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異世界転生したので精一杯頑張ります  作者: 辻本ゆんま
第2章 クレア学園サバイバル試験
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At11.神殿最深部

次回の都合上途中で話の視点が切り替わります。

 目を覚ますとそこは、今までの洞窟とは違う景色が広がっていた。簡単に言えば、人の手が入っているそんな感じだ。

  

 「どうやら生きてるみたいだな。」


 自分の体を触りどこにも異常がないかを確かめる。体や服が乾いているのが気になったが。

 みんなはまだ起きてない。一応体を揺すってみたがまだ、起きる様子はない。一応全員息はある。


 「それにしても、ここは一体・・・」

 

 あたりを見回すとそこは、広い通路にその両サイドを水が流れている。どんな方法で明かりが点いてるのかわからないが、そこは昼間みたいに明るかった。床には何か模様のようなものがある。その後もあたりを動き回って何かないか探し回ったが特に何も見つからなかった。

 

 そうこうしてるうちにみんな起き始めた。

 

 「みんな大丈夫か?」

 「ええ、なんとかね。それにしてもびっくりしたわね。」

 

 「わたしも大丈夫だよ~、さっきのなんなの?」

 

 「私も、大丈夫、です。」


 みんな特に問題がなさそうなので、改めてこの先へ進む方向でいいことになった。ここまで来てしまってはもう後戻りはできないしね。


 「ねえ、マサ君ここ、一体何なのかな?」 

 「恐らく、ここが神殿、何だと思う。さっきまでのところは入り口でここがその中、とか。」


 明らかに今までと造りが違う。無機質な感じは全く無い。


 「それにしても随分と綺麗なところなのね。」

 「そうだねー、この洞窟の中にこんなところがあるなんてびっくりだね。」


 僕らは、横一列になりながら神殿の通路を歩いている。そして、大きな赤い扉の前に着いた。


 「赤い扉ね、赤の英雄を意識しているのかしら?」

 

 ユウキが赤の扉から赤の英雄を連想する。多分そうなんだろうけど、なんかここ、妙な違和感があるんだよね。


 「ユウキもそう思った?僕もそう思ったんだけど、そうだとしたらなんか変じゃない?」

 「変って何が?」

 「罪人にすることにしてはいささか変だ。」

 「んー、そう言えばそうね。」 

 

 ここには一体何があるというんだ?

 

 「あ、またなんか書いてあるよ。」

 「今度はなんだって?」

 「この先に、赤の英雄あり、この先に・・・あり、擦れてて読めないや。」


 リリィが、扉の横に書かれた文字を見つけた。

赤の英雄ありってことはこの先に赤の英雄がいるってことか。この擦れているところなんて書いてあるんだろう。ここが読めれば他に何か分かるかもしれないのに。


 「ここ、どうやって開けるのかしらね?」

 「普通に押してみればいいんじゃないの?」

 「じゃ、マサ君お願い。」

 「え、僕が?」

 「だって、男の子でしょ?」


 仕方ないか。どれ、ふんっ、・・・


 「だめだ、びくともしない。結構頑丈だよこれ。」

 「やっぱりそう簡単にはいかないか。」

 「他に何か書いてない?」


 ユウキがリリィに他に何か書いていないか確認する。


 「今探してるとこ~。」

 「わかった。何か分かったら教えて。」

 「は~い。」


 僕は、どうにかしてこの扉を開けようと色々試みることにした。最初に試したのは魔法による破壊。だが、これは失敗。てか、こんなんで壊れたりしたら賊とかが侵入したら簡単に中の物を持ち去られてしまいかねない。

 どうしたものかと考えていると、扉にかすかに文字が彫られてるのに気づいた。


 「ねぇみんな、これを見てくれ。」

 

 僕の発言にみんなが寄ってくる。

 

 「何か見つけた?」

 「ここ、何か彫ってないか?」

 「たっしかに何かあるわね。」


 パッと見何にもないように見えるがよく目を凝らせば見えるのだ。

 

 「ええと、竜の血を継ぐ者の血を持つ者、我が門に捧げられたし。なにこれ?」

 「竜って言ってもこの場合赤の竜と、聖竜どっちなんだろう?」

 「でも、この先にあるのは赤の英雄だとしたら、赤の英雄と同じく赤の竜の力を継ぐものじゃないの?」

 「そういえば、赤の英雄が殺された後って赤の竜はどうなったの?」

 

 自らの力を受けた赤の英雄を殺さなくてはならなかった赤の竜。普通なら、そんなことしたくはなかったと思う。仮にも自分が認めた存在だ。だからこそ、赤の竜自身がやらなくてはならなかったのかもしれない。


 「赤の竜は、その後人間と関わることはなかったらしい。人里から遠く離れてところで暮らしていると言われている。なにせここ暫く姿をみたものはいないとされているしね。」

 「最後に姿をみたのは?」

 「赤の英雄が処刑された後。ずっとその炎を見ていたらしいよ。」


 リリィが両手を広げながら首を横に振っている。

 赤の竜にも思うところがあったのだろう。しかし、我が門に捧げろって、何を捧げろっていうんだ?血か?竜の血を継ぐ者の血を持つ者。赤の英雄の血縁関係者かな、これに当てはまるのは。

 だとしたら、僕らはここから先へは進めないな。


 「捧げるって、何を捧げればいいんだろう?」

 「普通に考えたら、そのまま血なんじゃない?ほら、そこに受け皿みたいなのあるし。」 

 「あ、本当だ。」

 

 ユウキが指したのは、扉の下にある小さな受け皿だ。そこにその血を流せばいいのか。


 「流すってたって僕らじゃだめだよね。」

 「当たり前でしょ。私たちは赤の竜に関係ない人間ばかりなんだから。」

 「そうだよね。あははは。」


 だけど、僕らの中で誰もこれに当てはまらないとしたらどうやって帰ろうか。こういう時、ゲームとかならこの先に入れさえすれば出れたりすると思うんだけどな。どうしようかな。

 ゴソッゴソッ。足元でイルミアが何かやっている。


 「イルミア?」


 イルミアがバッグからナイフを取り出すと、自分の左腕を切った。

  

 「ちょっ、何を?」

 「大丈夫です。見ていてください。」


 そう言ってイルミアが自分の血を受け皿に落としたその時。

ガコン、その大きな音ともに目の前の赤い扉は開いた。

 え、なんで開くの?


 「え、何で開いたの?」

 

 僕はただ、開いた口が塞がらなかった。目の前で起きたことが僕にはただただ理解できないでいた。



================================================

 

 試験中止の案内が流される少し前の事。学園では紺野村正をはじめとする4人について話し合いが行われていた。


 「みなさん、突然の声掛けにも関わらず集まっていただきありがとうございます。」


 シギー学園長をはじめとする学園長室には、1年生各クラスの担任教師と2年~5年までの主任教授、それから、この国の国軍の長、シュペールの計12人。いま、この場で行われているのは、村正達が山の中に存在している結界の洞窟内に入ったと言う事。そして、シュペールがこの場に来た経緯。


 「では、あの場にうちの学生が4人いるというわけですね。」

 「はい、それで間違いありません。」

 「ですが、あの場は通常結界があり簡単には解くことができないと聞いていますが?」

 

 シギーにそう問いかけたのは、5年の主任教師リール・バン・サイノール。

 

 「先ほど、レベッカにも言われたのですが、何者にかによって解かれてしまったようです。」

 「なんと。」


 部屋にいた一同がどよめいた。学園内の敷地で発生したこととあってことの重大性は大きい。


 「学園長、1つよろしいですか?」

 「何でしょうレベッカ?」

 「そもそも何故今回試験を執り行おうと?」

 「今回試験を執り行うことにしたのは、国からの要請です。」

 「国からですと?」


 国から要請された、今回の試験。通常では決してありえないことだ。ここが国立と言えど、学園の運営に関する権限は全て学長たるシギーに一任されている。つまり、国は基本的に介入ができない仕組みなのである。それのも関わらず国の要請に答えた。


 「それについては私から説明させて頂きます。」

 「シュペール殿。」

 「今回の試験依頼はある人物の調査が目的でした。」

 「ある人物?」

 「はい、とある事柄に関する重要な参考人がいることが判明したのです。」

 「重要な参考人とは?」

 「それ後程。ですが、少なくとも2人いることがわかっています。」


 この発言に周囲からは様々な憶測が飛び交う。先程シュペールが持ち込んだ情報。その情報をシギーはまだ開示していない。今この場で話しても余計な混乱を招くだけ。


 「そうとして、なぜ今回の試験を?」


 再びレベッカがシギーをみて聞いた。


 「1年生の多くはまず高度な魔法は使えません。ですが、今回調査対象になった学生は別です。」

 「つまり、使用した魔法から探そうと?」

 「そうです。」

 「ですが、そんなにうまく行くとは思えませんが。」

 

 レベッカの言う事は最もだ。使用した魔法がどの程度のレベルか、教師なら見ただけで判別できる。けれど、そのレベルの魔法が果たして本当に使われると言う確信など無かった。


 「今回、学生がこの問題の中心にいますが、教師陣のみなさん、どうなさいますか?」


 シギーから、決断を求める声が飛んだ。国が何かの調査対象に学生を含んでいる。その調査が何なのか、ここに居るシュペールは明かしていない。ただ、軍のトップがわざわざ学園にまで出向いて来るなど、まず異常だ。その事は教師陣の誰もが分かっていた。ここでの決断によっては学生の拘束まで考えられる。


 「だとしたら今行っている試験を中断しましょう。今なら学生をすぐに戻せる」


 真っ先に声を上げたのはレベッカだった。


 「私も賛同しましょう。」「私も。」


 そうして満場一致で、試験の中止と学生の保護が決まった。


 「それで、その調査対象の学生教えてもらっても?」


 ある教師がシュペールに訊ねる。シュペールはシギーに目配せをする。シギーは軽く頷き、教える事は許可する 


 「その学生はこの2人です。」


 そう言って、シュペールが出した2枚の写真に写ってい人物を見て、場がざわつく。


 「今あそこにいる4人のうちの2人とは。」

 「何の因果化わかりませんがね。」


 シギーが思いつめたような顔をしながら言うと、突然


 「なーにが何の因果かわからないよ。最初からこうなることがわかってたくせに。」


 そう言いながら入って来たのはイブだった。


 「イ、イブ殿!?」

 「あらーシュペール、久しぶりん。」

 「あ、あのわかっていたって?」

 「シギーちゃんこの際だから全部話しなさい。」


 みんなの視線が一気にシギーに集まった。シギーにはこうなることがわかっていた。だとしたら今回の試験を回避することができたはずである。それなのにそうしなかった。それは一体なぜなのか?

 

 「本当なんですか?」

 「私がわかっていたのはその二人がどこかで結界の内部に入り込む可能性だけです。」


 シギーは、今回の試験が依頼された段階である程度の目的も聞かされていた。そしてその対象となる人物も。その二人が対象なら何が起きても正直不思議では無かった。学園に通う学生の情報は国にも上げられる。その情報を基に国側は今回の試験を依頼した。


 「あの、イブ殿がわかっていたと言うのは?」

 「母はあの事件の時の捜査の指揮を行った人物ですから。」

 「あの事件と言うのは?」 

 「竜殺しの事件です。」


 竜殺しの事件。世間では赤の英雄の物語として語られる事件である。


 「その当事、事件の中心にいた2人のそれぞれの妹がこの2人です。」


 その2人とは、赤の英雄の妹、リリィ・ヒュンゲル。そして、白いローブの人物。当時国の役人でもあり、赤の英雄の親友でもあったイア・ネオラオティの妹イルミア・ネオラオティ。イルミアの姉は、リリィの姉を間違った方向へと導いた張本人である。そして、この事件が物語として語られているのは、この事件を国が隠蔽したことにある。


 「しかしあの事件の詳細は殆ど明かされていないはずでは?」


 教師の1人から疑問の声が上がった。


 「あの事件には裏があったのよ」


 イブが語ったのは竜殺しの事件の明かされていない部分。その裏こそ、今回シュペールがシギーに伝えた情報と重なる部分。


 「裏に禁忌書庫の書士が居たのよ」


 禁忌書庫の書士。その組織の名前に誰もが言葉を失う。封印された危険な魔法を集め、復活させる魔法使いの組織。扱えば重罪になる様な魔法も平気で扱う危険な者達。そんな組織が竜殺しの事件に関わっていた。そして、この組織が関わった事で事件の多くは伏せられる事になった。

 当時、国の役人の人間が竜殺しの手引きをしたことに誰1人気づかなかった。ましてや、その裏で多くの国で手配されている危険な組織の手があった。その結果、村1つが滅んだなんてこんな大失態言える筈がないとのことだった。そのため、事件の多くは闇に葬られ、赤の英雄の物語ができたという。


 「そんな理由で、事実を隠蔽したんですか?」

 「仕方のない処置だったのです。ことが知れれば、禁忌書庫の書士がいる。幸い、その事件以降、大きな動きはなかったので混乱はなく皆平穏な生活を送ることができました。」

 「その後、この2人はいったい?」

 「行方不明になっています。誰かに逃がされた、というのが国の見解です。」

 

 その行方不明のイルミアとリリィがこの学園に入学してきた。

 今の会話で疑問を抱いた者が質問を飛ばした。


 「今の話を聞く限り学園長殿はまるで、あの2人がそうであることを知っているように聞こえましたが?」


 シギーは、国の人でさえ分からなかったイルミアとリリィのことを知っているように聞こえたのだ。


 「ええ。知っていましたわ。でも入学して来たたのは、ほんとに偶然です。ただ、子供の時の顔を知っていただけで、確信がなかったのです。」


 そのために、今回の試験を行うことに賛同したという。


 「わかりました。とりあえず今は、あそこの4人をどうにかしましょう。話はそれからです。」

 「ありがとうございます。」

 

 今は、学生の身の安全が最優先となった。今後のことについてはまた後日ということで。


 「彼らを無事に保護する方法は?」

 「あそこの最深部まで行ければ簡単に出れるようになっています。奥まで入れば、王城内に転送されますので。」

 「では、シュペール殿申し訳ないが頼みます。」

 

 「承知いたしました。」


 学生たちの保護のため大人たちも動き始めた。

次回At12.脱出

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