焦げたフレンチトースト
比嘉家の長男として産まれた僕は、
比嘉 湊として1人の母、1人の父、1人の弟と、
ごく普通の家に住んでいた。
「もう、朝か」
眠い目をこすりながら朝日が差し込む窓を見る
またいつも通りの変わらない日常が始まるのかと
気が落ちる。
タイマーをかけずにいたクーラーのせいで寒さに凍えながら布団から出ると、フレンチトースト、それとは違う別の甘い匂いが鼻をくすぐる
「フレンチトーストだよな?」
今日は、いつも母さんが作るフレンチトーストの匂い
ではなかった。焦げているようなそんな匂いが僕にとって少し不可解だった。
母さんは料理研究家として仕事をしていて、
試作をする時はいつも事務所の調理室で作業する。
だからか、何かを焦がしたところなんて一度も見た事はない。それにこの甘い匂いはなんだろうか、、?
戸惑いながらも特に気にせず、階段を降りた。
また、不可解だ
なんで声が聞こえないんだろう?いつもなら支度を急かす母さんの声としょうもないことばかり言う父さんの笑い声、それにツッコミを入れる光の声がするのに
「誰もいないのか?」
リビングの扉を開けながら声をかけた
ギィー、っと音を立てて開けた扉の先には、ニュースキャスターが喋るテレビの音、焦げついたフレンチトーストがキッチンで焼かれているだけだった
今日、休日だったけ?
日付を確認しようとテレビを見た。だが、
今日は紛れもなく平日で、時間も学校に行く前、
7時42分。いつもなら全員がいる時間
なんで、どうして誰もいないんだ?
とりあえずキッチンのフレンチトーストを皿に非難させた。甘い匂いの原因はやはりこれではないようだ。リビングを見渡した。そんな時、
ふとニュース速報が入った
ーーただいま、新たなウイルスが発見されました。
そのウイルスに感染すると、1時間で果物のような甘い香り、3時間もすれば意識が無くなり、1日もしないうちに体が果物のようになるということだった。
体が変異するウイルスなんて聞いたことがない
ーー果物のように体が変異した状態になることが確認されており、その形態時での呼吸は確認できないことから実質的に死に至るということでは、と報告されています。
WHO世界保健機関によると、地球規模での感染が見込まれており、感染源は先月8月頃に衝突した大型の
隕石RINGO877だとわかっているそうです。
不用意な外出は控え、手洗いうがいなどの感染対策を……
僕は目の前の光景に、目を見張った。さっきは気が付かなかったが、リビングの椅子には2つ、
キッチンのまな板の上には1つ、
リンゴが置いてあったからだ




