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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第5章 ルマニミ王国
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At77.隠された遺跡

 僕は自分の目を疑った。いや、この魔法を使う際は目を閉じた状態にあるから、目を疑うとの表現が正しいかは分からない。でも、誰もがこの光景を目にしたのならきっと、目を疑うに違いない。何故って?


 「シロも、見てるかい?」

 「はい。まさか、こんな光景が広がっていようとは・・・」


 シロも、僕と同じ光景を、似た精霊術で見ている。

 場所は、神殿のあったとされる場所の北側に広がる森の奥。その森で木々が少し薄くなっている場所の真下。


 「一体、どのくらいの広さ何だろう。」


 僕の使う探索魔法ではせいぜい半径5mが良いところ。これだけ、広大な何かがあっても、僕の探索魔法では、これが何で、一体どれほどの大きさの物なのは測ることは出来ない。


 「実際にこの目で見たわけではないので、何とも言えませんが、街の様にも見えます。」

 「街?」

 「はい、まるで、街が丸々地面の下に埋まっているかの様です。」


 村正は、シロの話を聞くと、右手で顎を抑え、思考を巡らせる。それは、かつて、元の世界で似たような遺跡が発見されたことに由来するものであった。

 

 「お兄ちゃん、どうかしましたか?」

 「シロ、他に何か分かることはあるか?」

 「他に、と言いますと?」


 村正とシロは地面に座った状態で話を進める。この暑さのずっと立ってると、気がおかしくなりそうになったから。


 「この地面の下にある物は、完全に土の中か、それとも埋まってるのは外だけで実際は中に入れるようになっているか?」


 通常、遺跡となれば完全に埋没しているのが常。だが、このような異世界ともなれば、話は変わって来る。遺跡とはいうものの、完全に埋没しているのではなく、どこか別の場所に入り口があり、そこから入ればきれいな状態で残っていることも多々あったりする。


 「それに関してはほぼ埋没してると見て間違いないと思います。地中に不自然な空洞は無いのと、天井のような壁も見えませんし。それと、街の様な物と一緒に・・・。」


 「どうした?」


 他にも何かあると言いたげなシロだが、何故か途中で言葉を止めた。この下に埋まっている物。それを村正に伝えることが良い事なのか、分からなかった。ここが、遺跡と言う事を考慮すれば問題は無いのかも知れない。けれど、数が多すぎた。


 「いえ、ちょっと良く確認できない物が多くて。危険な物ではないで。」


 シロは、言葉を濁し話を先へ進める。


 「成程。となると、後確認するのは2つか。」


 その2つはこの下にある物が、果たして火山の噴火の影響を受けたのか否か。それを知るには1つ、この地面に火山灰が含まれているか。2つ、もし、火山の噴火後すぐに消滅したとしたらその証拠が遺跡と共に眠っているはず。この2つが見つかれば、確実になる。

 

 「僕には地質学の知識なんて全くの皆無だし、下手にこの地面掘り起こして傷をつけても問題にしかならないだろうし。」

 「地質を知ってどうするのです?」


 そうか、シロにはまずそこから教えなくちゃ駄目か。

 僕は、まず、シロに、この地面に火山灰が混ざっていることが、何を意味するのかを教える。それが分かればこの遺跡調査が一気に進み片付く事を。


 「本当にそうでしょうか?」

 「何か、疑問に思うことでもあるの?」

 「正直今の私には何も分からない、が本当の事です。」


 やっぱりシロでも分からないことは分からないか。

 それにしてもだ、今回はシロでも分からい事が多いな。勿論、この遺跡が1500年前に消失した物だとしたら、シロがその時の事を知らないかもしれない。仕方がないと言えばそれまでだが。

 ただ、何もかもをシロに頼るのは、良くないよな。今にして思えば僕は常にシロに頼りっきりだったし、偶には僕の方がシロの先を歩かないとな。

 

 「別に良いよ。」

 

 村正はシロの頭をそっと撫でる。村正の力に慣れず、落ち込んでいたシロは、突然村正に撫でられたことに困惑する。てっきり、怒られると思っていた。勿論村正はこの程度の事で怒ったりする様な人間ではない。


 「手がかりが無いわけでもないんだよな。」

 「何か、手がかりがあるんですか?」


 一応、ね。


 「あの人だよ。」


 村正が指さしたのはいつからそこに居るのかは定かではない、口のない証人。それは、人、と言うよりも、物に近い。


 「ですが、この人は・・・。」

 「見た目は、石だけど。」


 村正は、森に佇む石像に手を触れる。コンコンと叩くが、音はやはり石の音しかしない。

 

 「やはり石像ですよね。」

 「本当にそう見える?」

 「えっと、見えますが・・・」


 やっぱりそう見えるよね。そうなんだけど、さっき気付いたけど、これ、ただの石像じゃない。多分、誰かが意図的に置いたんだ。何故そう思うのか、と問われると、すぐに答えを導き出せる。

 まず、石像と言われると、人はどんな物を想像すると思う?大体は、立っているだろう。勿論例外もある。だが、それでも、きちんとした、人の形をしている。だが、ここのは明らかに違う。人、なのはほぼ間違いない。だが、この石像は明らかに違う。形が、石像とは言い難い。まるで、本来は全く別な物であったものを無理やり石像にした。そんな感じだ。

 そこから僕が導き出した答えは、


 「この石像は、多分目印だよ。」

 「目印?」

 「うん、きっとここがそうだよって教えるための。」

 「なんの目印なのですか?」


 この下に沢山の人が眠っていますっていう事をきっと多くの人、いや誰かに気付いてほしい、見つけて欲しい、そう願われているからこそ、この像があるんだと思う。


 「うーん、それは・・・」


 今この場で言うか、それとも、シロにも直接その目で確かめてもらった方が良いのか。

 僕はどっちが良いのかすぐには決められなかった。それは、シロがその気になれば一体この下に何が眠っているのかすぐに分かるかも知れないと思ったから。でも、この下に広がるのが、僕の想像通りだとしたのなら、僕が教えるよりも、シロには何も知らないこの状況で見てもらいたいとも思う。

 ――だから。


 「シロには直接自分の目で確かめてもらいたいな。その方がきっと良いと思う。」

 「お兄ちゃん?」


 村正の表情は儚げだった。その表情は、村正がこの下に眠る物を確信している証拠でもあったと言える。


 「シロ、イブさんを呼ぼう。」

 「イブさんをですか?」

 「うん、僕等だけではちょっと荷が重すぎると思うんだ。」


 村正は杖を取り出し空に杖の先を向ける。


 「イン・ヴァイン」


 杖の先から火の玉が放出される。ここまではただの”イン・フィール”と何ら変わらない。ただ、この魔法にはその先がある。

 空中に打ち上げられた火の玉は上空で轟音を掻き立てて弾け飛ぶ。この音と光でイブ程の人物ならだれが放ったものか、瞬時に判断できる。よって、


 (紺野君、どうかしたの?)


 さすがに村正からの合図でも、悪ふざけを挟まないのはイブにもそれなりの緊張感がある証拠なのだろう。


 (今、僕らの居る場所に何か大きな物が埋まってる可能性が出ました。)

 (うん、それで?)

 (僕等だけでは流石にどうしようもできなくて困ってて、少し、手伝って貰っても良いですか?)

 

 暫くイブからの返事が滞る。


 (わかったわ。こっちもちょうど情報仕入れ終わったところだし、すぐに向かうから待ってて。)

 (待ってまーす。)


 イブに現状待機を命じられた村正とシロは安全も考慮して、木の上で休むことにした。


 「よいしょ。シロ、昇れる?」

 「はい、何とか。」


 僕は適当に枝に人2人が乗っかっても問題なさそうな木を選び、そこでイブさんが来るまで待機する。

 やっぱり木の上は楽で良い。何かに襲われる心配はないし、追われれば追ってを巻ける。さらに、奇襲を仕掛けるには持って来いの場所だ。戦術的にも実に優れた場所と言える。そして、休むにも持って来いの場所。今回は、比較的に低い場所で待機しているから、のんびりするには向かないけど、低い場所の枝はしっかりしてるから折れる心配ないのが良い。上は上で良い事もあるんだよ。


 「でも、何で木の上なんですか?」

 「その方が、良いじゃん?」

 「そう言えばお兄ちゃん、高いところ好きとか言ってましたね。実際にそうしてるとこ見たことないですけど。」

 

 ぐ、痛いところ突いてこられる。それより、僕、多分だけど1度もシロにこのこと話してないような。

 

 「ま、まあ、今はそんなこと、ど、どうでも、いいんじゃない。」

 「棒読みですよ。」

 「あはははは・・・」


 シロよ、世の中には突っ込んで良い事と、悪いことがあるんだよ。

 とは、何故か言い出せなかった。これ以上何か言っても バツが悪くなるだけな気しかしない。


 「おーい、紺野君、シロちゃーん!」


 下の方で声がしたので、下を向いてみると、下でイブさんが手を振ってる。こんなに早く来るとは全く思わなかった。


 「来るの早かったですね。」

 「あらシロちゃん、もうちょっと遅い方がよかった?」


 思わず、口が滑ってしまったシロは頬を赤くする。だが、実際もう少し村正との2人の時間で居たかったのは本当の話。見透かしているイブにしてみれば、村正に関わる全ての女の子を揶揄うことが楽しいのだ。それは、その場村正が居ようが居まいが関係なし。村正が居れば、面白さが2倍になるだけ。ただ、村正の方がそのことに気付かない時もあるのから、村正に対しての発言が滑るときもある。


 「いえ、別にそう言うわけでは。」

 「ん?」


 イブが合流したことで村正はもう一度、この場所についての可能性をイブに伝える。


 「成程ね、この地下に、遺跡が眠っていると。それも、火山の噴火で滅んだとされる説に足り得る証拠もある可能性が高いと。」

 「はい、だた、下手に手を出すと、大きな損傷を与えかねないと思ったので。」

 「うーん。」


 イブさんは辺りの地面に触れながら歩き回っている。

 ぶつぶつ、物を言いながら歩き回ること5分。


 「よし、大体つかめたわ。」

 「つ、つかめた?」

 「うん、結構な広さがあったから私も驚いたけど、そうね、アレンも呼びましょうか。」


 アレンさんも呼ぶ、ということは何か許可を取らなくてはならない事なのだろうか?それとも、アレンさんが居ないと、この先の作業は難航するのかな?


 「アレンさんは今、鑑定やら何やらで忙しいのでは?」

 「あのね、紺野君。アレンは総指揮官よ。少しはこっちも見ておかないと、駄目なのよ。でないと、私達が好き勝手してることになるから。」

 

 あ、そゆことでしたか。

 要は、自分たちがあくまでアレンさんの下で活動しましたよ、と言う証拠が要ったのね。でも、アレンさんも手伝ってくれるといいんだけどな。ひょっとしたら何か重要な事が分かるかも知れないし。

 15分ほどしてアレンさんが現れた。


 「それなりに奥だったみたいだね。」


 15分程してアレンさんがやって来た。イブさんが伝言魔法で大方の位置は伝えたが、詳しい場所までは伝えていないのに、すぐに来れたのは一体何故だろうと、思い聞いてみたらさっきの僕の魔法で位置を特定できていたらしい。

 ちょっと恥ずかしくなった。次からはもう少し調整が必要かな。


 「紺野君、すごいの見つけたんだって?」

 

 村正の見つけたものに大きな期待を寄せるアレン。上の神殿跡地(仮)では殆ど有益な収穫が得られなかった。


 「ええ、それで、今から引き上げたくてその許可を取りたいのよ。」

 「そんなに広大なの?」

 「ええ、少なくとも上の比ではないわよ。」


 アレンはスケールの大きさを聞かされて村正の顔を再度見る。それは村正の発見した物が歴史を動かす重要な物になる可能性を見出したから。もし、そうならこのルマニミ王国の歴史が大きく変化するかも知れない。それは、期待と恐怖であった。


 「ふふ、面白そうね。だけど、この森に生息してる生き物たちはどうする?」

 「そっか、その問題もあるのか。」


 遺跡調査の為と言うのは免罪符にはならないか。周りに本当に何もないのであれば話は別か。でも、普通はそうだよな。遺跡が埋まってるんだとしたらその上には何か別な新しい物が出来る。それが歴史と言うものだ。


 「勿論、この遺跡を引き上げるために無くす、と言う方法も取れるよ。」

 「それは流石にまずいですよ。」

 「そうね。私もこの下に眠る可能性には大いに興味があるわ。でも、この件は私1人の判断ではどうにもできないから、一旦私に預けてもらえる?」

 「協議に掛けるの?」


 横で話を来ていたイブが、腕を組みながらアレンに問う。アレンは頷き、


 「はい。この森の事、近隣住民との話合いももしかしたら必要になるかもしれませんね。それに、この森の生態系もより詳しくする必要もあるので。」

 「ま、そうよね。でも、部屋の真下から出て来るよりよっぽどましでしょ。」

 「そんな場所がインディアル王国にはあるのですか?」


 それはイブさん、あなたの研究室のことを指しているのですかい?

 

 村正は遺跡調査の大変さを改めて実感する。ただ、手がかりを見つけてそこを捜索するだけが遺跡の調査でではないということを。かつての歴史の産物がある場所でも、今は新たな何かが出来ているかも知れない。その何かを調査の為に奪った事で誰かに迷惑を掛けるようなことになる事は許されて良い話ではない。

 だからこそ、調査をする前にはその前にもその周辺についての調査が求められるのだ。もし、市街地で遺跡が発見されればそれだけで発掘に入るまでに相当な時間を要してしまう。それは、その場所に人が住んでいれば、引っ越しなどの説得や、交渉、さらには補償までもが付きまとう。それほど、遺跡調査はお金もかかる。それだけに不用意なことは避けなくてはならない。

 今回の村正の発見した森はルマニミ王国が所有している国土。だが、広大な森を一気に無くす可能性が出るとなると、例え所有主が国であっても好き勝手は出来ない。


 「じゃあ、今日はこの場所に関しては諦めて、後日、再調査かな。」

 「はい、もし、許可が下りれば必ず明らかにしますよ。」

 「残念ですね、お兄ちゃん。」


 シロは村正に手をつながれたまま下を向いている。


 「仕方ないさ。これも、踏まなきゃならない段階。僕らがこの場に居られるのは今日しかないんだし、それに発見されたばかりの遺跡なんて大抵はそんなもんさ。1日では何も出来なくても仕方ないよ。」

 「なんだか、勿体ない感じがしますね。」

 「勿体ない?」

 「せっかくお兄ちゃんが良い手がかりを見つけたのに。」


 本当、シロは良い子だな。これだからこの子は。

  

 村正は黙ってシロの頭を撫でる。シロの白く長い髪はこの暑さだと言うのにサラサラだった。


 「じゃあ、紺野君には1つ頼もうかな。」

 「何でしょう?」

 「紺野君にはこの下に眠るとされる遺跡の大きさを測ってもらいたいの。」

 「大きさ?」

 「今朝、私達が地図を作っていたでしょ。」


 ああ、あのホログラムを利用して作る地図。


 「紺野君にはおおまかで良いから、遺跡の四方がどの程度なのかを調べてもらいたいの。」

 「四方を?」


 なぜ、四方なんだろう?もっと、詳しく調べた方がより正確な地図になると思うけど。


 「ええ、取りあえず、大きさが分からないと、手を出せないの。もし、許可が下りたらある程度の範囲が絞れていた方がより、効率は良いし、余計な森林破壊をしないで済む。」


 アレンさんの話を聞いて僕はさっきの疑問に答えを導けた。しかし、アレンさん、そこまで先の事をこに短時間で考えられるなんてな。それとも、この程度は出来て当たり前なのかな。


 「分かりました。そう言う事なら、やっておきます。」

 「お願いね。」


 しかし、村正はそこで大事なことに気が付く。


 「あ、でも・・・」

 「どうかした?」


 それはこれから村正が使おうとしていた探索魔法のこと。


 「探索魔法ですと、半径5mしか分からないので、もしかしたらそれなりにずれが生じるかもしれませんが。」

 「うーん、大きく外れなきゃいいわ。」


 それは、こっちが「うーん」だよ。もう少し細かい指示があった方が動きやすいんだけどな。大きく外れなきゃいいて言われても、まだどっちにずれるか分からないし。

 大きくなるか、小さくなるか、それとも綺麗に地図に出来るのか。


 「アバウトすぎますよ。」

 「平気よ。力を抜いてやってみて。なんでもやってみないと分からないよ。」

 「なんか良い事言った風に言ってるけど、意味ないわよ。」

 

 イブに指摘されて頬を赤らめるアレン。しかし、彼女の言った言葉には嘘偽りはない。村正が余計な心配をするのは、ある意味アレンにとっては本意ではないのかも知れない。それは、村正が一学生であると言う事にあるのかも知れない。

 学生が歴史に興味を持つ。それは、この仕事をしているアレンにとっても喜ばしい。だが、せっかく興味の持ったことをくだらないルールのせいで嫌いになって欲しくない。責任は、その場の責任者が負う。アレンはそう考えている。


 「もうすぐ、お昼よ。続きはそれからにしなさいな。」

 

 僕は、もうそんな時間かと思った。作業に集中しすぎて時間の間隔狂ったかな?

 そんなことを考えていたら、僕のなかで唯一狂ってない時計があった。


 ぐぐ~・・・。


 胃の時計だけは正直に、狂うことなくなりやがった。



 

次回At78.撤収~

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