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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第2章 クレア学園サバイバル試験
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At6.得た情報の意味

 紺野村正は思い気持ちでその扉の前に立った。


 「ふぅ~、何だか緊張するな。」


 僕は、一度深呼吸をしてから扉をノックした。

 

 「入れ。」

 「失礼します。」


 中に入るとそこはきれいに整理がされた感じの部屋だった。そしてその奥に先生がいた。


 「何の用だ?」

 「今度の試験についてです。」


 先生はじっと僕を見てから、椅子に座るように言った。


 「なんか飲むか?」

 「じゃあ、コーヒーで。」


 「あいよ。」と先生が言いながらコーヒーを切れてくれた。結構おいしい。

 いつもの雰囲気からは想像ができないくらいとても落ち着いた空間だ。部屋の空気のせいか若干先生の顔が優しく見える。

 が、話が始まるといつも通りで、


 「それで、一体何を聞きに来たんだ貴様は?」

 「単刀直入にいいます。今度の試験で各クラスに与えられている情報を教えてください。」

 「2つ聞こう。1つ、なぜこれが試験だと思った?2つ、なぜ私に聞く?」

 

 先生から鋭い視線が飛んでくる。ここまで来たからにはあとには引けない。


 「1つ目の答えは、昨日のサバイバルの説明の時、先生が試験管をやると言ったのでこれが試験だと判断しました。」

 「なるほど、そこだけで貴様はこれが試験だと判断したと?」

 「はい。」


 判断材料が乏したっかたか?

 先生が黙り込む。やはり、試験なんて考えすぎだったのか?いや、あれだけ情報が分散してるんだそれはないはずだ。

 

 「2つ目はなぜだ?」

 「今日先生のところに来たのは、他のクラスもこのことに気付いていることを考えたからです。」

 「つまり?」

 「このサバイバルに関する情報でクラスごとに違いがありました。現在僕たちの得ている情報は3つです。1つは、これが試験である可能性。2つ目は、3組に与えられたチームを組んで行動すること。3つ目は、危険生物の件です。」

 「つまり?」

 「他のクラスも情報の違いに気付いて何かしらの行動を起こすと考えました。そうなると、正しい情報を得るのが困難になります。そうなる前に先生から情報を聞きたいと思いました。」


 言うだけのことは言った。あとは、今のことがきちんと的を射ているかどうか。的外れなら初めから考えなおしだ。

 先生は自分の机で手を組んで目をつむったまま聞いていた。それから、にやりとすると、


 「中々いい線だ。そうだこれは試験だ。だが試験であることは全クラスに伝わっている。」

 

 試験のことは全員知ってる?なら、僕たちに与えられた情報って一体?


 「ですが、昨日の感じではみんな試験であることを知らないような感じでしたよ。」

 「それは、1組の話か、全体か?」

 「少なくとも僕は全体でそう感じてます。」

 「なら、考えは2つだな。1つは、貴様の言った通り既に他のクラスでも動きがあった。もう一方は、全員がバカかのどっちかだ。」


 くっそ、すでに気付いてる可能性もあるのか。だとしたら、ユウキのほうが心配だ。彼女には、他クラスからの情収集を頼んである。間違った情報を渡されたらこっちが不利になる。


 「ずいぶん焦った顔をしているな。まっ、そう慌てず落ち着け。心配せずともこれが試験だと気づいたところで、貴様の言った情報の違いに気付かない限りその先には進めんさ。よく気付いたな情報の違いに。」

 「偶然ですよ。」

 

 よかった。まだ気付いてない可能性のほうが高いのか、なら安心できる。情報の違いに気付くことがやはりカギだったか。


 「この試験、開始までに情報を持ってないとすぐに脱落するぞ。」

 「それは、リタイアってことですか?」

 「いや違うぞ。リタイアはそこまでの成績が残るが、脱落はすべて水の泡だ。もうわかったな。」


 そうか、僕らに与えられた情報は試験ではなくリタイアが可能なこと。試験のことが全体に行かないのは確かにおかしい。出ないと圧倒的に他クラスが不利だ。だが、試験だとわかればいずれ情報戦が始まるだろう。そうならに事を祈りたいんだがな。

 

 「それで先生、他のクラスにはどんな情報が?」

 「それを教える訳ないだろ。」

 「ですよね~。」


 やっぱりだめだよね、おかげで一気に疲れが出てきた。せっかくここまで気を張ってたのにそれが急に消えてなくなった。


 「どうした、急に魂が抜けたみたいになって。今まで虚勢張ってたのが解けたか。」

 

 先生に今までの態度を見破られて思わず赤面してしまう。先生は軽く笑ってる。


 「そうだな、せっかくだから1つ教えてやろう。」

 「何ですか?」

 「神具を探せ。そうすれば試験はクリアできる。これ以上は何も言わん。」

 「あの神具って。」 

 「何も言わんと言ったろ。さっさと帰れ。魔法のこともあるだろ?」

 

 先生には、はぐらかされてしまった。けど、いい情報を手に入れた。試験にクリアする条件、神具を探す。神具がまだどんな物かは分からないが情報を二つ手に入れたのは大きい。


 「何を呆けている、さっさと出て行け。」

 「ああ、はい。失礼しました。」


 ぱたん。扉を閉めてから一つため息をついた僕は自分の部屋に向かった。さて、向こうの収穫はどうかな?こっちは一応あるから向こうに収穫はなくても、そこまで問題はないが。


 「ただいまー。ユウキいる?」

 

 ・・・


 まだ帰ってないか。疲れたしひと眠りするとするか。それにしても神具か。一体どんな物なんだろう。試験の課題に出るものだからそこまで大したものじゃないのかな。


 「くん、マサ君、起きて。」

 「ん、んんん。」

 「もーやっと起きた。いつまで寝てんのよ。」


 この声ユウキ?帰ってたのか。ゆっくりと目を開けるとそこには帰ってきていたユウキがいた。


 「あれ、僕どのくらい寝てたんだ?」

 「今何時だと思ってるの?」

 「え?」


 外を見るともうとっくに日が沈んでいる。どうやらかなりの時間眠ってしまったようだ。見ると、ユウキはシャワーを浴び終えたところのようでまだ髪が若干濡れている。


 「帰って来たらマサ君が寝てたから起こさないようにそっとしておいたんだよ。ただ、シャワー浴びたかったから起きないように静かにしてたけどまだ寝てるんだもん。」

 「ごめん、気を使わせちゃったね。気遣ってくれてありがとう。」


 時間は夜の8時を回っている。かれこれ3時間は寝ていたか。結構寝ちゃってたな、これで夜寝れるかな。ユウキにも気を使わせてしまった。

 ベッドから出た僕は、シャワーを浴びてから今日先生に聞いたことをユウキに伝えた。特に試験の話が学年全体に伝えられている点に関してはさすがにユウキも驚いたらしい。当初、僕らはそのことが1組の情報だと思っていたんだし当然と言えばそうなのだ。それから僕は、新たに手に入れた情報をユウキに伝えた。


 「神具か。でもほんとにそんなものあるの?」

 「どういうこと?」

 「だって、神具って確かものすごい魔法具のことだよ。普通そこらへんに落ちてるものじゃないよ。」

 「まあ、名前からしたらある程度想像がつくけど。」

 「でも、試験って毎年やってるんでしょ?」

 「そうなんじゃないの?」


 毎年やってるもんじゃないのか?でもそうしたら神具なんてもうとっくに誰かがもっていってるはずだよな。じゃ、今までの試験のクリア条件ってなんだ・・・だめだ考えすぎると頭がおかしくなりそうだ。


 「それで、ユウキの方はどうだった?」

 「私の方で新たに判ったには1個だけだった。」

 「どんな情報?」

 「ボーナスアイテムの存在かな。」


 ボーナスアイテム?試験中に探す神具とはまた別な物なのか。色々と探すものが多い試験だことだ。この試験は僕らの実力を図るための試験だよな。今まだ集めた情報を照らし合わせてもとてもそれだけが目的とは思えないな。ただ、実力を見るだけなのにここまで大掛かりなことをするか普通。


 「とりあえず、大分情報は集まったな。」

 「そうだね、特に試験クリアの情報は大きいし、これはクラスのみんなにも伝えた方がいいね。」

 「ああ、そうだね。」


 ぎゅるるるる・・・


 「ごめん、お腹すいた。」


 そういえば夕飯まだ食べてなかったな。でもこの時間だと寮の食堂はしまってるし、どっかに買いに行くしかないか。

 

 「マサ君、よかったら何か作ろうか?」

 「え、いいのか?」

 「これでも、料理は得意な方よ。」

 「お願いいたします。」

 「じゃあちょっと待っててね。」


 そういうとユウキは部屋を出て行ってしまった。

 これはまた意外だな、ユウキが料理得意だなんて。普段の態度からは想像できないや。でもちょっと楽しみだなユウキが作ってくれる料理。

 一緒の部屋になってまだ10日も経ってないのにユウキはよくここまでしてくれるな。僕なら多分ここまではできないかも。ここは彼女に見習わなくてはいけないな。

 それからしばらくして、


 「ごめん待った?下に行って材料もらってきたよ。」

 「え?わざわざもらってきてくれたの?」

 「だって、そうしないと作りようないしね。」


 そういうと彼女はせっせと、下準備を始めた。とても慣れた手つきをしている。


 「ユウキは普段から料理はするの?」 

 「そうだね、家にいた時はお母さんと交代で作ってたし結構やってる方かな。」

 「そうなんだ、僕はいつも作ってもらうばかりだったからな。」

 「男の子でも料理はできないとだめだからね。今度私が教えてあげるよ。」

 

 そんな会話をしているうちにユウキの料理が完成した。

  

 「簡単な物だけど我慢してね。」

 「作ってもらえるだけありがたいさ。」


 早速いただくとしよう。

 うん、これは美味い。短時間で作った割にはよくできている。


 「どう?私の手料理は?」

 「最高です。」

 

 15分程で食べ終わり、僕はさっきの話の続きを始めた。また明日、クラスのみんなを集めて僕らで情報の共有をしなくてはならない。特に試験クリアの条件は大きな情報だ。これを持っていれば多少他の情報を持ってなくてもこちらが有利なのは変わらないいはずだ。僕とユウキで分担してクラスの子に連絡を取り明日の午後3時に会議室に集まってもらうようにした。午前は僕も魔法の練習に当てたい。サバイバルまであと2日しかない。だから、簡単な物だけでも物にしておかないと、いざというときに行動できなくなってしまって脱落・・なんてことになりかねない。


 翌日、僕は魔法書をもって学園内にある魔法の練習場に向かった。しかし、そこはかなりの人で混雑していた。試験が近いせいもあってみんなが必死になって魔法を覚えようとしている。


 「ここじゃ無理だな。他を探すか。」


 しばらくあちこち歩いてみたがどこにも練習できそうなところはない。これは参ったな。早くしないと会議の時間になってしまう。しかし、そんなことをしているうちに時間になってしまった。


 「ええ、では今から2回目の会議を始めます。初めに新たに入手した情報から発表します。」

 「新しい情報あったの?」


 リリィが興味津々に聞いてくる。今話すから待ってて。


 「まず初めに、試験のことだが全クラスに伝わってるらしい。」

 「「「ええーーーーーーーー!!!」」」


 みんなが大声を出して驚いた。そんなに他のクラスもこれが試験だなんて思ってないのか?本当は気づいて知らないふりしてるだけじゃないの?


 「でも、私今日他のクラスの子に話を聞いたんだけど、とてもそんな風には見えなかったよ。」


 クラスの子の一人がそう言った。彼女の名前は確か


 「シェネル、その子他には何か言ってかい?」

 「うーん、特には言ってなかったかな。てか、紺野君よく私の名前覚えてるね。」

 「一応クラス全員は把握してるよ。」

 「すごーい。」


 僕は、両親の変な教育のせいで色々と変な力がついている。記憶力もその一つだ。そんなことは今はどうでもよくて、


 「それと、これはトップシークレットでお願い。」

 「どういうこと?」


 リリィが聞いてきた。


 「これは試験のクリア条件だ。」

 「おおお、それなんと。」

 「それは、神具を探すこと。」

 「神具?」

 

 「魔法道具の中でもかなり高位な物のはずよ。」


 ユウキが僕の説明に付け加える形でさらに説明を続ける。


 「ただ、神具なんてそうそうあるもんじゃないから本当にそこにあるかは分からない。」

 「つまり、このサバイバルがただの試験でもないかもしれないってこと。」


 自分で言っておいてなんだが僕もいまいちよくわからない。初めはただのサバイバルでないと思っていたのに今度はそれが試験だと判明するとさらにそれがただの試験でないように思えてきた。そもそもこのサバイバル試験自体毎年やってるのか?


 「誰か、去年はどうだったか知ってるか?」

 「それがね、この試験多分初めてじゃないかな?」

 

 リリィが嫌な予感をあてに来た。やっぱりそうなのか。だとしたら学園の意図は一体何なんだ?この情報自体にも何か裏があるんじゃないか?

 

 「とりあえず、他の情報も伝えるよ。それと、まだ試験のことがわからないからこのことは伏せておいてくれ。余計な混乱を避けたいんだ。」


 「「「はーい。」」」


 みんな素直で助かるな。以前の僕ならそんなことはなかっただろうに。


 「それじゃみんな解散。明後日から始まるから準備はしっかりやろう。危険生物もいるみたいだし、もし何かあったらすぐリタイアしよう。変に生き残って脱落だと意味がないからね。」


 こうして今日の会議は終了した。この後、僕とユウキとリリィの3人でさらに話し合った。場所は僕らの部屋。誰かに聞かれてはまずいからね。


 「今まで得た情報についてどう思う?」

 「私は、学園が何かをしようとはしていると思う。リリィは?」

 「ううん。私にはさっぱり」


 リリィは首を横に振った。なんとなくだけど彼女にこういう難しい話は向かない気がする。それよりは、行動してもらう方がよっぽど向いている様な?


 「あでも・・・。」


 リリィが何か言いそうになったが、途中でやめた。


 「でも?」

 「ううん、やっぱ何でもない。」


 彼女が何を言おうとしたのか、深くは聞かなかった。リリィの表情がこれ以上は何も語らない。そう言っている様に見えた。何故そう見えたのかは分からないが。


 

===============================================


 そしてついにやってきた。

 みんなの前にはレベッカ先生が立ってる。


 「よーしよく聞け。今からサバイバル戦闘試験を開始する。ルールは各クラスにバラバラに伝えてある。知りたければ聞け。ただしそれが正しいかは貴様らで判断すること。」


 1組以外のクラスからは混乱の声が上がってる。だが、戦闘試験は聞いてない。これはこっちも初耳だ。戦闘相手は人か、魔獣か?様々な混乱を与えた開始の宣言はここに上がった。


 「では、開始!」

 

次回At.7チーム分け

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