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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第5章 ルマニミ王国
57/165

At57.期末試験と結果

 「それでは・・・・開始!!」


 試験管であるレベッカの合図によりクラス全員が一斉に回答を始める。

 今行われているのは座学の期末試験の最終科目である魔法史。内容は推測できるように魔法の歴史である。これとは別にインディアル王国の歴史やその他の国々を含めた世界史もある。

 試験時間は60分。時間的には普通・今までの科目でも十分にみんなが回答できていた。


 問題1.現在は初級魔法として使用。呪文の開発者の名前から付けられ、主に球体のものを飛ばす魔法の開発者はだれか。


 お、これは簡単だ。答えは、フィール・マクベル。

 ま、簡単なのは初めのうちだけだよな、きっと。


 村正をはじめどんどん回答を進めていく。先日の勉強会で苦労していたリリィも順調に回答を進める。


 あの時、ちゃんと勉強会しといてよかったな。


===============================================


 村正がユウキの雷を受けて気絶してから1分。村正が目を覚ます。


 「あ、起きた。」

 「急にはそろそろやめてくんないか?」


 出ないと本当に死ぬかもしれないから。


 「いや、誰だってあんな場面に出くわしたらああなるって。」

 「そうかもしれないけど、雷はどうよ?もうちょっとましなのないの?」


 村正はユウキに別の方法を模索するように言うが、


 「マサ君の場合、これくらいしないとダメ。」

 「ひっどいな。」

 「大体、シロちゃん使って何してんのよ?」

 「今回はシロのほうが先、シ・ロ・が!!」


 自分の無実を必死に訴える村正。ユウキの目はまだまだ村正のことを疑っている。


 「そもそも何でシロは急にこんなことを?」

 「えっと、ですね。」


 すでに元に戻っているシロ。何やら指を合わせながらもじもじするシロを見て何か裏があると考える村正。


 「それはですね、あの人に言われたんです。」

 「あの人って?」

 「イ、イブさんに。」


 またあの人か!!


 「で、何を吹き込まれたの?」

 

 村正はシロの肩を強く掴む。シロはビクッとする。

 

 「お、お兄ちゃんにですね、い、い・・・」

 「い、何?」

 

 シロは顔を赤くしながらその先をいうのを渋る。この地点で村正はシロがイブに何をするように言われたのか察しがつ村正。


 「まさか・・・」

 

 ユウキも村正同様察しがついたもよう。


 「お兄ちゃんに、色仕掛けをしてみてと頼まれまして。」

 

 ほほおう。誰だ、そんなことをシロに吹き込んだのは。今のところ犯人は2人には絞れてる。


 「で、誰に頼まれたんだ、シロ。」

 「そ、その、ですね・・・」

 「怒らないから、言ってみ。」


 村正の態度は怒った時の母親の態度そのものである。シロは目を泳がせながら小さく呟く。


 「イ、イブさんに・・・」


 やっぱりか。なんでもかんでも試すのはよしてほしい。特に今は試験前なんだから。次の試験が終わったらシギーさんにチクっとこ。


 「いい、今後もしまたそんなこと言われたら絶対断ってくれよ。でないとまたユウキに何されるかわかんないから。」

 「いつもはしないからね。」


 村正のさりげない一言まで聞き逃さないのがユウキ。その辺りは村正も参ってしまう。


 「これで、今回は僕が無実であることが証明できたでしょ?」

 「確かに、今回は!ね。」

 「何でそこを強調するのさ。」

 「もしかしたら今度はマサ君が直接命令下す可能性も否めないし。」


 どこまでも疑うな。僕ってそんなにその辺りの信用薄いかな?

 

 村正は今までのユウキに対することを思い返すと心当たりが多すぎて自分に反論できないことに、どうしようもない気持ちになった。

 

 「ユウキ、着替えるの早かったね。」

 

 村正は、話題を変えようと、ユウキに話を振った。


 「そーお?いつもマサ君が知らないだけでこの程度よ。ねぇ、シロちゃん。」

 「そうですね、普段通りかと。」


 この2人は僕の知らないところでの付き合いもありそうだな。僕が寝てる時とか2人で何か話してはいるんだろうが、あまり聞かないようにしている。女の子同士の会話に男子がいきなり入るのはご法度と昔母さんに言われた覚えがある。


 「で、マサ君はいつまでそのままなの?」


 村正はシロとのことで制服のままだった。慌てて着替える村正にユウキはため息を吐く。

 

 「ご、ごめんちょっと待ってて。」

 「早くしなさいよー。」

 

 村正に声を掛けるユウキをシロが見上げる。


 「今日は、この部屋を使わないのですか?」

 「うん、今日はリリィの脱走防止も兼ねてあっちの部屋でね。」


 勉強からどうしても離れようとするリリィに頭を抱えているイルミア。彼女の助っ人も兼ねて自分たちの勉強会も開こうとユウキが提案した。


 「お待たせ。」

 「・・・」

 「どうしたの?」

 

 村正の姿をみてユウキは無言で彼のことを見続ける。それは、彼の着ている服装に違和感が彼女にはあった。


 「前から気になっていたのよ。」

 「何が?」 

 「マサ君のその服装。」

 「何か変?」

 「変って言うより、あんまり見ない服よね?どこで手に入れたのかなって。」


 村正は今まで気にしていなかった。この世界では村正には普通の服装のつもりでも、この世界の住人からしてみればそれは普通にはならないことを。

 村正の着ている服は元の世界では普通のポロシャツにジーンズ。当然、この世界では売っているわけはないので今の不思議だが、あの世界の知識を有しているイブに特注で作ってもらった。 

 今村正の所持している私服は殆ど、元の世界の物と変わらない。そのせいか時々周りの目を引く。ジャージが普通に存在しているのが不思議になって来る。


 「これは、秘密。ごめん。」

 「何で?」

 「この服を貰った時の条件なんだ。」


 村正は両手を併せてユウキに謝る。ユウキもそれ以上は追及しない。


 「まあ、いいけど。」


 どうにか、ごまかせた。

 この世界に転生してきた時は別に何とも思わなかったけど、あの人普通の教師、だよな。何で僕をこの世界に転生なんてさせることが出来たんだ?

 

 村正のこの時抱いた疑問はいずれ大きな問題へと発展していくことなど、知る由もない。


 「マサ君、そろそろ行く?」

 「もういいかな?」

 「平気だと思うわよ。すぐに行くとは伝えているし。」

 

 ならばと、村正とユウキは必要な物を持ってリリィたちの部屋へと向かう。勿論シロは一度もとに戻ってもらう。誰かに見られては洒落にならない。

 村正とユウキは寮の廊下を並んで歩く。こうして2人で歩いている姿を目撃されることは少なくない。それが原因で2人が付き合っているという話が上がることに気付かない。

 リリィとイルミアに部屋は村正達の部屋からはちょっと階段のところまで戻っていく感じになる。

 部屋の扉の前に着いた2人。村正がノックをすると、中からイルミアが出て来た。


 「早かったかな?」

 「ううん、全然。どうぞ。」


 イルミアに案内されて部屋の中に入る。部屋のつくりは村正達に部屋と大差ない。この学園では各学生の部屋において特に大きな差が無いように作られている。それが、基本的に部屋変えが無い理由でもある。若干の例外はある。相手が会わなかったときとか・・・。


 「「・・・」」


 部屋に通されて村正達は寝室の方に通される。そこにあったリリィとイルミアの机。片方は綺麗に整理されていてもう片方はあれている。その荒れ模様を見た2人は絶句した。


 「「こっちがイルミア、こっちがリリィ。」」


 2人してそれぞれの机を指さしてどっちがどっちの机かを言い当てる。


 「「どう?」」

 「うん、正解。」

 「ちょっと、ひどくない?」


 リリィが奥からやって来て反論するが、この惨状ではどうしようもない。


 「そう思うのなら、綺麗にすることね。」

 「んー、努力はしてるんだけど・・・」

 「あ、これは上手く行かない人のパターンね。」

 

 ユウキはリリィが絶対にこの状態を脱出できないと悟り、今後もリリィが大変な目に合うんだろうなと思う。


 「さって、じゃあ、始める?」

 「えーー、もう?」

 

 この期に及んでまだ逃れようとするリリィ。


 「でないと、レベッカ先生と2人きりの補習行きよ?」

 「なんでユウキ楽しそうなの?」

 「それも見て見たい。」

 

 ユウキにこんな一面が・・・


 「うぅ・・やるしかないのか。」


 観念したリリィは小さな机を持ってきた。小さいと言っても4人が勉強する道具を置ける大きさはある。

 

 「それで、誰が面倒みるの?」

 

 ユウキが誰がリリィに教えるかと言いだした。村正はその都度かと思い込んでいたが、それでは遅い様だ。誰かがつきっきりで次の範囲の中からさらに、試験に出そうな範囲を徹底してリリィに叩き込む。完全に山を張るようだが、リリィが次の試験を突破する方法はこれしかない。


 「私、そこまで馬鹿じゃないよ~。」

 

 完全にアホの子扱いされて涙を流すリリィ。そのリリィの頭をなでながら話を進めるイルミアの見ると、これが普段通りの2人なんだと思うのであった。

 

 「とりあえず、出そうなところから順番にやっていくしかないわね。」

 「結構量あると思うけど?」

 「そうは、言っても試験問題にするとしたらそれが出来そうな部分はある程度絞れるし、先生も授業中に大体の範囲は言ってたわよ。」

 「確かに、そうだが、それだけだと・・・・」


 そう、本来ならばその範囲だけでも特に大きな問題はない。ないのだが・・・

 

 「リリィには1つ問題が。」

 「ああ、それだけだと点数届かないか・・・」

 「うそー?」


 一番驚いていたのは何故かリリィだった。


 「何でリリちゃんが驚くの?そもそもリリちゃん、何で今までの魔法史のテストの点が、壊滅してるの?」

 

 おっと、これはかなりレアな光景では?あの、イルミアがお説教モード。


 「馬鹿なこと考えないの。」

 「あれ、この考えは伝わったの?」


 本当に、つくづく悩まされるユウキの能力。そろそろ、原因やら何やらが解明されると良いんだが。


 「いや、テスト中に寝ちゃって。」


 笑いながら話すリリィに対し正座で対応するイルミアは完全にお母さんだ。


 「嘘でしょ?」


 イルミアは頭を抱える。それを見てユウキがなだめるが、イルミアに入ったダメージは相当のようだ。


 「リリィ、テスト中はどんなに眠くても、寝ちゃ駄目!」

 

 村正がリリィに小学生相手にするようなニュアンスでモノを言う。だが、これで本当にリリィに伝わっているかまでは恐らくイルミアも考えてはいないだろう。

 

 「こうなったら、徹底的にリリィの面倒を見るわよ。」

 

 要は、この場にいる3人全員でリリィのことを見ると。僕ら自身はどうなるのやら・・・


 「では、みなさんよろしくお願いします。」


 礼儀正しくお辞儀をするリリィだがすぐにユウキに「調子に乗らない」と怒られた。

 それからはさきほどの図書館での続きから始めることになる。今回はまほうが誕生してから500年まで。何か物事が誕生してから500年もの時が一気に進むのはそれだけ遠い昔の話なのだろう。反対に言えば、歴史が近ければ近いほど短い年数になって来るだろう。


 「魔法史って、歴史のわりに、その魔法の効果についても問われるよね?」

 「それは、その魔法が考案されて以降どのように発展し、形を変えていったのか。そう言うことだよ、紺野君。」

 「形を変えていったか。そんな大昔のことは分からないな。要は初級魔法となってからどうなって行ってのか?でいいの?」


 イルミアが村正の疑問に答えさらに村正が気になったことを質問していく。


 「そうだね、例えば紺野君がよく使う”フィール”なんかが一番分かりやすいんじゃないかな?」

 「あれが?」

 

 村正は頭の中で思い浮かべる。


 「今でこそ”フィール”は様々な形をするけど、かつてはただ単純い物を破壊するだけの物だった。」

 「今は、それ以外にも用途はあるか。」

 「そ、ほら、”イン・フィール”なんてそうでしょ?」

 「あ~、確かに、あれは可燃物に当たれば燃えるし。」


 なるほど、形を変えるとはそう言うことになっていくのか。それじゃ、”クライスト・フィール”なんて物騒な物を考えた人は何がしたかったんだろうな。当然一番初めからあったわけじゃないだろうし。


 「ねぇねぇ、ここ教えて。」

 「どこ?」

 

 村正の質問にも急にリリィから入った質問にもそつなく対応するイルミアを見て村正は彼女の知識の豊富さに恐れ入る。まだまだ、座学では殆どの人に及ばない村正。そこは彼も早く追いつきたいと考えている。 

 基礎と言うより、前提がまずない村正に問って歴史は厳しい。それは中学、高校の世界史とはまたわけが違う。全くの範囲外。


 「ああ、ここはね。」


 村正に教えるイルミアに変わってユウキがリリィのフォローを行う。


 「僕ばっかで悪いかな?」

 「そんなことないよ。私だって万能じゃないんだし。そこはお互いさまだよ。」


 分からないところを教えあうのに一方的もないか・・・。ま、何度も聞いて迷惑にならなければいい話だし、反対に今度は僕が教えられる立場になればいいか。

 

 「僕も力になれるところあったら言って。」

 「その時はお願いね。」

 「うん。」

 

 村正とイルミアの様子を見ていたユウキが横やりを入れる。


 「気を付けなよ、イルミア。」

 「気を付けるって?」

 「マサ君、今は全然自身無いって言ってるけど、試験終わったら平気で高得点叩きだすから。」

 「そ、そんなことわかんないだろ?」

 「どうだか、前回の試験も成績よかったくせに。」


 自身無いのは事実だし、前回の結果がよかったのは単に偶然勉強していたところが出ただけのこと。今回もそうなるとは限らないし、今回は範囲も広い。おまけに記述の問題もあると来た。流石に前回と同じをはいくまい。


 「じゃあ、もし成績よかったら今度ご飯奢って。」

 「何でそうなるの?」


 ユウキの無茶な要求に村正は無理と言うが、ユウキも引こうとはしない。だが、これが村正とユウキと言う2人の関係であるがため、誰もこの2の話を止めようとはしない。その方が見ていておもしろいから。


 「じゃあ、私にもご飯奢って。」


 ユウキに続いてリリィまでもが村正に要求をし始める。村正はそれに対しチョップでその意思がないことを示す。

 

 「いいから、早く自分の勉強しろよ。君の為の勉強会だろうが。」

 「ケチ!」

 

 子供かっ、

 内心そう思うが、これ以上だとリリィのペースに乗せられるので一度ここは深呼吸をして自分を落ち着かせる。


 「よし、勉強続けよ。」

 「そうしましょうか。」

 「うん。そうして。」


 何故か最後のイルミアの言葉は重く響いた。その言葉で最も大人しくなったのがリリィ。イルミアが完全に怒り出す前におとなしくするのが賢明だと彼女は察した。

 

 こうして試験の前夜まで毎日リリィたちの部屋で勉強会が行われた。皆それぞれ不安なところは互いに教えあって苦手を克服。一番の課題のリリィにも出来るだけのことはやった。後は試験を行うのみとなった。


===============================================


 試験が始まってから半分が過ぎたことろで村正は最後の記述問題に差し掛かった。この問題が最も配点の高い問題となる。それだけに余計真剣になる。


 問い:かつて使用されていた魔法の中には既に失われたものも数多く存在するとされている。その中から、魔法魔法誕生後僅か100年で姿を消した魔法に付いて、どのような物があり、どんな効果を持ち、そして何故姿を消したのかについて記述せよ。但し、70文字以下の物は採点外とする。


 やっぱり最後はこれだよな。勉強しといてよかった。

 

 最後にはこういう問題が出るだろうと予想していた村正達は黙々と回答を進める。村正はちらっとリリィの方を見ると、何故か滅茶苦茶沈んでいた。


 ああ、リリィ終わったな・・・


 村正が回答を書き終えてから暫くして試験終了の合図が入る。村正はこれでようやく夏休みに入れると思うと気が楽になった。

 中にはそうでないものもいるが。


 「はー・・・」

 「だ、大丈夫リリちゃん?」

 「イルミー、私に出来ることはやったよ。後は結果を待つだけさ。」


 既に白くなっているリリィ。初めの内は問題なくこなしていたが、後半の問題がリリィには響いたらしい。


 「これに懲りて次からはしっかりと勉強することね。」

 「ま、まだ分からないよ。」

 「イルミアも甘いわね。」


 

 後日、試験の結果が張り出され、見事リリィは補習決定となったのであった。


 「ま、まあ、私も手伝うよ。」

 「うん、ありがとう。」


 こうして、リリィの夏休みは補習と言う形で幕を開けることとなる。



次回At58.呼ばれた訳

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