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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第2章 クレア学園サバイバル試験
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At7.チーム分け

 「それでは、開始!」


 レベッカ先生の開始の合図と共にこの、サバイバル戦闘試験はスタートした。ついさっきまでそこにいた先生方は開始の合図と同時に一斉に、それも一瞬でいなくなり、今ここに残っているのは僕ら学生だけだ。


 「ねね、試験ってどういうこと?」

 「これってただのサバイバルじゃなかったの?」

 「戦闘ってここのみんなと戦うの?」

 「私無理だよ。」


 そんな言葉を試験のことを知らなかった学生があちこちで声を上げる。僕らはというと、そこまで大きな混乱はなかった。あらかじめある程度は情報を手にしていたので覚悟はあった。僕はみんなを集めるとこれからの行動について話した。


 「これから、4人か5人でチームを作ろう。そしてクリア条件の神具を探す。」

 「わかった。それで行こう。各チーム別々に行動したほうがいいかな?」

 「そうだな、固まると目立ってかえって危険だ。」

 「了解ー。」


 リリィが敬礼をしながらクラスのみんなとチームを組むよう促した。


 「マサ君、一緒に組もう。」

 「いいよ。あとはどうする?」

 

 そうだな、もう一人は


 「おーい、リリィ一緒に組まないか?」

 「おおー、それは良い考えだよ紺野君。ぜひぜひ。」


 テンション高いなこいつ。とはいえこれで3人か。あと1人はほしいところだ。なんせ僕は碌に魔法の練習をしてないのでこの人数だと持たない。

 誰かいないかな。あたりを見回すとチーム組んでいるのはうちのクラスと元から情報を持っていた3組のとこだけだ。


 「あ、あの子は確か。」

 

 そこにいたのは一人で立ちすくしていた少女、イルミアだ。彼女は小柄で目が髪で隠れて表情がよく伺えないでいる。周りに溶け込むのが苦手なんだろうか?

 

 「イルミアだったよね、もしよかったら一緒に組んでくれないか?」

 「え、私とですか?」


 どこか自信なさげな彼女は下を向いたままでいる。普段からそうなのかは分からないがここ数日の会議の時もいつも一人でいたのを覚えている。それに、これが試験であることに気付いたもう一人の人物でもある。


 「紺野くーん何してるの?」

 「おお、リリィちょうど彼女を誘おうかなと思って。」

 「ん~なぁんだイルミーじゃん。一緒においでよ。」

 「なんだリリィ仲いいのか?」

 「うん、ちょっとね。」


 リリィの発言に若干の戸惑いを覚えたようだが彼女は僕たちとの行動に了承してくれた。これで、僕らのチームは、僕をはじめ、ユウキ、リリィ、イルミアの4人となった。

 

 「みんなはチームできた?」


 他のみんなもチームができたみたい。この後は各チームごとに行動することになっているが同じクラスのメンバーだ。有事の際に連絡をとれるようにしたい。


 「これから別々になるが各チームで何かあった際に連絡をとれるようにしたいんだけど、連絡方法は伝言魔法でいい?」

 「それで、いいんじゃない。伝言魔法は広範囲に使えるし、使用者を限定しておけば盗聴の心配もないしね。」


 よし、これでいよいよ僕らも別々の行動となる。何かあった時は、まずはクラスに連絡。それでも無理そうなときはリタイアをすることになった。


 「それじゃ、みんな気を付けて。神具を見つけたらみんなとレベッカ先生に報告。いい?」

 「「うん。」」


 こうして、僕らはそれぞれ神具を探し始めた。神具探しもあるが戦闘試験の方が気になる。人同士の戦闘になれば何が起こるかは分からない。一応皆にはなるべくこちらからは仕掛けないように言ってある。その方がこちらの正当性が認められて後の問題が楽に片付くし。


 「じゃあ、僕らも行こうか。」

 「「おおー。」」

 

 ・・・

 

 「イルミア、大丈夫?」

 「ぇ、ぁ、うん大丈夫だよ。」


 本当に大丈夫かな?なんかだいじょばないような気しかしない。


 「マサ君、これからどうする?」

 「とにかく3日間過ごせるところを探さないと。この山広すぎるだろ。」


 そう、この学園の所有している山だが敷地が馬鹿みたいに広い。あちこちに洞窟の入り口があってそこから魔物の出入りも確認できる。


 「このどっかに魔獣クラスの奴がいるんだよな。」

 「ちょ、変なこと言わないでよ。」


 ユウキが急に僕の肩にしがみついてきた。ちょっとあたってます、当たってます。

 

 「ここはまだ人里が近いからいないと思う。」

 「イルミア、詳しいんだな。」 

 「そ、そんなこと、ないです。」


 自分に遠慮しがちな子だな。もっと自信持ってもいいと思うのにな、勿体ない。

それから1時間後、山の奥に葉で隠れていた洞窟を見つけた僕たちはその奥へと進んだ。結構中は暗く、周囲を明るくする魔法を僕とユウキで使って照らすと中はとても広大だった。


 「広いな、とても洞窟の中とは思えない。」

 「そう、ですね、これだけ広いのは珍しいかと。」

 「イルミアもそう思うのか?」

 「はい、本来はたくさんの魔物でいっぱいだと思いますが多分、入り口の結界ですかね。」

 「入り口の結界?」


 そんなものあったっけ?葉で、入り口が少しわかりずらくなっていただけで、侵入を拒むようなものはなかったと思うが。


 「イルミー、結界って?」

 「入り口にわずかだけど、魔法の痕があったよ。魔物の侵入を防ぐための。」

 「へ~全然きずかなかった。」


 いつそんなのに気付いたんだ。魔法の痕なんて全く気が付かなかった。それにしても、イルミアはリリィとは普通に会話ができるんだな。

 

 「イルミアもリリィとは普通に話せるんだな。」

 「まぁね。」


 ふふーんと、得意げに笑うリリィを横にイルミアはただリリィのことを見つめているだけだった。

 洞窟の中に入ってそろそろ10分位経つが洞窟の道は、いまだに続いている。一体どこまで続いているのやら。そんなことを考えていると、頭の中で急に声がした。


 「1組のみんな聞こえてるかな?急にごめんね、私、カロ。今4組の子から面白い情報を聞いたからみんなに教えるね。この試験にはボーナスアイテムがあってそれを集めるとポイントが加算されるんだって。ただ、どんな物かまでは聞かされなかったって。」

 

 ボーナスアイテムか。この試験じゃ神具を探すのが目的だが学園側もそんなものそう簡単に見つからないことくらい想定済みというわけか。


 「カロ、僕、村正。みんなもだけど聞こえるかい?」

 「うん、聞こえるよ。でもすごいね、こんなに簡単にできるなんて。」

 「どういうこと?」

 「私が使う前にもう2人もやろうとしたけど中々うまくいかなかったのよね。」

 「それで、これからが本題だけど、今後他のクラスに情報の開示を求められたらリタイアのことは話すことにしようと思う。どうかな?」

 

 「私はいいと思うよ。イルミアとリリィもいいよね。」

 「私はいいよ。」


 イルミアも軽く頷いた。他の子もリタイアについては話ことにした。ただ、神具のことはまだ秘密にしておくことにした。これは僕が直接先生の所に行って得た情報なのでそう簡単に教えるわけにはいかない。それにまだ神具がどんな物かもわからないのにそう簡単に振り撒くわけにもいかない。これで神具なんて「嘘でした」なんて言われて僕にあれこれ言われるのも困るので。


 「ボーナスアイテム・・・どんなものだろう?魔法具とかかな?」 

 「多分そうじゃないかな。神具とは言わなくても年代物の物かもしれないし。」

 「イルミアはどう思う?他にどんなものがあると思う?」

 

 イルミアは困ったように狼狽える。そして、リリィの後ろに隠れながら

 

 「ぁ、ぁあと、その、昔の魔法具とか、かな?」

 

 やっぱり、魔法具かな。ただそう簡単に見つからないだろうな。まず僕らはどんなものが魔法具かなんて見たところで判るわけではないし、みんなで探していて神具の方がおろそかにしてもなぁ・・・


 「みんな、僕らは神具の方を探そう。その方がいいだう。」

 「そうね、多分今のでみんながボーナスアイテム探しに向かったと思うしね。」

 

 僕とユウキで話しているとリリィが


 「おーい私たちもいるよ。」

 「大丈夫だから、ちゃんと覚えてるから。」

 「ほんとに~?」


 リリィが僕のことを下からのぞき込む。それに対し僕は思わず顔をそらす。ちゃんと2人もいることわかってるよ。ただ、なんとなくユウキの方が話しやすいだけでね。気にしてたらごめんなさい。


 「まぁ、ちゃんとわかってるならいいよ。」

 「はい。」

 「じゃあ、私たちはこのまま進むでいいのかな?」

 「うん、僕らはこのままこの洞窟を進もう。」


 その後もさらに進んだ僕らはかなり開けたところに出た。そこには天井には届いてないが全部で12本の柱が円形に並んでいた。円の中央には大きな魔法陣が描かれている。


 「なんかすごいところね。今までとは全然違う。」

  

 ユウキがそんな感想を言う。そうとしか言いようがない。ここだけ全く違う空間が広がっている。それに中央の魔法陣も何なのか見当がつかない。


 「あ、あそこに階段があるよ。」

 「「「えっどこどこ」」」


 みんなが一斉にイルミアの指さす方を見た。するとここの右の奥に確かに下に降りる階段がある。


 「さって、どうします進みます?」

 「進む。」

 「ススモー!」

 「リリちゃんが行くなら。」

 

 そういうとみんながせっせと先へと進もうとしたので僕は慌てて止めた。


 「ちょっと待ってね。今クラスのみんなと連絡取るから。」


 そうして僕は伝言魔法を発動させる。


 「みんな聞こえてるか?」

 

 ・・・


 「聞こえたよ。紺野君?どうしたの?」

 「その声はカロか?」

 「そうだよ。どうした?」


 反応があるということはまだ伝言魔法は使えるか。


 「僕らはこのまま神具探しを続ける。いいかな。」

 「わかったよ、今どこにいる?」 

 「今は、山の奥の方にある洞窟の中にいるよ。」

 「洞窟?」

 「解散したところから1時間位いったところかな。」

 「え?この山の洞窟って確か麓にしかないはずだけど。」

 

 ――は?


 「マサくーん、どうしたの?」

 「な、なんでもない。」


 呼びかけるユウキに返事をするためとは言え、何でもないと言ったけど、大丈夫かな? 

 それに、今の話が本当なら僕らが今いるここは何なんだ。


 「僕らは、このまま進む。また何かあったら連絡する。一応外から見てもらえないか。入り口の近くに大きな気が倒れてるから。」

 「わかったわ。ああ、後さっきレベッカ先生に会って2組の子が4人脱落したって。」

 「脱落って早くないか?」

 「なんか、魔物と戦闘して怪我してるって。一応気を付けてね。」 

 「わかった、ありがとう。」


 この洞窟は本来存在しない、だと。なら僕らの今いるここは一体どこだ?まさか入り口の結界って魔物の侵入を防ぐのが目的じゃなくてこの洞窟自体への侵入を防ぐのが目的だったのか。どうする今からならまだ戻れるが・・・。

 頭の中で考えた中で、僕は、まず、皆に相談してみる事にした。


 「みんなちょっと良い?。」

 「どうしたのマサ君?」


 いきなりだったのもあるんだろうけど、3人共キョトンとしている。


 「いま、外へ連絡をしたら僕らの居るこの洞窟、存在しない可能性があるっぽいんだよね。」

 「えっ?じゃあ私たちが今いるここってなんなの?」

 「わからない、だから決めてくれ、このまま進むか、引き返すか?」


 今ならおそらく戻れるだろう。だが、進んだら無事でいられる保証はない。だからわざわざ危険を冒してまで進む必要はないわけだが。


 「進む。」

 

 意外なことにイルミアが一番に行った。さっきはリリィが行くならと言っていたので少し驚いた。


 「いいのか?多分この先は何があるかわからない。最悪戻れないかもしれない。」


 イルミアが真っ先に進むと言ったのがリリィも意外だったみたい。けれど、イルミアが進むと言うと、嬉しそうに、彼女の意見に賛同したリリィ。

 リリィはイルミアの肩に手を置くと、


 「大丈夫だよ。いざとなったら紺野君がいるし、それにイルミアも、」

 「!!リリちゃんそれは」

 「まだ駄目?」


 「何の話?」

 「ううん、気にしないで。」


 イルミアとリリィはどういう関係なんだ?イルミアもリリィにだけは心を許しているように見える。今は無理でも、いずれ教えてもらうとしよう。これからゆっくり関係を深めていけばいいし。


 「よし、じゃあみんな進むでいいんだね?」


 パンパンと手をたたいたユウキが進むことを再確認する。


 「「うん」」


 こうして僕らは洞窟へと進んでいった。




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 「シギーちゃん、何で今までやったことのない試験をやろうと思ったの?」

 「まだ秘密で。必ず教える。母さんにはそのために来てもらったんだから。」

 「んもー。」


 試験が行われているのと時を同じくして学園では2人の会話が続いている。

 シギーの表情はとても硬く何かを思っているようだった。そんなシギーの事をイブは心配そうに見つめていた。

次回At.8洞窟の中

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