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At1.嫌味な天使様

最初なのでプロローグ的な感じで分は少なめです。

 「行ってきまーす。」


 少年、紺野村正はいつも通り学校へ登校を始めた。いつも通りの通学路。そして、いつも通り学校に着く予定だったのだが。


 「えーっと、ここどこだっけ?」


 目の前に広がるのは、雲海に囲まれて畳が敷かれている以外には部屋の真ん中にちゃぶ台があるだけ。

 えっと、僕どうなったんだ?


 「ここは、雲海の間と呼ばれるところですよ。」


 現れたのは、薄いピンクの長い髪で先の方が白い髪の女性だ。その女性は、白のワンピースを纏っていて可憐という言葉がよく似合う感じだ。


 「あ、あのここはいったい何なんですか?」

 「ここは、雲海の間と呼ばれる天の間です。」

 「僕は一体どうなったんですか?」

 「落ち着いて聞いてください。紺野村正君、君は・・・・」


 ごく、唾を飲み込んだ。これから一体何を告げられるのだろうか?目の前の女性の微妙な間がとても気になる。まさか死んじゃいました、なんて言わなよね?


 「紺野村正君、君は本日を持ちまして15年の生涯に幕を閉じました。」

 「へ?今なんと?」

 「端的にいうと、あなたは死にました。」 


 端的というか、ど直球すぎんだろ!いやいや、そんなことさらっと言わないでよ。え?何僕死んだの?もしかして、今しがた変なフラグ立てたから?


 「あ、あのなんで僕死んだんですか?」

 「あなたがさっきもしかして死んだ?とか思ったからです。」


 にこっとした顔でさらっと言われてしまった。まさかさっきのフラグがほんとになった?


 「え?うそでしょ?うそですよね?」

 「はい、嘘です。ただ、死んだことには変わりありません。」


 笑いながら人に死を宣告するこの女。

 結局死んでんのかぁー。


 「死んだことは変わらないんですね。」

 「ええまぁ。」


 にやけながら、あははという感じで言われた。


 「それで、どうして僕は死んでしまったんですか?」

 「交通事故です。」

 「そんなまたさらっと言わないで下さいよ。」


 どうもこの人はさっきから軽いな。なんかもう少し重くしてもらってもいいんじゃないかな?なにこの軽い雰囲気・・・


 「そんなに気にしないでください。これが私ですから。」 

 「あ、そうなんですね。もうわかりました。」


 なんというか、もう何も言い返せなくなってしまった。普段からこうなのでは今さらどうにもならないのはわかりきっているし。それにしても、まさか自分がこんなに早く死ぬなんて思ってもなかった。だってまだ15だし。

 あれ、そういえば何でこの人は僕の名前を知ってんだ?


 「あの何で僕の名前を知ってるんですか?」

 「それは、私が天使だからですよ。あ、そ言えばまだ私名前を名乗ってませんでしたね。」


 そういえばまだこの人の名前を知らないや。


 「私の名前は、イブといいます。」

 「イブ?聞いたことないけど。」

 「まぁ、紺野君の世界ではあまりメジャーではないですね。私これでも一応高位な存在なんですよ。」


 へー、そうなんだ。なんかきな臭いな。今までの言動を見ているととても高位な存在の天使様とは思えないんだがな。なんというかただ顔がいいだけの美人?的なやつ。


 「あの紺野君、顔に思ってることが出てますよ。」

 「そんな、気のせいでは?因みに歳、ゴフッ。」

 「え?なんですって?」

 

 おい、いきなり殴んなよ。そんなに嫌か?女の人が自分の年齢を問われるのは。危うく畳から落っこちるところだったわ。


 「申し訳ありません。なんでもないです。それで、これから僕はどうなるんですか?」

 「選択肢は二つですね。一つはこのまま元の世界を彷徨ってどっかの霊媒師に除霊されて消滅する。もう一つは、新たな世界で新たな人生をつなぐ。どちらを選びますか?」

 「選択肢無いに等しいでしょうが!」


 なに、この後者を選べと言わんばかりの鬼のような選択肢は。てか最初の除霊されるって何なんだよ。除霊って普通悪霊がされるもんじゃなのかよ。世の中理不尽すぎんだろ。


 「では、選択肢一、でしょうか?」

 「んなわけあるかーーーー!」

 「ふふ、紺野君は揶揄いがいがありますね。見ていて楽しいです。」

 

 人で遊ばないでください。あんたそれでほんとに天使か?悪魔か堕天使の間違いじゃないのか?


 「それでは、紺野君の異世界転生を始めます。紺野君はまだ若いので、このまま転生してもらいます。なので、元の記憶も保持したままです。なので、あちらの世界では多少戸惑うことがあるとは思いますが、そこは臨機応変に対応してください。」


 もとのままで行けるのはうれしいな。でも、このままだと、色々困ることも多いだろうな。元の常識が通用しないだろうし、言語問題とかどうすんだろう。


 「僕は、そこの言語とかは大丈夫なんですか?言葉とか、あと体力とか?」

 「そこは、特に問題ないですよ。言語は異世界転生お約束、共通言語ですから。ほんとに共通言語って便利ですよね。なんで、地球ってああも沢山の言語があるんでしょうね?」

  

 確かにそうですよね。ああも沢山あるとほんと勉強が大変でね。僕も英語とかほんと嫌いだったわ。

 そんな会話を交わしながら僕の転生の準備ができたらしい。


 「それでは、紺野君、君の新しい門出です。新たな世界でも頑張ってくださいね。何か困ったことがあったら、心の中で私を呼んでください。アドバイスしますから。ただ、あまり長い時間会話しない方がいいですよ。」

 「え?なんで?」

 「念話をしているうちに、声が出て変な人に見られてしまいますよ。」

 

 それは困る。できるだけ、この厄介な天使は頼らないようにしないと。と言うか二度と関わりたくない。


 「それでは、紺野君。行ってらっしゃい。近いうちにまた会いましょ。」

 

 会わねーよ。

 こうして、僕紺野村正の新しい人生が始まったのである。

次回At2.ようこそ「ネレラル」へ

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