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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第2章 クレア学園サバイバル試験
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At4.クレア学園入学

 ついに、この日がやってきた。何の日かって?決まっている。

 

 「みなさん、ようこそ我がクレア学園へ。みなさんがこれからこの学園で何を学び、何を得るかはみなさん次第です。是非有意義な学生生活を送ってください。」


 学園長のシギーさんが挨拶を終えたところで式は終了となる。こうして、僕はここ、国立クレア学園へ入学を果たしたのである。

 1年1組。ここが僕の所属するクラスとなる。別にクラスにこれといった序列があるわけではなく、普通に分けたという感じだ。元の世界でいうと小中学校のクラス分けみたいなものだと思う。なのでクラス間で殺伐としたものは今のところは見受けられない。


 「マサ君、マサ君!一緒のクラスでよかったね。」

 

 そう言いかけてきたのはルームメイトのユウキ・メアリだ。彼女と同じクラスになれてほっとした。知り合いがいるのといないのでは大きな差がある。何よりこの学年には男子が僕しかいないのだから。そんなわけあってか妙にさっきからみんなの視線を感じる。


 キーンコーンカーンコーン


 どっかで聞いたことのあるようなチャイムが鳴るのと同時に先生が入ってきた。


 「よーし、貴様ら席に着け。」


 荒い口調で入ってきたのは、長い黒髪を一つ結びにした女性だった。


 「さて諸君、まずは入学おめでとう。私がこの1組の担任、レベッカだ。」


 こりゃまたきっついのが来たな。軍服?みたいのものを纏ったレベッカ先生はそう挨拶を始めた。


 「まだ貴様らは、魔法をほとんど知らないひよっこだ。よって貴様らの現時点での実力については殆ど期待はしていない。だが、1年後の進級試験までに一定のラインに到達できなかったものは、退学となる。」


 「「退学!?」」


 先生の言葉にみんながざわついた。なるほど、今はまだ知識も経験もないから期待はしない。だが、1年後は違うということか。さすがは、国立の学園だ。根っこの部分はそう甘くはないか。


 「先生、」

 「なんだ?」


 クラスの子が先生に質問をした。


 「一定のラインというのはどういうものなんですか?」

 「ふむ、貴様らには1年の最後の試験で遠征に出てもらう。そこで提示される課題をクリアすることが条件だ。気をつけろよ、毎年各クラス4.5人は落ちるからな。」


 各クラス4.5人か、かなりの数だな。


 今の落第の話を聞いてみんながざわつく。無理もない、早ければ1年で学園をクビになるということになる。


 「騒ぐなガキども。」


 うおっ、先生強烈。先生の一声で教室が一斉に静まり返った。


 「いいか、1年後の試験で落第したくなければこれから1年死ぬ気で過ごせ。分かったか?」


 シーン・・・


 「返事は?」


 はい!

 この先生の言うこと一つ一つがきついな。でもそれだけ甘くはないんだ。だからこそ、この学園の意味がある、と考えてもいいわけかな。


 「それでは、軽い脅しも済んだことだし、とりあえず全員自己紹介をしろ。」


 こうして始まった自己紹介。うちのクラスは全部で25人。そこそこの人数だ。僕の出席番号は25番。理由は多分男だから。違うことを願おう。


 「よし、最後は貴様だ紺野村正。」


 すると、周りから色んな声が聞こえた。


 「彼が、あのイブさんの推薦で入学したっていう?」

 「しかも男子ででしょう?実力も中々なのかな?」


 等と色々とこっちのハードルを上げてくるような事をいい始めてる。そんなにすごくないですよ、僕は。変に期待とかしないでよね、マジで。


 「えっと、紺野村正といいます。趣味は高い場所での昼寝です・・・」


 ヤバい、これ以上話すことがない。いや、あるにはあるがこの世界では通じない内容だから言ったてしょうがないし。


 「ごめん、以上。」

 「はーい、私は紺野君にしつもーん。」


 なんだ急に。質問してきたのは僕の左隣の少女、リリィ・ヒュンゲル。


 「なんだい?」

 「紺野君はさ、彼女いんの?」


 ・・・こいつは突然何を言い出すんだ。いきなりその質問は厳しいだろ。もっと他に聞きたいこととか無いのかよ。


 「で、で、でどうなの?どうなの?」


 どんどん僕に迫って来るリリィ。顔が近い近い。


 「まだだよ。まだ1人もいない。」

 「ふーん、そうかそうか。」


 二ヒッとリリィがにやけると、澄ましたような顔で、


 「みんなー紺野君彼女いないみたいだから、狙うんなら速いもん勝ちだよー。」


 要らんことを言うなよ。僕はそこまで焦ってないから、早くなくてもいいんだけど。


 「紺野~、もういいか?」


 先生に問われて、思わず「はい」と言ってしまった。


 「では、各々の事が分かったって事で、翌週の事について説明するからよく聞け。いいか、聞き逃がすんじゃねーぞ。」


 翌週からの事ってなんだ?特に誰も何も言って無かった気がするが。


 「翌週から、貴様らには3日間のサバイバル生活を送ってもらう。場所は、学園の所有する山ん中だ。そこで貴様らは自分の有する能力を全て使い生き残れ。」


は?今なんと言った?来週からいきなり山ん中でサバイバル生活だと。なんだそりゃ。

 またしても、先生の唐突すぎる発言にみんながざわつく。


 「翌週より貴様らにはサバイバルを行ってもらいそこで各々の実力を見せてみろ。」

 「でも先生、私たちは殆ど何も知らない無知ですよ。一体どうやって実力を見せろと。」

 確かにそうだ。僕らはまだ魔法のことを何も知らないに等しい。中には、すでにある程度魔法の心得がある奴もいるかもしれないが・・・


 「は~。仮にも貴様らは将来を期待されてここにいるんだぞ?そんな連中に試練一つ与えなくてどうする?今から、魔法に関する本を一冊貴様らにやる。それを読み、理解しろ。そして使いこなせ。それができなくてはこれから先の5年間はやっていけんぞ。」


 そう言って、分厚い本が手渡された。題名が書いてない本である。中には魔法に関することが事細かに書いてあった。簡単な水の魔法から難解なものまでがある。これを理解し実践するのにはかなりの期間か必要に思える。

 

 「因みに、試験官は私が務める。担当のクラスでも一切の手助けはしないからな。」


 試験官てことはこれは試験ということ。つまりただのサバイバルじゃないな。


 「先生いいですか?」

 「何だ、紺野。」

 「このサバイバル、リタイアはあるんですか?」

 「もちろんある。」


 その一言に安堵の声が至る所から漏れる。僕もよかったと思った。


 「ただし、その場合は前期のうちは毎日私の補習を受けてもらう。」


 そう来たか。リタイアしないように気を付けないと今後が大変そうだ。


 「では本日はこれで解散とする。この本をよく読み翌週に備えろ、以上。」


 え?終わり?たったこれだけ?先生はさらっと出て行ってしまった。僕がポカンとしていると、


 「マサ君、どう思う?」


 ユウキが僕の席にやってきた。


 「どう思うって?」

 「今の話のこと。」

 「ああ、ただのサバイバルじゃないんだろうな。きっと何かある。ここでリタイアするのとしないのでは大きな差があるような気がする。」

 

 実際誰も突っ込まなかったが先生は試験だといった。正確には、試験官がいると言ったに過ぎないがつまり、これは何かの試験だということ。後から知ったことだが、この学園の生徒の殆どが推薦入学の生徒ばかりらしい。そのため試験を受けずに入る生徒が多い。僕もその口だ。つまり、この学園には入学するための試験がない代わりに、入学後にその代わりになる物があるのだ。

 だが、この考えはあくまで僕の思い過ごしかも知れない。


 「う~ん、私あんまり難しいことわかんないや。」


 そういっているのはリリィだ。


 「とりあえずこの本を読めばいいんじゃないかな。そうすれば何とかなるかもしれないし。」

 「そうだよね~。紺野君もそう思うよね。ねねユウキはどう思う?」

 

 「え?私?そうだな基本的な考えはマサ君と同じかな。でも、きっと何か裏はあると思う。私は他のクラスがどう考えているかが気になるかな?」

 「ほーほー。なるほどね、それはいい考えかもしれないね。」


 なるほど、他クラスではどう受け取った知るのもありか。もしかしたらうちのクラスより、細かい情報を聞いてるかもしれないし。


 「ところでユウキ、今きみ紺野君のことマサ君って呼んでたけど二人ってそういう関係?」

 「はぁ、そんな訳ないでしょ!ただ部屋が同じってだけで。」


 おい、唐突になんてことを聞くんだリリィは。そしてユウキ、今の答えはまずい。


 「「「えーーーー」」」


 ほら見たことか。そんなことを言えばこうなるのは当たり前だろうに。


 「ちょちょ、紺野君さっき彼女いないって言ったよね?何まさか彼女と付き合ってんの」

 

 ちょ、ちょっとまっ


 「そんな訳ない、」

 「ででででも、同じ部屋だって。」


 みんなが寄ってきて大変なことになった。


================================================


 ようやく解放された。あの後30分ぐらいクラスのみんなから質問を受けることになった。原因を作った二人は端で「なんかごめん」みたいな顔しながら傍観者決め込んでたし。


 「なんか疲れた。今日はもう寝よ。」


 そうして部屋に入った。部屋に入るとそこでとんでもない場面に出くわしてしまった。

 そこには先に戻っていたユウキが今まさに着替えている最中だ。これはまずい、確実にまずい。どうしよう。


 「マ、マサ君。」

 

 ヤバイヤバイ早く何か対処しないと。


 「何か言い残す言葉は?」


 あ、キレてる。完全に怒ってる。何か言うこと・・・そうだ!


 「ご馳走様でした・・・」

 「こっの変態がー!」

 「ぐはっ」


 腹に強烈な一発を食らった僕はそのままドアの前まで一気の蹴とばされた。そしてそのまま気を失った。ほんとに痛かったのであった。

 それから15分僕が動くことはなかった。

 

 

次回At5.情報の意味

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