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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第7章 専門分野の選択
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At140.秋の魔術祭Ⅴ

 秋の魔術祭4日目は各一回戦を突破した学生達で行われる第2回戦。この4日目には、生徒会推薦枠の4年生2人も入っている。

 4日目は、やはり生徒会所属の4年生2人に大きな注目が集まった。多くの学生や、来場者がそれぞれの実力に期待を寄せているが、注目される側の4年生2人は逃げたい気持ちで一杯だった。

 この日は試合のない5年生の生徒会メンバーも見て居る。当然、会長であるエレンからの期待もあるので、勝たねば、と言う思いが強い。

 

 「「はあ~。」」

 

 選手控室では、第3試合、第4試合に出る生徒会の女子2人がため息を付いていた。2人とも次の相手は5年生。気は重くなる。

 生徒会所属、4年1組シューイと4年2組のユリは背中合わせに座っている。2人は、1年次に同じクラスだった。そして寮の部屋も同室だ。シューイがユリを生徒会に誘って今に至る。


 「シューちゃん、次も先輩だっけ?」

 「次は、魔法学の先輩。もう無理だって~。」


 4日目第3試合、シューイの相手は5年2組の先輩。魔法学部に所属するシューイとしては、同じコースの先輩は出来るだけ当たりたくなかった。

 魔法学コースで学んだからこそ分かる。そのコースの5年生の魔法の手数の多さは。シューイ自身、この数年間クレア学園で学んだことで魔法の事を色々と知った。おかげで今こうして魔術祭の舞台に立っている。


 「ユリちゃんは?」

 「私次クラスメイト。」

 「お互い5年生のクラス代表を勝ち抜いた者同士だね。」


 緊張に押しつぶされそうな2人に、心のオアシスになってくれそうな人が現れた。


 「お2人とも、大丈夫ですか?」

 

 やってきたのは生徒会副会長のセリス・リング。既に昨日試合で3回戦へコマを進めている。

 

 「かなり緊張しているようですわね。」


 背中合わせでも、2人の両手はしっかり、お互いの手を握っていた。


 「セリスせんぱ~い。」


 2人が慕うセリス。セリスを見たシューイは彼女の元へ駆け寄り抱き着く。そのシューイを快く受け入れるセリス。

 セリスは、生徒会としての会場での仕事の合間に2人が心配になって訪れた。セリスは、同じ魔法学部の先輩。2人は、生徒会に入った時から時々相談に乗ってもらったりもしている。


 「シューちゃん。ほら、先輩に迷惑掛けちゃうから。」

 

 そう言って、ユリはシューイをセリスから引き離す。ユリを抱えるシューイの手には、少し力が込められていた。

 ユリを引き離したユリを見て、セリスは小さく微笑んだ。


 「先に試合をするのはシューイさん?」

 「早く終わって欲しいです。」

 「そんな事言ってはいけませんよ。シューイさんもユリさんも、今日のメインの試合なのですから。」

 

 その事で2人は参っているのだ。この何処へも持って行けない気持ちは言葉でしか吐きだせない。

 そうこうしている内に、シューイに待機の指示が出た。1つ前の試合の終了が近づいたのだ。


 「ああ、ユリちゃん、せんぱ~い。」


 1回戦の時は無かった緊張がどっと乗っかる。生徒会が注目されるとは言ってもまだ4年生。2人とも1回戦の相手が5年生だったこともあってか、負けてしまったとしてもさほど大きな問題はなかった。

 だが、2人とも勝ってしまい、その後、「やっぱ生徒会のメンバーなだけある」と言う言葉を色んな人から言われ、この2回戦に掛かる期待も大きくなってしまった。少なくとも、この2回戦は突破するだろうと。3回戦には、シューイ、ユリ共に、生徒会副会長のマリーとセリスが待ち構えている。まだ、副会長2人と試合する方が落ち着いて出来る自信があった。

 緊張し過ぎで、ユリから手を離せないシューイを見て、セリスがシューイのおでこに人差し指を当てる。


 「清らかに、安らかに、湧き水の心地を」


 シューイの中にあった、緊張や不安の気持ちが和らいでいく。セリスがよく使う気持ちを落ち着かせる魔法。森の、水が湧き出る様な場所に居る様な、気持ちにさせ、リラックスさせる物。

 生徒会は何かと疲れるので、疲労回復などに役立ちそうな魔法を、多く知っている。

 セリスのおかげで気持ちが楽になったシューイは試合会場へ向かった。

 30分して、第3試合、シューイの試合が始まる。控室では、ユリとセリスが試合を見守っている。


 「シューちゃん大丈夫かな。」

 「大丈夫みたいです。ちゃんと左手で杖を握ってます。」


 左利きシューイは極度に緊張したり、集中力が掛けたりすると、右手で物を握る癖がある。今ちゃんと利き手で持ってると言う事は過度な緊張はしてない証拠。

 ユリも、彼女が普段通りに近づけているのを見てホッとする。

 試合開始の合図を受け、控室だけでなく、他の会場も緊張で包まれる。この先2試合は今日のメインとなる試合。大勢の人が注目している。中には、外部の研究者や、魔法連盟の人間も見に来ている。


 「まずは、普段通りのようですわね。」

 

 お互い、何も言わず、動かず初級魔法の打ち合い。魔法学コースの4年生と5年生の組み合わせ。どんな試合運びになるのかも注目。1年生も、この試合には注目している。

 扱う初級魔法の数は他の学科・コースより多い分、この試合で見せる魔法の数も多い。1年生も、初級魔法でも、全部を知っているわけでは無い。まだまだ見たことないような初級魔法しっかり見て行く。


 「シューイさん、落ち着けているようですわね。」

 「うん。ちゃんと見れてる。」


 徐々に、シューイが優勢になって行く。打ち合いでも、魔法が生み出された直後に消せたり、相手の背後から魔法を放てたりと、小細工をする余裕が生まれた。 

 片方が小細工を始めると、次のフェーズへと移る。魔法のレベルや、出し方が変わりやすい。

 相手の5年生も仕掛ける。相手は杖などの補助を使用していない。人差し指を下から上へ動かすと、シューイの足下から草が生え、彼女足を縛り付ける。

 シューイは草から抜け出そうと足を引っ張るが地面に生えているわけでは無いので、抜くことが出来ない。


 「捕まっても、相手から目を離さない。まだ、シューイさんは大丈夫のようです。」

 「今一瞬気を取られたせいで、若干劣勢になっちゃった。」

 

 心配そうに見て居るユリに、セリスは彼女の頭に手を乗せる。


 「シューイさんの物事に対する対応力の高さは、ユリさんが一番理解されてるではありませんか。」

 

 セリスは、ユリに、彼女を信じろと言う。

 足を掴まれた事に、ほんの一瞬気を取られたがそれで崩れる様な子じゃない。若干劣勢になったと言うのも、相手に中級魔法を一発放つ隙を与えた程度。すぐに態勢を立て直したシューイは、他に仕掛けらた魔法が無いかを探っていく。


 「浮上(エフィファーニア)


 浮上(エフィファーニア)。地下に埋まっている物や、水中に沈んだ物を浮かび上がらせるのに使ったりする魔法。シューイは、この魔法の効果を魔力に絞り込み、仕掛けられた魔法に反応するようにした。この魔法で、他に魔法が仕掛けてあっても、発動前に消すことが出来る。

 読み通り、彼女の周りには他にもトラップ系の魔法が多く配置されていた。仮に今の魔法を解いても、動けば次の魔法で足止めされるはずだった。

 シューイに魔法を見破られた事で、魔法を放つ速度を上げる相手。シューイはそこにくらいついて良く。


 「先輩の魔法を放つ速度、さっきとは全然違う。」

 

 試合開始直後はシューイの方が優勢に立っていた。しかし、今魔法を放つ速度で勝っているのは先輩の方だ。シューイは自分に向かってくる魔法を、魔法で打ち消せないと分かると、杖に振動魔法を付与し、杖でかき消して行く。

 飛んで来るのが初級魔法の様な単純な魔法だったり、中級魔法以上でも、一分野で構成されている様な魔法であれば、振動魔法で消す事は可能。しかし、この対処法も長くは持たない。威力の強い物や、複雑な魔法が相手では、通用しない。さらに、魔法を目の前で潰して行くので、失敗すると、受けるダメージも大きくなる。

 

 「初級魔法と中級魔法を上手い具合に混ざてますわね。」

 「それにシューちゃんには致命的な弱点が・・・。」

 「そうですね。この魔法の間隔で出来ないのは、痛いですね。」


 シューイの弱点。それは、防御魔法だ。彼女は、防御魔法の発動に他の人よりも時間が掛かってしまう。普通の魔法使いであれば、今彼女が受け続けている魔法の間に一瞬で展開することが出来る。だが、彼女は1秒近くの時間を要するのだ。

 相手の5年の先輩もシューイのこの弱点を知っている。仮にこの試合を勝ち進んだ場合、次の相手は副会長のマリー・グレンジャーが待ち構えて居る。もし、この試合、簡単な魔法だけで勝てるのなら、そうしたい。次の相手に自分の手札をあまり多く見せたくないのは、誰もが同じ。

 シューイも隙を見ては移動したり距離を取って防御魔法を展開しようとするが、どうしても完成するまでに至らない。中級魔法とオリジナル魔法で応戦して行くが、相手の反応が早い。


 「煙幕。」


 シューイは自分を囲むように煙幕を発生させる。相手に向かって放たなかったのは、風魔法ですぐにけされてしまうから。自分の周りに発生させれば、相手は魔法を休ませずに放ってくるのが分かってるから。

 読み通り、シューイに魔法を放ち続ける相手。正面だけでなく360度全ての方向に。だが、すぐに止めてしまう。手ごたえを感じられないのだ。

 煙幕が晴れるとそこにシューイの姿は無かった。


 「こんな序盤で大技を使うなんて。」

 「走り続けて本人の体力がなくなるのを危惧したのでしょう。ですが、短期決戦を持ちかけるのは、悪い事ではありませんわ。」


 シューイが何処から現れるのか、最大限に警戒する相手。勿論、防御魔法はしっかり張られている。


 「・・・。」


 シューイが姿を消してから5分が経過した。未だ彼女は姿を現していない。審判の先生が試合を止めて居ないと言う事は、シューイが棄権したわけでは無いと言う事。今も試合は続いている。

 この不気味な時間がどんどん過ぎて行く。さらに5分経過し、観戦会場はざわつき始める。何か起きたのではないかと。


 「考えましたわね。」

 「でも、こんなの。」

 「ですが、これも立派な魔法の使い方です。シューイさんのあの魔法は知らない方の方が多いようですね。」

 「オリジナルですから。シューちゃんの。」


 先にしびれを切らせたのは先輩の方。シューイが姿を消してから18分が経った時だった。審判の先生に話をしに行こうと防御魔法を解除した時だ。それを見た観戦の、ユリとセリスはシューイの勝ちを確信した。そして、すぐに試合になるユリに、セリスがシューイと同じ魔法をかけ、背中を押す。

 そして、試合は防御魔法を相手が解いた直後に決着がついた。シューイが相手の背後に現れ、上級魔法を撃ちこんだ。回避不可能な距離で魔法を受けた相手は、大ダメージを受け、そのまま決着がついた。シューイは次の試合の相手が今の魔法を知っている生徒会の先輩と言う事を考え、少し早いが、姿をくらます魔法を使った。

 試合会場へつながる通路ですれ違うシューイとユリ。ユリを見たシューイは彼女に向かって倒れこむ。シューイの使用した姿をくらます魔法は、使用と維持に強い力を要する。


 「お疲れさま、シューちゃん。」

 「うん。ユリちゃんも頑張ってね。」

 「じゃあ、次はセリス先輩だから、全部出すつもりですぐに終わらせる。」


 元気よく走っていくユリを見て、元気になるシューイ。控室に戻ると、そこでは、セリスが待っていた。


 「先輩、仕事は良いんですか?」

 「この時間の私の持ち場はここですよ。」


 その笑顔に一本取られたと思うシューイ。今度はシューイがユリを見守る番。ユリの相手は、彼女のクラスメイト。その彼女もまた、1回戦で5年生のクラス代表に勝った子だ。


 「対戦相手の子は、4年生の魔法学コースのトップですね。」

 「はい。サラ・アスキー。慎重型のユリちゃんとは正反対で攻撃型です。」

 「これは、長期戦になるかしら?」

 「ユリちゃんは短期決戦を考えてるみたいです。」

 「あら~。」

 「たぶん、相手がアスキーだからって言うのもあるんだと思います。いつも慎重のあの子が急に攻撃型になったら。」

 「驚きますわね。」


 どんな試合運びになるのか楽しみなセリス。そして、心配なシューイ。

 会場の準備が整い、ユリの試合が始まる。相手は、4年生の魔法学コースのトップ。実力では、ユリと同等か、それ以上かも知れない。それでも、ユリにも生徒会メンバー内で得られた魔法の知識、実力がある。ただで、生徒会に居る訳ではない。

 ユリは、勝つ為に、次へ進むために、そして、シューイと同じ場所へ進むために、全てを良い意味で裏切る準備をする。


 「ふ~。よし!」


 試合開始直前、ユリが緊張しているのと同じ様に、相手のサラも緊張していた。サラにとってっは、この魔術祭が初めての魔術祭だった。ユリは、選抜戦の魔術祭は2回目。

 これまでの魔術祭の流れは例年通り。サラも、定石は踏んでくると予想を経てるユリは、早々に仕掛けて、成功させる事に集中する。ちょっとでも、タイミングが遅れてしまえば、相手のペースになってしまう。そうなっては、ユリは防戦一方になる。それは、避けたい。


 「それでは、始め!」


 開始の合図を受け、まずは、様子見に入るユリ。予想通り、攻撃型のサラでも定石は踏んでいる。初めての魔術祭。下手に、これまでとは違う流れを作るのを嫌がっている。その隙しか時間は無い。

 ユリも、ここはこれまでの流れと同様に、応戦しながら、次の準備を始める。慎重型のユリには、試合後半で使用する一発逆転用の上級魔法がある。その魔法は、ユリが形勢逆転を狙うために用意した、詠唱なしで出来る様にまで仕上げた。本当であれば、次の試合まで取っておきたかったが、次はセリスが相手。隠しても変わりはないと分かっている。

 少しづつ、サラから距離を取っていく。それに合わせて、サラの魔法は強くなるが、しっかりと防げている。


 「圧力。」


 聞こえるか、聞こえないか微妙な声の大きさでその魔法の呪文名を唱えるユリ。呪文名だけを唱えたのは、失敗しないため。

 ユリの魔法によって、急に体に大きな力を受けたサラは地面に押し付けられる。

 重化によって体を支えられなくなった村正とは違い、見えない力によって、強制的に体に別の力を乗せられたサラ。起き上ろうとしても、起き上ることが出来ない。これが、重化との違い。簡単に解除可能な重化は初級魔法だが、圧力は違う。見えない力を扱う難易度の高い魔法。その魔法が適用される範囲、力の大きさ、どんな力が、どんな形で動くのかを事前にイメージする必要がある。

 ユリは、今居る空間を、3次元空間で見て、それを格子状に区切るようにしてイメージする。”圧力”を使う時はこの方法が基本の形になる。


 「くっぅ。」


 ユリのまさかの行動を予想出来て居なかったサラは、完全にユリの今の行動を警戒していなかった。序盤でいきなり仕掛けては来ないだろう。それが、サラの心の中にあった。特に慎重型とされるユリが、こんな事をするのは、滅多に無い事。


 「だるま落し!」

 「なっ!」


 サラの体が何かに打たれたようにして弾かれる。そして、彼女の身体は地面滑るように移動する。

 サラは、”圧力”が、個人に掛けられる魔法では無く、一定の範囲に使用する魔法であることを知っている。ならば、その範囲の外へ出てしまえば良いだけの事。ただ、現状サラは、強い圧力によって押さえつけられているので、別の力に無理矢理押し出してもらう必要があった。そこで思いついたのが、サラのオリジナルの魔法、だるま落としだ。自分に強い衝撃を与える代わりに、その場から瞬時に離れられる、緊急時の脱出用に用意した魔法の1つ。サラ自身にもダメージが計上されるため、諸刃の剣である。

 横腹を痛めたサラは、その部分を抑えながらも、ユリを睨み付ける。そして、すぐに反撃に出る。

  

 「音速の鉛玉(ドン・アス・フィール)


 サラの周りに、小さな黒い塊が浮いていた、そう思った時には既に、ユリの身体に当たっていた。その黒い塊が3発、ユリに次々に当たる。その塊を、ユリは避けることが出来ずに、そして、防御魔法を展開する間もなく受けた。

 たった3発受けただけなのに、体力ゲージは、底をつく一歩手前。サラの残りの体力以下にまで落ちてしまった。物理的な衝撃を体に受けたユリは、中々立ち上がることが出来ない。そのユリに向かって、徐々にサラが迫って来る。痛みに耐えるユリは、自分の近くの地面に、魔法を仕掛けた。本来なら成功率がぐっと低い様な魔法。試合が始まってからまだ10分。トラップ系の魔法が上手く行くような時間じゃない。だが、ユリが開始直後から攻撃に出た事で、サラも彼女に応戦しなくてはならなくなった。ユリ自身、残りの体力がまさかここまで減らされる攻撃を受けるとは思ってなかった。だが、そのおかげで、成功率の低い魔法を使う決断が出来た。サラも、本来は警戒している物に警戒してない。


 「今日は早く終わりそうですわね。」

 「じゃあ、もう。」

 「えぇ。あと10秒で勝敗が決まりますわ。」


 控室でユリの戦を見て居る、シューイとセリス。シューイは攻撃を受けたユリを見て、負けたのだと思った。だが、セリスは違った。確実に、この試合、ユリが勝つと確信した。

 ユリとサラの距離が10mを切った時だった。サラの右足が何かを踏んだ。その右足の元で魔法陣が光った。


 ドンッ!


 サラがその事に気付く間もなく、彼女の足下が爆発する。文字通り、地雷を踏んだ。そして、その1つの爆発によってもたらされた、音と振動によって、他の魔法の仕掛けも次々に起動する。今度はしっかり防御魔法を展開するユリ。そのおかげで、


 ガン!!


 サラが咄嗟に放った黒い塊は、防御魔法に当たり消滅する。

 そして、最後の一発を放つ。


 「圧力。」


 周囲に鈍い音が響く。何かがゆっくりと潰されていく。そんな音が。ゆっくりと物が潰される時は、きっとこんな風になるのだろうか。見ている人にはそう思わせた。


 「これで、どう?」


 範囲を広めに取っていた圧力を、今度は反対に範囲を一気に狭める。それも、数センチほどの大きさに絞る。範囲が広いよりも、焦点を絞ってしまう方が、与えるダメージは大きい。それが見えない雨となって、体中に衝撃が降って来る。細い物で強く打ち続けられる事で、反撃をしようにも出来ないサラ。ただただ、ダメージを受け続けてしまう。


 「そこまで!」


 そして、残りの体力全てが削られてしまった。

 4日目第4試合の試合時間は、僅か15分だった。こうして、生徒会に所属している学生は全員、次の試合へと駒を進めることが出来た。4年生の2人は早くも自分の持つ実力を発揮して行く一方で、まだまだ隠し玉を多く抱える5年生。秋の魔術祭も、折り返しを始めている。



次回At141.秋の魔術祭Ⅵ

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