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 【 “17”と呼ばれし魔女  】  作者: お~とらいぶらり
 【 本編 (完結済) 】
16/21

 [ 16 雪風 ]

 

 【“17”と呼ばれし魔女】――――≪コールド17≫(セヴンティーン)

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★



「蒼影、あたし達が捕まっていた部屋に、叉門を運んで」


「御意」



 研究室と思しき部屋に向けて、身体を引きずる。



 様々な言葉が頭の中を巡る。



(あなたは、この刀に認められた)


(手に馴染む…………こいつは『俺自身』だ)


(生命力の転移、それがこの計画の主幹だ)


(ミス・セヴンティーンの一族の血に、高い適性がある)


(姉の生命力が流れ込んだ)


(“雪風”を『媒介』と呼んでいた)


(そう、私は貴女の中に居るわ)


(無限の可能性に、目をそむけないで)


(吸収・転移時の生命力の劣化が無い)


(『生命力』以外の転移を否定するものではない)



 ――あたしの考えが、間違っていないのなら。可能性は、ゼロではない――




 研究室に到着した。


 叉門を、縛られていた台に乗せる。


 蒼影には、部屋の外を見張らせる。




「“雪風”、お願い、力を貸して……」


 雪風で自分の指を撫でる。

 赤い筋が、血が流れる。


 雪風を台座に配置する。




 そして、忌まわしき記憶を、深層意識から呼び覚ます。



 姉が殺された日のことを。

 すなわち、「儀式が行われた時」のことを。



 決して、忘れたことはなかった。

 忘れられるはずがなかった。

 忘れてはいけなかった。



 あたしは、儀式を「再現」する――――。




   ◆  弐  ◆




 ――――三ヵ月後。




 一人の少女が、ライトクシアの森を歩いていた。

 手には刀を携えている。




〈ここが沙雪の故郷か〉


「ノプチーニとはだいぶ違うでしょう」



 少女は刀と喋っていた。




 沙雪は、叉門の『生命力』を『意識』ごと、“雪風”に吸収させた。


 本来、組織の儀式は、そこから別の個体に転移させる手順だが、

 『転移』を実行しないことで、“雪風”に叉門を定着させたのだ。


 “雪風”と叉門の相性など、様々な条件が重なってできたことである。




〈これからどうするんだ?〉


「まずはお墓参りをするわ。それから――」


〈それから?〉


「ゆっくり探せば良いわ。時間は余る程あるでしょう?」


〈責任、取ってくれよ〉


「ギルドに婚姻届でも出す?」


〈20歳になったらな〉



 少女の足元には、いつも影がつき従っていた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆★

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