sweetsweet9
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高嶺葉月と別れた後、美愛と羅刹丸は新里篤が夜中に一人で何処で何をしてるかを探るため宛てのわからない新里の行方を街に出て探していた。
この街はよく紅葉と遊びに来るため地理的には困る事はないが、宛てがわからない人物を探す、となると話しは変わってくる。
「というか葉月さんと新里篤ってこの辺の人だったのね。紅葉と同じ学校だったり」
「それはないんじゃねーの。もしあの嬢ちゃんの学校はもっと大騒ぎしてる筈だしな。この街、無駄にでかいんだし他の学校だってあんだろ」
「…ニアミスぐらいはしてそうね、こんだけ街がでかいと」
宛てのわからない新里篤を探して三時間は経過していて、辺りはすっかり暗くなってしまっていた。少し面倒くさいな、今日は切り上げて帰るかなぁと、そんな事を考えていると
「案外すぐに会えるかもなァ」
相変わらず不敵で、人を不愉快にさせるような声で羅刹丸がニヤニヤ笑いながら言った。
「…どういう意味よ、それ?」
「オメェも気付いてるだろ。その新里って奴中々に厄介な霊魂に憑かれてやがるぜ」
「あぁ…要するに呪われてるって事か」
「そーいうこった。俺様は特に呪いの霊魂が大好物だからな。一度姿を見た霊魂の気配の感知なんて簡単にできる。その霊魂が呪われてるなら尚更だ」
「相変わらず気持ち悪いストーキング能力ね。私の後ろについて来ることしかできない無能悪霊じゃないのね。死ねば良いのに」
「オメェは俺様を罵る事しかできねェのか。というかさらっと死ねって言ったなクソアマ」
「…で?その霊魂は近いの?」
羅刹丸からの敵意をさらっとかわして美愛が言う。羅刹丸はしばらく睨みつけていたが美愛がそれを上回る目付きで睨みつけ返していたので、羅刹丸は諦めたのかチッと聴こえるような声で舌打ちをした後に言葉を続ける。
「…あぁ、近ぇな。あの時、オメェに依頼してきたあの幸薄そうな小僧の霊魂を感じる」
「というかアンタ、最初からその能力使いなさいよ。無駄に三時間も歩いたじゃないの本当に無能悪霊に成り下がった?」
「わざと言わなかったに決まってんだろ。苦しんでるオメェの顔はお笑いだったぜ」
「豆腐を目の中に入れて死ね」
子供がするようなケンカを繰り広げているが勿論、普通の人間には羅刹丸の姿は見えていないので、美愛が先ほどのよくわからない台詞を言った瞬間、道行く人に振り向かれるが、美愛はお構い無しで羅刹丸と喋る。
そんな状態に羅刹丸は気付いてるのか、満足そうな笑みを浮かべている。
「まァ落ち着けよ美愛。対象人が近付いてんだ。さっさと要件済ませちまおうぜ」
「…いつかアンタは殺す」
「おーこわっ。まァそんな日がくりゃあいいがな」
そんなやり取りをしていると
「―――今日はよく俺と縁のあるやつと会う日だな」
前から、花を担いだ新里篤が姿を現した。