At10.試験中断、迫る危機
すみません、更新に時間が掛かりました。気になるところがあればご指摘ください。
試験が行われているクレア学園の学長室、そこにレベッカはいた。
「現在、あの場所にいるのはその4名です。」
「わかりました。」
担任であるレベッカが学園長のシギーに報告をする。
「一つよろしいですか学長。」
「何でしょうレベッカ?」
「あそこは常に結界が張ってあったはずでは?」
「ええ、そのはずなんですが一体どうして。」
どうしてあの結界が解かれたのか全く分からなかった。あそこは本来外から開けるのは非常に困難なものなのである。外からの解き方を知っているのは、ごく一部のもののみ。
「学園長はあの結界の解き方は?」
「知っています。一応学園の敷地にあるものなので。」
「では、解いたものに心当たりは?」
「それは全く。」
シギーは首を左右に振った。こればっかしは彼女にもどうしようもない。何より、この試験期間中もシギーは学園から出て居ない。現場に居なかった以上、確かめようもない。
「レベッカ、確か、紺野君たちが中に入ってからもしばらくは連絡ついてるのよね?」
「そう聞いております。」
「だとしたら今は向かっているのかしら」
シギーが考え込んでいるところに、一人の男が入ってきた。
「失礼します。」
「あら、シュペール、どうしたの?」
「あの、こちらは?」
レベッカが聞いた。
「彼は私の友人でこの国の軍の長です。」
「いきなり済まない、早急に君の耳に入れたいことがある。」
「なんですか?」
「この国に、禁忌書庫の書士が侵入した可能性があると報告が入った。」
「なんですって。」
「まだ、目的がわからないが。」
「やはり、運命は変えられないのかしら。」
シギーは目を閉じて答えた。
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僕らが起きてから少しして、再出発をしようと思ったときに、ユウキがもう少し待ってと言い始めた。
「マサ君、マサ君、30分位時間良い?」
「一体何を言い出すんだ?」
彼女は僕の問いには答えず、リリィとイルミアを連れて行くと、川のそばまで行き何やら話し込んでいる。
しばらくして、ユウキと、リリィが僕のもとに来て、
「「出発遅らせます!」」
「え、何で?」
「今から私達、ここで軽く水浴びするから。」
「え、ここで、今から?」
「「そう!」」
「でも、着替えとかどうするの?」
ユウキが若干切れた感じで、
「あんたがこっち来なきゃ何の問題のないでしょうが!」
え~、それはどうよ?せっかくなら僕だって水浴びしたいのに。
「そもそも、水だろ?寒くはないの?」
「その辺はご心配なく、イルミーがいるから。」
リリィが指さす方を見てみる、なんとイルミアが川になんか魔法をかけてる。しばらくして、川の水から湯気が出てきた。
うぉ、すっご、何あれ?
「イルミアさん、何をしているので?」
「温めてます。」
「何を?」
「川の水。」
え、そんなことまで出来んの?川の水温めるとこができるって、イルミア君は一体何者なんだ?普通の1年生にここまで出来るとは思えない。
そんなことを考えていると、
「じゃあ、マサ君私達水浴び基湯浴びしてくるから、ガードマンよろしく。」
「え、ちょ、ちょっと。」
「くれぐれも、こっち来ないように。もし来たら、ここに男の死体が転がるかも知れなから気を付けてね。」
怖すぎません?ユウキさん。普段はこんなこと言わないのに、まだあの時のこと根に持ってんのかな?
「わかった。早くいってくれ。その代り、君らが終わったら、僕もいいか?」
「ハイハイ。わかったわよ。」
そういって僕は、女子三人を見送った。その間、僕は少し離れたところから、警備をすることになった。とはいっても別に誰も来やしないのに。とりあえず、魔法の練習でもしますかな。
僕は、魔法の本を取り出すと、この先使えそうな魔法を探してみた。上級の魔法は、まず無理だし。無理というのは、まず僕の魔法に関する知識や経験が足りないいうのと、こういう上級の魔法は訓練を受けないと、魔法の暴発の危険があって自分自身や、周りに危険が及ぶかもしれないというのだ。だから、今は、出来て中級位だ。それでも殆どまともに扱える自信がないが。 そんなことを思いながら、ページをめくっていると、面白いものを見つけた。
「ある程度の、攻撃の衝撃に耐えられる防御魔法か。」
レベルは中級か。やっぱり簡単な物と違って詠唱が長いな。魔法の発動方法はそのレベルによって詠唱方が異なる。まず簡単に使える初級魔法は、そのまま魔法の名前を詠唱するだけ。その次の中級魔法になると、魔法の呪文名を言わない代わりに、発動に必要な詠唱が長くなってきて発動が難しくなる。そして、上級以上のものとなると、長い詠唱に加えて、呪文名を一緒に唱えることになる。高度なものになればなるほど詠唱と呪文名が面倒になってくるものなのだ。中には意外に簡単にできる物もあるというのだが、今の僕にはそれはわからない。
さて、試して見ますかな。本を左手に持ちながら、詠唱を始める。
「我を守れ、結界よいでよ。」
・・・何も起こらん。あれ、なんか間違えたのかな?でも、詠唱は合ってるよな?中級魔法はまだそう簡単に使えないってことかな。もっと練習したらできるようになるのかな。
それから僕はしばらく同じ魔法の練習を繰り返したが全くできる気配がない。他にできそうなものはないのかな。
そう思いながら本をめくっているとまたちょっと面白そうなものを見つけた。今度のは初級魔法だが、これなら大丈夫だろう。今度のは岩など地面にある物を攻撃に使える物。
「ランド・フィール」
すると、そこらへんにあった石ころ達が浮き上がり、僕が手を出した方に飛んでった。うん、飛んでった。けど場所が悪かった。偶然、偶然ねたまたま、ユウキ達のいる方に飛んでっただけで、あ、ユウキがものすごい剣幕でこっち見てる。
「イン・フィール!」
バカでかい声でユウキが言うと僕に向かって火球が飛んできた。
「ごめん!」
その後、僕がユウキにものすごく怒られたのは言うまででもない。
みんなに土下座して何とか許してもらい、僕もさっさと湯浴びを済ませる。
「んじゃ、再出発と行きますか。」
リリィがすっかり元気になっていたので、びっくりした。そんなわけで、僕らはこの洞窟基神殿?の奥へと再び足を進めた。そんな中で、話は昨日見つけた、台座の話になった。
「昨日の台座のことだけど、ここに赤の英雄がいるとしてどこにいると思う?」
「それは、やっぱり一番奥でしょ?」
「そう思うよな。2人は?」
「私のユウキと同じかな。こういう大事なのって一番奥にしまっておくでしょ。」
そうだよな。でもどこまで続いてるのかわからないがいまだ終わりが見えない。ここに入ってずいぶん経つけど、あの台座以降なにもないし。なんかあればいいんだけどな。
「おっと、ここにきて初めての分かれ道だ。」
道は全部で3つ。正面、と左右。さぁてどこに進むのがいいだろうか?
「正解以外は、確実に罠だよな。」
「間違いのところに進むとどうなると思う?」
「ま、普通に考えたら、死じゃね?」
「ええ~、やだよ。」
リリィが、泣きながら言っている。
「それでは、紺野君は、どこがいいと、思います?」
「正直、こんなに判りやすく3つに分かれてるから、全部ハズレ、かな?」
「全部、ハズレ、ですか。」
「うん、多分、どこ入っても同じかな。」
自分で言っといてなんだが、どこもハズレならどこへ行けというんだ。もしかしたら、どれかが正解かもしれないが、そこがハズレだった場合、高確率であの世行きだ。そんなのは御免だ。せっかく転生したのに。
「あ、ここになんか書いてる。」
ユウキが、壁に書かれてるものを見つけた。
赤の英雄と赤の竜の出会いし場所。そこに赤の英雄あり。
「何だこれ?」
「さぁ、正解の道へのヒントじゃないの?」
「そうだけど、なんかこれ、この先にある物をどうぞ見つけてくださいって言ってるようなもんだよね。」
「それが?」
「普通さ、こういうのって誰にも触れさせないようにするんだったら、罠だけにしておけばいいのに。こんな意味深な暗号まで残して、ここを作った人は何がしたかったんだろう?」
ここは、何も宝探しのダンジョンでもなんでもない。ここは、赤の英雄がいるかもしれないところだ。普段は入り口に結界までしてあるのに、どうして、こんなことをするのだろう?
「赤の英雄ってどこで竜と会ったの?」
「お話じゃ、確か英雄が竜と出会った場所は一切触れていないはずだから、不明かな。」
「そうなの?」
どうしたものか、と考えていると、ユウキが気になることを言い出した。
「そういえば、赤の英雄をここに眠らせたのって誰なの?」
確かに、ここはその英雄に殺された竜の住み家と思われる場所でここにその殺された竜の代わりに英雄がいるんだよな。確かに、わざわざここに運んでくるなんて罪人にすることか?
「ああ、それは当時の国の役人らしいよ。なんか、その英雄の友人だった人らしくて。」
「あら、そんなこと書いてあったけ?」
「ううん、これは、その後のお話として或る物。私たちの故郷にある後日談みたいなものかな。そういえば、昔聞いたことあるな。」
「何を?」
「赤の英雄のもとにたどり着くためにその導を残したものがあるって。」
つまり、リリィの言うところによれば、赤の英雄をこのオルケスの住み家に運んだ人物が、再び誰かがこの場所にたどり着くことを想定してあんなものを作ったということか。
「でも、結局は赤の英雄がどこで竜と出会ったかは不明のままね。」
結局はそこに戻ってくるのか。赤の英雄はどこで竜と会ったのか。
「「「う~ん・・・」」」
僕、ユウキ、リリィの3人で一緒に唸ってる。するとイルミアが思いもよらぬことを言い出した。
「あの、多分、私、知ってます。」
「え?知ってるの?」
「ハイ。その聞いたことがあるので。」
イルミアが知ってるっていうのはこれまた驚きだな。どこで聞いたんだろう。
「そ、その場所ってどこなの?」
僕の個人的な疑問より、まずは、この先へ進むことが先決だ。
「その、私の聞いたのは、水の先と。」
「水の先?」
ここら辺で水と言えば、
「「あの川か!」」
僕とユウキの声が綺麗に重なった。
へ~、あの川の先か、どうやって行くの?泳いで。何故って、あの川ここへ来る前に小さなトンネルに入ってしまったのであった。
「てなわけで、ここまで来たわけですがどうします?多分、この中泳いだら、僕とユウキのこの明かり消えると思うよ。」
「そんなことないんじゃないの?だってこれ、火でついてるわけじゃないでしょ?」
それもそうか、なら、問題ないか。
「よし、じゃあ進むか。」
そういって僕が進もうとしたら、ユウキにいきなり頭を叩かれた。
「何すんだよ?」
「マサ君は、まさかこのまま泳いでいく気だったの?」
「そうだよ。他に方法なんてないし。」
「制服のまま?」
・・・その問題があったか。すっかり忘れていた。
「別に大丈夫じゃないか?そんなに長くはないだろ、この先に何かあるんなら。」
「そんな単純な。」
僕とユウキの議論にリリィが、
「悩んでも仕方ないし、先に行くしかないだしょ。」
「へ!?リリちゃん?」
「大丈夫だよイルミー、何かあってもあの2人がいれば大丈夫でしょ?」
他力本願もいいとこだよ。おまえはもう少し遠慮したらどうよ。
「ユウキ先に進むでいいかな?」
「こうなったら仕方ないわね、ただし、先行はマサ君がすることいい?」
「何で?」
「何かあった時どうすんのよ?」
ああ、そゆこと・・・
「それでは行くけどいいかな?」
「いいよ、いいよ、命綱あるから問題なーい。」
「うん、その命綱なんか長いのがやけに気になるけどもう何も言わないよ。」
これ以上何か言っても何にもならない気しかしない。
そして、僕を先頭に川の中に進む。その5m後ろからユウキ、リリィ、イルミアの順に続く。もし何かあればその時はそのだ。もう、やけだい。
以外に、川の水温はそこまで低くないのが助かった。このまま流れに身を任さて先へと進む。
なんとなくであるが、壁の両サイドが少しずつ赤くなり始めている。そのまま進んでいるうちにその色は徐々に濃くなっていった。ここで僕が危険を知らせようとした次の瞬間、急に体に大きな力が加わった。何が起きたのかわからないまま、僕はそのまま、川の中をその謎の力に引っ張られていった。今の衝撃で、完全に意識を持ていかれたため、体内にかなりの水が入ってしまった。おかげで息がもう持たない。後ろのみんなの状況がわからない。だが、恐らく僕と同じ状況にあるのは間違いないだろう。
意識が遠のき始めた。これはまずい。ここで意識を落とすと確実にまずい。そう思っても体がいうことを聞いてくれず、僕は意識を落とした。
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「現在生き残っているものに告ぐ。現時点を以てこの試験を中止とする。全員即学園に帰還せよ。」
試験が始まった初日にも関わらず、唐突にそう告げられた。勿論学生には混乱が広がった。
次回At11.神殿最深部




