過去編
僕は、彼女を救えなかった。救出作戦が遅れていたら、瑞恵は死んでいた…ああ、どうして僕は遅れるんだろう。次は、次があってはならないけど、願う。次こそは…。
…by健斗
ゲームからログアウトした後。疲れて寝てしまった。なにか、引っかかるものがあった。なんだ?
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「ぐはっ」
「がぁっ」
「お二方、お逃げください。私たちは王命というだけではなく…お二方の事を心から尊敬しております。あなた方はなんとしてでもお守りしなければ。《双王》の称号をお持ちのお二方は、この世界の頼みの綱なのです。」
これは…夢?なんの記憶だ?これは…一体なんなんだ?なんで、僕…あそこにいるのは僕だ。なんでこんなことに?
「《地底魔法…グラウンド・フォースアロー》今のうちに。みなさん。全員で一つになっていれば私たちの命もまた伸びます。命を捨てないで…ウッ。あぁ、なんでよ。なんでこんなことになってるのよぉ…もっと、平和な日常だったのに…あは、あはははは。もういいや。あははははははははははははははははははははは」
あれは…?瑞恵…?いつくらいのだ?あれ?中学生の瑞恵の記憶がない。僕もだ…どういうことだ?なんで僕はいつもそばにいた瑞恵のことを覚えていない?しかも中学生だけ。いや、中学生だだけとかじゃあない。中学生と言いながら年齢は高校生だったりした。違和感は感じていなかったけど…。高校生と言いながら、成人していた。大学生といいながら、明らかに浪人しなかったのに…明らかに20代後半だった。なんだった?どうしてだった?これはどういうことだ?
…思い出したら。
…一つ思い出したら、全てを思い出せた。そうだ。瑞恵が僕以外に心を開きにくくなった原因。
そして、瑞恵が不思議な雰囲気を纏うようになったきっかけ。
そう。あの頃に大流行していた、生命維持装置付きのVRゲーム。そうだ。はじめに、今のVRのことを思い出した時に何か拒否感があった。これか。生命維持装置の話もそうだ。母にこのことは聞いたけど、母はきっと僕のことを気遣っていたんだ。だから、あんな当たらずとも遠からず見たいな答えを…。
話を戻そう。
生命維持装置付きゲームときいたら、皆さんは何を思い浮かべるだろう。人によっては、いつまでもゲームができる…と思ったかもしれない。けど、違う。当初から、生命維持装置については懸念が示されていた。生命維持できるということは命をも奪うことができるからだ。つまり…察しのいい人は気づいているだろう。
あのゲーム…secondary online。VR産業が停滞する原因となったものだ。きっかけは些細なもの。管理人が、リモートで仕事した後に装置から出てそのまま寝た時、彼の娘がその装置…管理者権限までついた生命維持装置を。
そうして、中のプログラムをしっちゃかめっちゃかに弄ってしまった。その結果…なんの因果か、本物のデスゲームと言っていいようなものができた。従来の物語にはないような鬼畜。なんと…【町】というものがなくなった。
町だった場所は急にモンスターの湧く、森林地帯になった…NPC、プレイヤーを残して。つまり、そこから始まるのは削り合いだ。モンスターとの。武器、食料、回復薬、そしてスポーン地点まで無くなった。そりゃ当然無限スポーンのモンスターに負けてしまう。当たり前の話だ。いつしか、生き残ったプレイヤーは完全に一つに集まった。森の木々を切り倒し、拠点のようなものを作った…しかし、1人が発狂してしまった。しかも、召喚士。読んで字の如く、魔物を召喚する職業だ。この職業は、ランダムで魔物を呼び出し、それを屈服させることでその魔物を召喚できる。狂ったままに、その技を乱発。しかも、世界改変で、なぜか確率値は…伝説級ばかり呼び出すようになっていた。それが示すのは…崩壊だ。
…ちょうどこの頃に救出作戦が始まっていたが、遅かった…もう崩壊していた。救出作戦といってもプログラムを最低限直し、人々を帰還させるためだったらしい。そうして冒頭に戻る。僕らはNPCに特別な存在として見なされてた。NPCに、2人合わせて【双王】と呼ばれていたから。そうして、生きている人数は減っていった。ステータスには同時接続者数が書かれているが、この状況下では《減る=死亡》だ。
つまり…生きているのはとうとう僕らだけになっていたということだ。
そうして、モンスターの致死攻撃。死神かなんかの必殺技、絶対死攻撃という如何にもな名前。僕は…NPCを守るために移動技を使い切って、全て再使用時間に引っかかって…守れなかった。絶対の防壁を欠かしていた。
そうして…そうして、瑞恵に攻撃が届く寸前。僕が絶望の表情を浮かべ…僕らは救出された。
ようやく思い出せた…けど、これ瑞恵も思い出したよな?どう考えてもこの前の模擬戦が原因だ。
暗い過去があったのです。彼らには。
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