Ⅱ-新たな両親
今回は、前回が長かったのに対してかなり短めになってしまいました。
「あぎゃあ!おぎゃあ!」
(誰だ・・・?うるさいな・・・ゆっくり寝かせてくれよ・・・。)
そんなことを思い、ふと隣を見ると汗だくの女性がこちらを向いていた。
(・・・誰だ?この人。それにさっきから聞こえるこの赤ちゃんみたいな声は・・・?)
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
(体が動かしにくいな・・・どうなってんだ?)
そう思い、ふと自分の手を見てみると高校二年のときとは比べかなり小さな、それも生まれてすぐの赤ちゃんのような手だった。
(・・・さっきから泣いているのはもしかして俺か?)
手を握ったり、開いたりしてみるが思ったようにできず、指先が少し曲がったくらいだ。
(どうやら、本当に転生したみたいだな。それでこの姿か・・・。それにしても転生したのに記憶って残るもんなのかね?いや、そのへんはユリアが配慮してくれたのかな。)
手を見つめながらそんなことを思っていると、隣でこちらを見つめてきていた女性から声が聞こえた。
その女性は優しく微笑みながら、こう言った。
「ふふっ・・・そんな手を見つめてソウマはなにを考えているのかしら?」
(そうするとこの人が俺の新しい母さんになるのか・・・。名前も同じソウマだし。そういや、地球の両親にはなにもしてやれてないな。元気で生きてくれるといいけど・・・。なんか眠くなってたな・・・。)
そう言って双馬、改めソウマは目を閉じるとすぐに眠りについた。
「あらあら、寝ちゃったのね。おやすみ、ソウマ。」
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次に目が覚めると、ゆっくりと扉をあけて部屋に入ってくる男性がいた。
(この人が父親だろうか?結構がっちりした身体だな。普段から鍛えてるのか?)
「お?起こしちまったか?ソウマ。俺が父親だぞ・・・ってまだ言葉がわかるわけないか。」
そういって父親はゴツゴツした手で頭を撫でてくる。
(・・・痛い。)
「まだ赤ちゃんですよ?こっちの言葉は伝わってないと思うわよ、あなた。」
(バッチリ理解してるんだが・・・まぁまだ声帯もちゃんとできてないみたいだからうまくしゃべれないけどな。)
「あう・・・あうー」
(やっぱりか。いつごろしゃべれるようになるかな。ちょっと楽しみができた。)
「あら?ご飯が欲しいのかしら?ちょっとまってね・・・」
母親がおもむろに上着を脱ぎ、ソウマの身体を持ち上げる。
(っ!?ちょっとまって!?まさか!?精神年齢16歳の俺におっぱいを吸えと言うのかお母様!?)
「あら?なかなか飲んでくれないわね・・・どうしたのかしら?」
そう言い、母親は更に自分の胸のソウマを近づける。
(くっ・・・こうなったら・・・腹をくくるしかないのか!?確かに腹は減っている・・・だがしかしだ!いや、待てよ?今の俺の姿は子供・・・しかも乳児だ。ならなにも問題ないのではないか?あ・・・)
ついに、ソウマの顔は母親の柔らかい胸に押し付けられる。
「おいおい、大丈夫か?そのまま窒息死したりしないよな?」
「そんなことするわけ無いでしょう?ミルクを飲ませるだけよ。」
(ここまで来たらやるしかないか・・・。)
ソウマは腹をくくり、母親の胸の先端を口に咥え、思いっきり吸う。
すると口の中にスッキリとして甘い母乳の味が広がる。
(あ、美味しい。それになぜか安心・・・してどうする!?高校二年にもなってこんな醜態を晒すとは!だが確かに美味しい。母乳ってこんな味なのか。初めて知ったよ。いままでに知ってたらそれはそれでマズイんだけどな?)
次に次にと吸い、飲み込むと腹がいっぱいになり、次第にソウマはまた眠くなってきた。
(腹がいっぱいになったとたんに眠気が・・・。なるほど、こうなるのか。)
「あらあら、眠くなっちゃったの?ちょっとまってね。」
母親はそう言うとソウマの身体を肩に持ち、背中をポンポンと叩く。
すると、自然にゲップが出てくる。
「ケプッ・・・。」
「はい、これで寝ても大丈夫よ。おやすみ、ソウマ。」
「ゆっくり寝ろよ。」
「あい・・・。」
(あれ?いま自然に返事ができたと思うだが・・・そんなことよりとてつもなく眠くなってきた。寝よう・・・。)
そうして、ソウマは目を閉じた途端眠りに落ちる。
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