unbirthday 01
ほんの数時間前。それは起こった。家に知らないおじさんが家に上がってきた。お兄ちゃんが僕の腕を抱えてお兄ちゃんの部屋の押し入れに一緒に入った。
「お兄ちゃん…?」
「シッ!!しゃべるな!!じっとしてろ!」
お兄ちゃんは押し殺した声で僕にそう言った。僕は何のことだか全く分からずに、ただお兄ちゃんの言うことに従った。
おじさんの怒鳴り声が鳴り止まない。お兄ちゃんの腕の中で僕はずっと震えていた。お兄ちゃんは小声で「大丈夫、大丈夫」と言いながら、僕の体を痛いぐらい強く抱きしめた。
『おい、ガキ共はどこだ!!捜せ!!』
物が壊れる音、ドアが乱暴に開閉される音に怯えながらお兄ちゃんの腕の中で声を殺しながら泣いていたが、僕たちはすぐに見つかってしまった。
「いたぞ!こんなとこにいやがった!!」
「ひっ!!うぅっうわあああああああああああ!!おにぃちゃあん!!!」
あまりの恐怖に泣き叫ぶしかなかった。お兄ちゃんの体にしがみつき、尽きることのない涙を流し、ただただ泣き叫ぶしかなかった。
「ユウ!!」
お兄ちゃんの声は震えていた。僕の小さい体をしっかりと抱きしめおじさんたちを睨んでいた。