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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第8章 1年生冬の戦い
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At158.最初の壁

お久しぶりです。約2ヶ月ぶりの投稿ですかね。

第8章1年生冬の戦い スタートです。

 年の瀬も近づこうとしている12月下旬。いよいよ、冬の魔術祭が始まろうとしていた。日程は大きく2つに分けられる。年内に行われる学年と、年明けに行われる学年。その境は、個人戦である、夏と秋の魔術祭の分け方と同じ。

 1~3年生が年内に、4、5年生が年明けに行う。また、この冬の魔術祭は、一般の来場者はおらず、魔法の専門家や、学園の関係者だけとなって居る。

 冬の魔術祭の進め方は、まず、予選が行われ、その後に決勝戦だ。予選は、ランダムで決められた3クラスによる総当たり戦。そして勝ち上がった2クラスで決勝戦となる。この予選でどのクラスが汲み合わせになるか。運命のくじ引きであもある。1年生の多くは、1組とは違う事を密かに願っているらしい。


 ――1年1組教室。


 「さて貴様等、昨日まではお疲れだったな。」


 魔術祭の開始前に、教室で今日の流れについて、レベッカから説明を受ける。強化合宿を経てこの魔術祭に臨んでいる1組。中でも、レベッカの意気込みは学生以上に強い。その理由を彼女は、自分の評価に繋がるから、と言う不純な動機を口にしているが、真意が別にある事は秘密だ。

 昨日まで、実戦のプロ相手に実践を行って来た学生達には、僅かながらも、疲労の色が見えている。


 「だが、休んでる時間など無いぞ。まずは今日の予選を勝ち抜くこと意外考えるなよ。」

 

 先生、そんなに勝ちたい?

 いや、勿論僕だって勝ちたいよ、そりゃ。でも、昨日あれだけやってそのまま直だよ。あの合宿、分かってたけど、2日目マジできつかったよ。

 見てよ、隣のリリィを。


 「・・・くぅ。」


 寝てるよ。今も。先生の話をそっちのけで。この状況で平然と寝てるよ。

 リリィ、起きろ!!


 今日行われる予選は、くじ引きによって決められる。1学年6クラスなので、簡単に組み分けすることは出来るが、それでは2年生以降の学年が毎回同じになってしまうので、あえてくじ引きにしている。このくじ引きで既に予定が狂わされたのが、1年生だった。何故かと言うと、1年生の中でも、1組は特別警戒されている。それは、魔法の実践の実力が抜きんでて高いと言う点にある。

 魔法実践の授業では、レベッカによる、鬼の様な指導でグングン成長を見せた。他のクラスとて、実践での技量は皆一流だ。この学園に居る時点で、才能はあるのだから。


 「良いか、くじ引きの結果はこの後出る。そこで、もし、3組が居たら気をつけろ。」


 レベッカが1年生の中で特に警戒するのが、1年3組。ユーリや、レンビスが居るクラス。魔法を直接指導する先生中では、とても珍しい男性教師アイヒア先生のクラス。

 1組は、以前合同授業で一緒になってるので、その実力は良く知っている。アイヒア先生の持ち前の身体能力を叩き込まれているので、1組とは違った魔法の使い方を見せる。


 「今のところ、3組以外は特別警戒する必要はないと思ってもらって良い。もし、3組と違う組になれば、決勝までは問題なく行ける筈だ。」


 これ、もし予選負けしたら一体どうなるんだろうか・・・。

 そんな不安が1組のみんなを包んだ。



==================================================



 「さー、それでは、冬の魔術祭第一弾、1年生の予選の組み合わせの結果を発表しちゃうぞ!」


 くじ引きの結果を公表するのはイブの役割り。そして、恐らくこの魔術祭を誰よりも楽しんでる人である。この冬の寒空の下で、どうしてバニー姿になれる。彼女の事を見て居る周りの人はさらに寒さを感じる。

 そんな学生たちの視線を他所に、イブがくじの結果を公表して行く。予選は、時間も考慮して2組同時に行われる。


 「さーーて、それでは1年生から順に発表して行くわよ。」


 1年生の予選の組み合わせは次の通り。

 第1グループ:1年1組、3組、4組

 第2グループ:1年2組、5組、6組


 「うっわ、マジかよ。」


 村正から、ポツリと漏れたその言葉は、隣に居たユウキの耳にはっきりと届いた。

 

 「まあ、一緒になる率の方が高いんだし、しょうがないんじゃい?」

 「でも、ユーリとか居るじゃん。」

 「ユーリ以外にも警戒するのは、多いと思うよ。」


 そう言いながら、ユウキが3組の方を指さす。長い黒髪の少女だ。


 「彼女は?」

 「彼女は、エマ。魔法の知識で言えば、イルミアと肩を並べる程よ。」

 「そんなに?」


 ユウキは黙って頷く。


 「それでも、イルミアの知識量には及ばないけどね。」

 「確かに、イルミアの魔法の知識は、かなり凄いしね。」

 

 イルミアの持つ魔法の知識は、学生どころか、魔法の専門家と肩を並べられるだろう。もっと言うと、イブさんと同等かも知れない。僕なりにだけど、イブさんが魔法使いとしてかなり高位な存在なのは理解出来た。それは、持ってる知識だけじゃなく、技量そのものも含む。そのイブさんと引けを取らないように見える。それがイルミアである。


 「この魔術祭、魔法の知識量が多いと、それだけ頭も回りやすい。」

 「つまり?」


 魔法そのものに精通する人材が1人居るか、居ないかで、この魔術祭は変わってくる。勿論、魔法の知識が多い学生が各クラス1人以上は居る。それは、こういった魔術祭でのバランスを考えてでもあるが。


 「そう言った存在は、いわば辞書の役割りを果たしやすい。」


 使用された魔法が、どんな物なのか、それが割れてしまえばその先は簡単だ。どう対処し、反撃するか。それが簡単になるのだ。


 「だから頭脳戦になる、か。」


 冬の魔術祭が単純な技術だけの争いだけでない理由が何となくわかった村正。


 「負担かけるな~。」

 「え、今更!?」


 攻撃に周る村正には、ようやく後方で頭をフル回転させるユウキやイルミアの苦労に辿り着いた。その遅さに、ユウキは村正を後方に置いてやりたいと思った程。

 攻撃組を指揮するのがリリィであるため、そちらで頭を働かせるのは主にリリィの役割り。勿論、村正も頭を働かせるが、レベッカはリリィの咄嗟の判断力を評価している。となれば、自然と村正の出番は減る。だからと言って、何もしないで良いわけでは無い。それは、他のクラスメイトにも言える事。


 「分かったら、しくじらないでよね。」

 「難しい注文どうも。」


 勿論、最善以上の努力をする。それが村正達攻撃組に求められる仕事である。その代り、イルミアとユウキが頭を働かせるのだから。

 くじ引きの結果発表を終え、試合開始の準備に入る。最初の試合は30分後。

 くじ引きの結果、第1試合は3組vs4組となり、1組は待ち。これは1組にとって、かなり幸運だった。今回最も警戒している3組の試合をじっくりと見る事が出来るのだから。そして、こちらは手の内を明かさずに居られる。

 反対の3組としては、いかに少ない手数で4組に勝つか。


 「イルミア、リリィ、行くわよ。」


 ユウキがイルミアとリリィを連れて、待機場へと向かう。そこで、第1試合を見ながら、今日の作戦を立てて行く。そこには、レベッカも同席する。試合中、直接手出し、口出しは出来なくても、この時間ならそれも可能。何としても、優勝をもぎ取りたいレベッカとしては、この時間を有意義に使いたい。

 ユウキ達以外の学生は、僅かな休憩時間で、休んでいる。ユウキに連れて行かれたリリィの表情は悲痛そのものだった。


 「私も、休みたい~。」

 「何言っんの、あんたが仕掛けの要なんだから、つべこべ言わない。」

 「会議中寝ても何も言わないでよね。」


 文句を言ってるリリィに焼きが回った、イルミアが杖を向ける。


 「リリちゃん、それ以上言うと、容赦しないよ?」


 不敵な笑顔は、リリィを従わせるには十分だった。今や、リリィを制御できるのは、レベッカとイルミアしか居ない。実力行使を伴うのであれば、そこにユウキも含まれる。

 連行されるリリィに手を振る村正。村正はそのまま、3組と4組の試合では無く、もう1グループの試合、5組と6組の試合を見に行く。

 こちらに、3組が入ったとなれば、もう1グループからは、どのクラスが進むかも気になるところ。試合開始前に、ユウキと話した時、彼女は、6組が警戒対象だと言っていた。顔の広いユウキの元には、多くの情報が入って来る。それは、普段の授業での相談事も含まれる。そこから、現在のクラスの実力も導き出せる。

 レベッカが冬の魔術祭に力を入れているのであれば、その為の下準備は怠らない。それがユウキだ。頼れる存在は、味方に居れば力強い。その代り敵に回せば脅威となる。今のユウキはまさにその状態に近い。


 「第1試合は森林ステージか。」


 2組が待機して試合を見て居る場所に村正もやって来る。この場所には他の1組のメンバーは居ない。皆、自分のグループの試合が気になるのは自然だ。

 森林ステージは、市街地ステージよりも地形が入り組んでいる。当たり前だが自然が多い。それは、生命分野の魔法が力を発揮しやすい。

 冬の魔術祭のルールは、両陣営にある旗の奪取、または、相手全員を戦闘不能にすること。この定められたルールの中で、どのような作戦を採るか。それがこの魔術祭の最大の注目ポイント。旗の奪取になるのか、相手を封じる行動に出るのか。どちらか、片方が正解と言うわけでは無い。クラス全員で統率の取れた行動が出来ているか、なんかも評価ポイントだったりする。


 「やっぱり、基本は旗、か。」


 わざわざ面倒な全員を行動不能にしに行く方がまず少ない。上級生になると、その手法も見えて来るが、1年生でそれを行うのは難しい。何より、魔法のレベル的に考えて、誰かを戦闘不能に持ち込めるほどの威力が無い。一部、中級魔法や上級魔法があるが、夏や秋の魔術祭で見てる様に、簡単に行動不能に追い込むことは難しい。

 但し、例外はある。

 

 「馬鹿正直にやるんじゃなく、急所を狙う、か。」


 命に関わる行為は禁止だ。その代りに、戦闘不能は判定で行われる。

 普通に考えて、致命傷を負ったと判断が下されれば、その時点で戦闘不能になる。


 「やはり、6組の方が優勢か。」


 5組vs6組の試合は、5組が押されている。6組が攻撃に半数以上の人員を割き、陣地を拡大していて居る。それは、勢力図が目で見えるほどだった。

 守りに徹するしか方法がなくなった5組は、守りを2重にした。目の前の事で精一杯になると、意外なところがおろそかになる。

 なるほど、防御魔法を無意識に発動させるまでのレベルに達していないのか。


 ちょこちょこ、防御魔法を使ってない学生が目立つ。村正は、合宿の時を思いだしていた。咄嗟の事になると、その対処に追われ、優先順位が狂う事を。それが結果を左右することも。


 「駄目だな、旗から離れすぎている。」

 

 それでもたかが、5m程度。その僅かな距離だけあれば、十分だ。それが、昨日までの合宿で学んだ事。飛行魔法ほどでなくても、フユウ魔法で十分だ。


 「僕らなら、そろそろ、誰か降って来る頃合だが・・・。」


 このクラスはどうか?


 この配置に1組が持ち込めたとしたら、ほぼ勝利は確定する。純粋に旗を狙った場合はそうだ。

 反対に、自分達が守る側になったとしても、恐らくそこで守ってる旗は偽物。ユウキならそうする。偽物を掴ませる意味は、この前の摸擬戦で実証済み。そこまでの事、他のクラスが思いつくかどうか。


 「上から、なんて事はそうそうないか。」


 僕らも、魔法隊の人との摸擬戦が無ければ、空からなんて思いつかなかったかも知れない。普通に正面切って挑んだだろう。そう考えると、あの合宿は有意義だった。

 こてんぱんにされたけど・・・。


 5組と6組の試合。状況としては、6組側がいち早く行動を起こした事が、そのまま今の状況になった。それもまた、作戦としては有りだ。単純同士がぶつかればより単純に。複雑同士がぶつかればより複雑になる。それが目に見えた。

 この第1試合はこのまま6組が勝つだろう。村正はそう確信すると、自分達の待機場へと向かう。

 3組と4組の試合となれば、まず3組が勝つだろうと村正は考えて居る。


 (マサ君、どこほつき歩いてるの?)


 ん、これは伝言魔法。


 (どうかした?)

 (こっちの試合終わったわよ、早く来て。)

 (早くない?)


 まだ試合が始まって15分程しか経過してない。この短時間で決着が付くと言う事は、恐らく・・・。


 (僕らって勝った方と試合だよね。)

 (そうよ。)

 

 となると、


 (3組?)

 

 小走りで待機場へと向かう村正はユウキに訊ねる。


 (そうよ。思ったより手強い相手かも。)


 やり手の学生が何人も潜んでそうなクラスだ。一枚岩な訳が無いのは百も承知。何より、ユウキと十分に渡り合えるユーリが居る。彼女は恐らく前に出て来るだろう。そう考えると、自然とワクワクしてきた村正。


 「紺野君!」


 急に呼ばれ振り返ると、そこにはシギーが居た。


 「これから?」

 「はい。そうです。」

 「楽しみにしてるわよ。」


 何を、とはあえて聞かずに村正は、会釈だけしてみんなの元へ駆け出した。


 「ごめん、お待たせ。」

 「遅い!」


 既に全員が揃っており、村正の到着を待っている状態だった。

 村正の合流を経た事で、いよいよ、3組との試合の為の最後の作戦会議が行われる。

 試合開始まで残り少ない。それは、相手も同じ。ユウキは手短に第1試合を見て立てた作戦を伝えていく。その作戦には穴が無かった。ユウキとリリィが頭を働かせ、イルミアとレベッカが形にして行った物。文句をつけようものなら、雷が飛んで来るだろう。それほどの物だった。

 作戦が伝えられ、最後にレベッカがみんなに声を掛ける。


 「3組との試合は30分以内に終わらせろ。問題ない、その為の作戦だ。」


 無茶な注文を、と言うが今の試合とて15分程度で決着がついた。だからこその30分。この時間は多めにとられている。下手に時間を掛けると、3組との試合は、面倒になると考えての事だそうだ。

 

 「さあ貴様等、さっさと行って来い!」

 

 「はい!!」





次回At159.合宿の成果

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