私とマサ君は同室の関係でしょ。そこら辺の女子とは違うわよ。」
この発言はどう捉えたら良いんだ。
自分は勝ち組なのか、それとも、ユウキにはなんとも思われてないのか?
この1年?ユウキとはそれなりに良い関係性を築き上げて来たと思うんだが。僕の秘密を最も多く知っている人物なわけだし。
てか、先生ですら知らない事をユウキには教えてるんだし。
「それ、どういう意味?」
「ヒ・ミ・ツ!」
ニシシと笑みを浮かべるユウキに村正はどう反応すればいいのか、分からず「あそ」とだけ言っておく。
「うっわ、こんなものまで出て来た。」
「え?何々?」
村正が見つけたのは、この世界で言えば直近に起こったこと。
「いや、ほら、前に、僕がミラに出会った時の事が。」
村正が初めてミラ・ミノシスと言う女子に出会った時の事。その日の前日、村正はシロの精霊術の問題や闇の書の問題など色々あった直後の朝。さらに言えば、早朝からその日の魔術祭に向けての準備をするために競技場へ向かった時。
その時のミラの発言は今も村正の脳裏に根強く焼き付いてる。
「へ~どんな感じ?」
「うん。最悪だったよ。」
「何で?」
何で?そんなん決まってんでしょ。誰のせいであんな感じになったとお思いですかユウキさん。あなたですよね、彼女に余計なデマ吹き込んだの。
「ここ読んでみ。」
村正は問題の部分に赤線を引くと、それをユウキに手渡す。
「あっ・・・」
ユウキは顔を青くしながらゆっくりと顔を村正に向ける。ユウキに手渡したのは、村正が1年の女子を全て手籠めにしたという記事の部分。ある事無い事書かれた村正は、その場でエレンにドン引きされる始末。
「あ、じゃないよ。あの後大変だったんだから。」
「でも、ほぼ事実でしょ?」
「僕がいつ1年の女子を手籠めにしたのさ!!」
そっとユウキの視線が逸れる。
「でも、ほぼそんな感じでしょ。皆良くマサ君目当てでやって来るし。」
「あれ、何で?」
「次、それ言ったら、殴るわよ。」
分かって言ってんのこいつ。と言わんばかりの強烈な視線を飛ばすユウキ。そのユウキの視線に村正も圧倒される。
さらに言えば、半分、ユウキは拳に魔法を溜めている。
「なんかごめん。」
こうなったユウキには素直に謝罪するのが一番だと十分に理解している村正。これも、この時間で得たユウキの扱いかただ。
さらに、過去へと戻って行くと村正達。
「あ、これ、懐かしい。」
「どれ?」
「シロとの出会いだよ。」
村正が見つけたのは魔術祭直前の訓練で出会った精霊具の一角であるシロ。彼女との出会いが村正のこの世界での生活を一変させたと言っても良い。出なければ、恐らく、この夏休み、村正はルマニミ王国へなんて行っていなかったかも知れない。
「へ~、シロちゃんとの出会いか。」
「うん。今にして思えば、それも、衝撃だったな。」
僕とシロとの出会いは色んな意味で面白かったと思う。なんせ、僕が見つけた時、シロは、自分は凄い物ですよ、とアピールするかの如く、刺さっていた。実際は、僕が部屋に入る直前に刺さったみたいで驚いたけど。
「へ~、シロちゃんってそんなんだったんだ。そう言えば、この時は今とは全然口調違うね。」
「うん。契約した後、他人行儀なのもどうかってことで、僕からの呼び方とか決めたんだよ。」
そこで、今のシロの大元が形勢されたのかも知れない。
「で、お兄ちゃんと呼ばれることに、思わずときめいたと。」
「ああ、いや~、なんと言いますか・・・。」
そう、シロが村正の事をなんと呼ぶのが良いかの案を複数列挙した中で彼の選んだのが、今の「お兄ちゃん」呼びだ。
「これ、マサ君がロリコンで若しくはシスコンであることを示す決定的証拠だよね?」
「でも、このことを本編の殆どの人は知らない訳だし、大丈夫でしょ。」
「うわ~、最低だこの男。シロちゃん、絶対選ぶ主間違えたよ。」
「何を、失礼な。」
シロの事を憐れむユウキに対し、村正は自分は誠意をもってシロとの契約に応じたことを示す。さらに、ユウキの目に付くように、契約内容によって被った被害をこの場で言いふらす。
「シロとの契約内容、知ってる?」
「知らない。」
そう言うと、村正は1つずつ上げていく。
1・汝は、その身を以て我の主となる。2・汝、いかなる時も、我を携え、その身から離さぬと誓うか。3・汝、いかなる時も、我と助け合い、高みを目指すか。4・汝、いかなる時も、我の世話をするか。5・汝、いかなる時も、嘘はつかぬと誓うか。
この内容の内、2と5にはことあるごとに迷惑を被っている。シロには嘘を付けないため、事あるごとに逐一報告する必要があるのと、シロへの口止めが毎回必要になる。
「分かる?これ全部守んないと、何が起こるかわかんないんだから。」
「例えば?」
「前に、ユウキの下へシロが行った事があったろ。」
「ああ、あの時は大変だったわね。」
シロが思わずユウキの下へ駆け出して行った為、契約内容に触れてしまい、村正がそのペナルティを受けた。当然、村正は無事では無かったが。
「ねえ、この3番何なの?」
「ああ、これね。僕も良く分かってないんだよ。」
高みを目指すと言っても、時々、僕はそれとは反対の事をいう時もある。一体何を基準にしているのか、そこが僕にも分からない。
そのうち、分かるだろとは思っている。
「今日、シロちゃん居ないの?」
「今日はなんか出てこないんだよ。何でかな?」
村正の腰には普段通りシロが剣として携えられている。剣をトントンと叩いても、シロの名前を読んでも一向に返事が無い。
仕方ないので、村正達は続きを始める。
「この物語も多くの人の目に触れてるわよね。」
「ね、有り難い限りだよ。」
「でも、普段の私達の生活が覗かれてると思うと、ちょっと恥ずかしいけどね。」
「良いじゃん、本編の僕らはそんな事夢にも思ってないんだし。」
村正は書類を一番頭の物を探す。そこには、村正にとってある大事な確認があった。
「マサ君、何探してるの?」
「この物語の1話部分。」
「また、随分と前の探すね。」
「うん、そこで確認したいことがあるんだよ。」
ユウキも一緒になって、この物語の一番初めの部分「嫌味な天使様」を探す。
「これ?」
「ああ、そうそれ。」
見つけたのはユウキだった。彼女の手に持つ資料の中にそれがあった。
「何を探したいの?」
「僕がこの世界へ来る要因になった最初の原因をもっと詳しく知りたいなと思って。」
村正は物語の1話を読み込む。元の世界の自宅を出て本来の学校へ向かっている途中の村正。しかし、
「は?え、いきなり、僕はここへ移動してるの?」
「え、どこどこ?」
ユウキも一緒になって読む。物語の出だしにその問題の部分はあった。
==============================================
少年、紺野村正はいつもの通り学校へ登校を始めた。いつも通りの通学路。そして、いつも通り学校へ着く予定だったのだが。
「えーっと、ここどこだっけ?」
==============================================
「僕の死ぬシーンないやん!!」
「マサ君って死んでるの?」
ユウキは村正が別の世界から来たのは知ったがその理由までは知らなかった。
「うん。次でいきなり殺されてるし、しかも、あっさりとその事告げられたから、僕もどう受け取って良いのか分からなかったし。」
村正の頭に、あの天使の姿をしたイブの姿が呼び起こされる。
「でも、どうして自分の死ぬ瞬間を知りたかったの?」
「だって、気が付いたらそうなっていたわけだし。一応知っておきたかったなって。」
まあ、知ろうと思えば、最悪イブさんに聞けるか。それに、僕の記憶がもしかしたら直前の記憶を取り戻すかも知れないし。
ただ、両親に何も出来なかったのが、最後の心残りかな。
この世界へ来た以上僕にはもう、元の世界への干渉は出来ないし、それは許されない事だと割り切っている。でなけれなそう簡単にこの世界にはあ馴染めなかったと思う。
「でもま、無いならそれでもいいかな。」
「あら、随分と冷めてるのね。」
「冷めてるわけではないさ。今ここで僕が知らなければばらないと言うわけでもないしね。」
そう、いずれ物語の中で回収されることを信じて。
今はこの世界で精いっぱい頑張れば良いだけだし。
「で、マサ君。なんとなくここまでの事軽~く見て来たけどさ。」
「うん。」
「どお?」
村正はこれまでの数ヶ月の記録を見て思ったことを探る。
「まあ、良くも悪くものんびりやってるなって。」
「まあ、行事続きで忙しく見えるけど、確かに、意外とのんびりやってるわね。」
本編に書かれてることの殆どが行事関係だから、普段の何にもない日常が見えてないのはどうしたら良いのかね。
「私生活ばらされるより良いでしょ。」
「そうね。」
村正とユウキは他にも色々と過去の資料を見ていく。まだまだ、気になるところは沢山ある。
でも、今日はここまで。
続きは、また今度。
何とか連載1年がたったという感じです。
まだまだ話は続きますのでこれからもお願いします。




