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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第5章 ルマニミ王国
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At56.期末試験勉強

新章開幕です。

今回もまた長くなるかと思いますが、よろしくお願いします。

 クレア学園では夏の魔術祭が盛大に終わり、もうすぐ夏休みが訪れようとしている。どこ世界においても長期休みは存在するもんだと思う。

 夏休み、それは誰もが無条件に喜ぶものである。だが、長期休みへとたどり着くには大抵大きな問題も一緒に付きまとう。それが、


 「期末試験・・・」


 そう、深刻そうに呟くのはリリィ・ヒュンゲル。机に肘を乗せ手を組んで顔の前に置く。


 「それは私にとって最も脅威となり得る存在である。」


 机に目を向けながら開かれた本とのにらめっこ。向かいでは静かにイルミアが黙々と勉強を進める。


 「さて、質問だイルミー。」


 リリィの言葉に無言を突き通すイルミア。リリィは無視されたことにちょっと傷つきながらも続ける。


 「私がこの脅威に立ち向かうためにはどうすればいいのだろうか?」


 目をイルミアに向け返事を下さいと送るリリィ。イルミアは目を併せたあら負けだと思うのか、絶体に顔を上げまいとする。


 「他の意見も聞きたい。紺野君は如何かな?」

 

 村正は自分に話が振られたことにビクッと体を震わせる。横ではユウキが次は自分ではないかと冷や冷やしているのが見て取れる。


 「・・・」


 イルミアでさえ答えなあったことに村正が答えなかったということは、意味がないと判断した村正はイルミア同様無言を突き通す。


 「その無言は意見無し、と言うことかな?」


 リリィの発言を無表情で受け流す。そして最後のユウキにも質問が飛ぶ。


 「では、ユウキ」

 「少しは真面目にやりなさい!」

 「あいた。」

 

 リリィが全てを言い終える前に横に座っているユウキにペンでおでこを突かれる。リリィはおでこを抑えなる。


 「んん、私は真面目だよ~。」


 どの口が言うか、と言いたそうなユウキ。それを見て村正とイルミアは顔を見合わせて微笑しあう。


 今、村正、ユウキ、リリィ、イルミアの4人は学園内にある図書館で期末試験に向けて試験対策を行っている。主にリリィの成績をどうにかしなくてはと、()()()()から村正達にSOSが出た。つまり、イルミア1人ではどうすることもできなくなった。

  

 「いい、リリィ。今回はあんたの為にこうして勉強会やってるんだからね。」

 

 前回の試験の結果の悪さをイルミアに黙っていたリリィだったがユウキによってそのことが伝わってしまい、イルミアに勉強をさせられていた。


 「でないと、あんた休み消えるわよ?」

 「ううぅ・・。確かにそれは嫌だけど。」


 一体リリィは何でこの学園に入れたのか不思議に思うユウキ。


 「まあ、リリちゃん腕は確かだから。」


 ここでフォローを入れるあたりやっぱりイルミアだと思う村正。それと同時にリリィが実技の点数で入れたんだと思う2人。


 「で、座学は元から苦手なの?」

 「うーん、別に苦手って訳じゃないんだけど・・・」

 「ごめんね、興味のないことには無関心で。」

 

 なるほど、普段寝てるのはつまらないからか。

 なんと分かりやすい駄目な考えだろうか。


 「因みに、何が出来るの?」

 「それは、これを見て考えて。」


 そう言ってイルミアが出したのは前回のリリィの試験の物。


 「「ああ、これは・・・」」


 村正とユウキはリリィの結果を見るや否や見なかったことにしようとする。


 「ちょっと、何で2人もイルミーと同じ反応するのさ。」


 それはしたくなるよ。よくレベッカ先生の雷落ちなかったな。それとも落とす気も失せたのか?だとしら別の意味ですごいと言える。

 だが、この点数はまずいのではないか?座学は今まで行われた合計が200点超えないとまずいのではないか?


 このクレア学園で最も重視される座学の科目は2つ。魔法史と魔法の基礎知識。それぞれ200点が必要で、その他の科目も必要な点数は違うが、求められるのは同様である。リリィが最も危ないのが魔法史である。

 魔法史とは魔法と言う概念が誕生してから今に至るまでの歴史を2年かけて学ぶもの。今回の期末では誕生から500年くらいまでが範囲。


 「リリィ、他の座学はそれほど問題はないのに、何でこれだけ?」

 「そうねー、確か普通の歴史もあんた点数悪くなかった?」

 「あ、そっちはギリギリ何とかなりそうなの。」

 「じゃあ、問題は魔法史だけ?」


 村正とユウキがリリィの弱点克服へと動こうとする。そんな中、


 「スー、スー、スー・・・」

 「「「・・・」」」


 いつの間にか眠りについてるリリィを持て絶句する3人。イルミアは頭を抱えしゃがんでいる。そんなイルミアを村正が労る。


 「も、どうするのよ。」

 「イルミア、いつもお疲れ様。」

 「ありがとう。」


 はぁ、とため息を吐くイルミアを見て余計にリリィに翻弄されているのが伝わってくる村正とユウキ。


 「まあ、ちょっと休憩する?」

 「そう言えば結構時間経ったっけ?」


 かれこれ4時間ぶっ通しで勉強してきた。リリィが寝るのも無理ない。


 「子供のころから疑問だったんだけどさ。」

 「何よ唐突に。」

 「何で長期休みの前って試験するかな?」


 中学もそうだが、小学校の時でさえあった。しかも、休み明けにも試験をしたがるのがいまいちわからない。課題だって出てるし。


 「まあ、それまでやって来たことが出来てなかったら意味ないしね。」

 「そうですよ。せっかく勉強したことを忘れていたら大変じゃないですか?」

 「それは分かるけど、来年絶対忘れてるよね。」


 よくある、1年前に習ったことは覚えてないというやつ。それを何年も繰り返す。


 「でも、忘れたら絶対に怒られるわよ。」

 「誰に?」

 「言うまでもないでしょうよ。」


 ああ、まあ、確かにレベッカ先生なら教えたこと忘れたら怒るだろうな。


 村正はレベッカ先生が次第に怒る様子を思い浮かべると身震いする。

 

 「あっはは。」

 「でも紺野君達は大変だよね?」 

 「大変てのは?」


 イルミアが唐突に妙なことを言いだす。


 「ほら、魔術祭終わってすぐでしょ?」

 「うーん、別に大変ではないかな。一応休みは挟んだし。試験は来週だし。」

 「そうね、私も空いた時間とかは使えてたし。」


 言い返せばこの中では恐らく暇な部類にいたはずのリリィが何故こんなにもピンチなのかと言う話。


 「全く、リリちゃん、もっと早くに教えてくれたらしっかし対策出来たのに。」

 「早く知っても結局は同じだったと思うけど・・・」

 「私もマサ君に同じ。」

 

 結局はこうなってしまうという結論に辿り着くのだと諦めるイルミア。そんな3人を他所に気持ちよさそうに寝息を立てるリリィを見て3人はため息を吐く。


 「うへへへ~。」

 「リリィって後何点足りないのよ?」

 「ちょっと言いずらいんだけど・・・」


 言い渋るイルミアを見て村正とユウキは息を飲む。そんなに悪いのかと。


 「「はーーーーーーあ!?」」


 リリィが夏休みを獲得するのに要する残りの点数、75点。過去3回行われていることを感がると普通とっくにクリアできている科目において、あと75点はどうだろうか?

 4回の試験で200点。1回に50点でも十分にクリアできるはずなのにも関わらずだ。


 「リリィってそんなに魔法史苦手なの?」

 「みたいね。」


 この世界のことに関しては誰よりも知らないはずの村正でさえとっくにクリアできている。多少、イブやユウキに教えてもってはいる。


 「3回も行ってなお75点足りないって。」

 「魔法史ってそんなに難しい?僕は結構面白いけど。」

 「リリちゃんはこういうのはどうしてもね。」

 「さっきも言ってたわね。」

 

 イルミアもリリィが相当苦手なのは十分承知。とはいえ、この調子でいると間違いなく、リリィは補習コースまっしぐら。恐らくはレベッカ先生との補習だろうから、


 「リリィには地獄だろうな。」

 

 レベッカ先生もリリィには一段と厳しいし。普段の授業態度があれじゃ仕方ないが。


 「全く、手がかかるわね。イルミア、よく今まで面倒見てこれたわね。」

 

 ユウキが言うと、イルミアはそれが役目だと答える。ユウキはイルミアに親か、と返した。


 「ほら、リリィ、起きなさい。」


 ユウキがリリィの体をゆすって起こす。ううん、と言いながらゆっくりと体を起こすリリィ。体を思いっきり伸ばしながら欠伸をこぼす。その大きな欠伸をみた3人は気が抜けていく気がした。


 「あんたは幸せもんよね。」

 「ユウキどゆこと?」


 片目を開けた状態で訊ねるリリィに何でもないと答えたユウキ。


 「ほら、しっかり勉強するわよ。」

 「はあ、やんなきゃ駄目?」

 「当たり前でしょ。でないと補習よ?」

 

 ユウキのリリィへの接し方を見ているとユウキの方がリリィの親ではないかと思ってしまう。


 「なんか言った?」 

 「何も言ってないよ?」

  

 言ってはない。思っただけだ。だから問題ない。


 「試験まではまだ時間があるんだからしっかりやれば足りない分だけなら補えるから。」

 「わかったよ。」

 「それで、どう分からないの?」

 

 ユウキはどこが分からい、ではなくどう分からないのかと訊ねる。その辺り上手いと思った。普通ならどこが分からないのかと聞くのが普通だが、相手がリリィだ。全部!と言うのがわかっていたのだろう。

 その問いかけが功を奏したのかリリィはユウキの質問に答えていく。この日は図書館の閉館時間まで4人で篭り、その後、一度分かれてそれぞれの部屋へと戻る。

 部屋に戻った村正とユウキは自分たちの試験に向けての進捗状況を確かめ合う。


 「マサ君はどのくらい進んでる?」

 「魔法史は僕もそれなりには苦労してるよ。」

 「へー以外ね。実技じゃ文句なしなのにね。マサ君以外に脳筋?」


 村正はユウキにそのようなことを言われるとは夢にも思っていなかったらしい。行動が止まる。


 「ユウキには言われたくないんだけど?」

 「ちょっと、それ、どういう意味よ?」


 ユウキは腰に両手を当て村正に言い寄る。村正はユウキから顔を逸らしてごまかす。

 

 「普段の様子を見てれば分かるよ~。」

 「・・・」

 

 ユウキは黙り込むが、それは村正の取る態度に気になる点があるからだ。


 「マサ君って、時々女々しいよね?」

 「え、僕が?」

 

 村正は自分に指を向けユウキに聞き返す。自分ではそんなことないと思っている村正だが、ユウキはそんなことはないとバッサリ。


 「いつ、どんな時?」

 「さっきみたいに、問い詰められると語尾を伸ばす。その時の仕草が女の子っぽい。」


 村正は今まで自分が気付かなかったことを指摘され慌てて否定するが、このタイミングでさらに有力な証言者が現る。


 「いや、お兄ちゃん、往生際が悪いですよ。」

 「何で、今日はそんなに棒読みで、しかも残念な人を見るような目で見るの?」

 

 シロに出て来るや否や憐れまれてさらにむなしくなる村正。

 

 「他にもお兄ちゃんが女々しいと思われるところはありますよ。」

 「例えば?」


 村正はシロに自分のどこを見てそう思うのか聞いてみる。

 

 「お兄ちゃんは、甘いものがお好きです。」

 「別に、良いだろ?」

 「それから、割と落ち込みやすいですよ。」

 「それ、女々しいのと関係なくない?」

 「ついでに魔力が女性に近い!」


 シロが決め顔で村正に人差し指を突きつける。


 「・・・マサ君女の子だったの?」


 ユウキが引きながら村正に問いかける。

 

 「そんな訳ないでしょ!!」

 

 そんなこと言われても、これは天然の物なんだから仕方ないだろ。僕には魔力のことなんてどうしようもないんだから。

 そもそも、魔力に男や女ってあるのかよ。初めて知ったよ。


 「因みに、ユウキは?」


 村正は気になったのでユウキの魔力はどうかとシロに訊ねる。


 「ユウキさんは普通に女性らしい魔力ですよ。」

 「ほら、見なさい。」

 

 くっそ、なんでだよ。普段のユウキを見ていれば間違ってもそんな判断でないだろよ?


 「お兄ちゃん、それはひどいですよ?」

 「え、何?マサ君今何思ったの?」


 ん?今の僕の考えていることは通じなかったのか?いつもならこういうのはよく通じるのに。


 「別に。」

 「怪しい・・・」


 疑り深いユウキを押しのける村正。


 「僕着替えたいんだけど・・・」


 この部屋に戻ってきたのは皆一度着替えるため。


 「ああ、じゃあ、私先シャワー借りていい?」

 「いつも思うけど、ユウキってあんまり上の浴場いかないよね。」


 村正は以前からユウキがあまり上を使いたがらないことを気にしていた。どんなに遅く帰って来ても、反対に早くに戻っても殆ど部屋のシャワーを使う。


 「私、あそこはちょっとね~。」

 

 ユウキは、濁すようにして言った。そもそも、浴場のあるフロアにユウキは近づこうともしていない。

 村正が深く追求しなかったのが意外だったのかユウキは少し驚いている。普通の人ならここでさらに理由とかを聞きたくなるところだが、村正はそれをしない。

 

 「理由は聞かなくていいの?」

 

 ユウキに聞かれると村正は天井に向きながら、

  

 「うーん、まあ、そうだね。ユウキが苦手ならそういうことなんだろうし、多分僕にはどうにもできないのがわかってるからかな。」

 「それだけ?」

 「それだけ。」


 ユウキの質問に同じ言葉で返す。それが、村正の返事の仕方の1つである。

 

 「じゃあ、遠慮なく。あ、絶体に入らないでよ。」

 「分かってるよ。」

 「シロちゃん、マサ君の監視お願いね。」

 「了解しました。」


 ユウキからの指示に敬礼で応えるシロ。それを見た村正は自分がそんなに信用されていないのか、と深く落ち込むことになる。


 「シロ、僕って信じるに値する人間だと思うかい?」

 「それは、何に対しての信用ですか?」

 

 そう来るか。


 「すべての事柄において。秘密の厳守から、信頼を預けるや、約束を守らせることまで、全部。」

 「そうですね、一部不安な点が無いとは言いませんが、ほぼ安心して信じることが出来ると私は判断したします。」

 「うっ、その一部不安と言うのは?」

 「ご自分で分かってらっしゃるのでは?」

 「これは、痛いところを突かれましたな。」


 要は、いつもの部屋に入るときはノックしろってことだよね。

 

 「ユウキが出てこないうちに僕も着替えちゃうかな。」

 「お手伝いしますか?」


 シロから思わぬ発言が飛び出す。


 「な、何言ってんのさ。」

 「これくらい使える物なら当然ですよ。」

 「いいよ、誰かに見られたら面倒だから。」

 「あら~、お兄ちゃんは私が御嫌いですか?」


 いつになく積極的なシロに困惑する村正。どうすればいいかわからす、シロにベッドに押し倒される。さらに部屋の明かりが消され、暗くなる。

 

 「シ、シロさん?」

 「何でしょう?」


 いつもとは全く違う雰囲気を漂わせるシロ。村正はシロがおかしくなったのかと思うが、恐らくそれはないと判断する。

 つまり、シロがなにか仕掛けようとしているのは分かるが、体が思うように動かない。


 「あれ?体が・・・」

 「ふふふ、私は生命の魔法を操るんですよ?拘束なんて簡単に、出来ますよ。」

 「・・・見たい、だね。」

 

 苦笑いをするしかないこの状況。どうする、ユウキに助けを求めるか、それとも無理やりにでもシロをどかすか?だが、体は動かない。


 頭を回転させている村正を他所に、シロは顔を村正に近づける。


 「どうです、お兄ちゃん。いつもと違う私は?」

 「どう、と言われても。急にはそんなこと・・・」

 「あら、こういうことする私はお嫌いですか?」

 

 なんだ、何でシロは急にこんな行動に出るようになった?考えろ、ここ最近のシロへの接し方に何か契約に違反することでもあったのか?


 村正は、これがシロとの契約内容のどれかに抵触してしまったことによって起きていることだと推測するが、自分には思い当たる様な節が全くない。


 「さあ、シロを自由にしていただいて結構ですよ?」

 「シ、シロ、力が強い。」

 「女の子にそれはどうかと、思いますよ?」

 

 顔を既に赤らめているシロ。いつもの、褒められたりして出すものとは全く違う。村正はどうすればいいのか分からなくなって、体が地蔵の様に動かなくなる。

 村正はこのままシロに成るようになされてしまうのか?そう思った時だ。急に部屋に明かりがついた。

  

 「ちょっと、目を話したすきに、この変態がーー!」

 「あああああ~~~あ!!」


 ユウキの雷が村正に落ちた。


 「シロちゃんに何させてんのよ?」

 

 ユウキの尋問に村正は何とか、声を出して答える。


 「い、いやあ、今回は、シロの方が、さ、き・・・」

 

 何とか言いたいことだけ言い終えた村正は少しの間気を失った。



次回At57.試験と結果

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