この世界は、絶対に現実ではない!
僕は何時ものように、ベットで目が覚めた。
まだ眠気眼な状態で自分の部屋のドアを開け、気をつけて階段をおりる。
台所では母親が僕の為に、お弁当を作ってくれていた。
僕の学校では給食ではなく、お弁当を持参する事になっているからだ。
そして母親が台所で料理を作りながら背中越しに僕にこう言う。
『朝ご飯出来てるから~早く顔を洗ってらっしゃい~!』
『・・・ううん。』
僕は少しボーっとしながら洗面所に向かい、蛇口を捻り水を出して
両手で水をすくい顔を洗った。
それを3回繰り返す、近くにあった綺麗なタオルで顔を拭いた。
僕はまた台所に戻り、朝食が並べられたテーブルの前に立ち椅子に座る。
そしてとうとう不気味な事に僕は気づいた!
台所から僕の方に向かってきた母親だと思っていた女性は、、、?
“僕の顔だった、いや? 間違いなく母親なんだけど顔は僕なんだ!“
不思議と声も体型も髪型も母親なのに顔だけ僕って不思議だな。“
『“何? オバケでも見たみたいな顔して寝ぼけてるの?”』
『・・・い、いや、』
『早く朝ご飯を食べて、学校に行きなさい!』
『・・・あぁ、ううん、』
僕はソワソワしながら朝ご飯を早く食べて、ランドセルを背負い家を出た!
母親は僕が寝ぼけていると思っていたみたいだ。
・・・でも? 家を出て外に出ると?
もっとおかしいと僕は気づいた!
“皆、顔は僕の顔なんだよ!“
なんで? 僕の顔なんだ、どの人も僕の顔になっている。
『“大くん? おはよう!”』
『・・・お、おはよう、』
『元気ないな大~! 比呂香にフラれたか?』
『や、やめろよ、』
『大は、女に子にフラれたぐらいで落ち込んだりしないよな~!』
『・・・・・・』
『“なんか今日の大、おかしくないか?”』
『えぇ!? そ、そんな事ないよ、』
『じゃあー一緒に学校に行こうぜーい!』
『ご、ごめん、少し寄り道したいから先に行ってて、』
『まあ~いいけど? 早く来いよ! 遅刻したら、先生に怒られんぞ!』
『・・・ううん、』
・・・何かがおかしい?
“何故、みんな僕の顔なんだ?“
この世界はどうしてしまったのか?
僕は元の世界に戻れるのかな?
僕はどうなるんだろう?
ママは元に戻るの?
皆は元に戻るのかな?
早く元の世界に戻りたいよ。
何より、“どの人も僕の顔って凄い気持ち悪い!“
僕のクラスの子達もみんな顔が僕なんだ。
顔以外は身長も体型も性別も髪型も何もかも違うのに......。
“顔だけは僕なんだよ!“
こんな世界絶対に嫌だぁ~
・・・しかも? 僕の気になる女の子も僕の顔になっている!
僕はその子の前だと緊張して心臓がドキドキするのに?
今日のその子は、“顔が僕だからときめかなくなっている。“
あのドキドキを僕に返してくれ!
僕の恋心を返せよ!
そんな時、僕の気になっていた女の子からまさか僕に告白してきた!
『“三田君、前からずっと好きでした! 私と付き合ってください!”』
『えぇ!?』
『“返事はまだいいから、少し考えてほしいんだ。”』
『“ごめん、ムリ!”』
『えぇ!? ヒドイ! 三田君、ヒドイよ!』
『三田君ってそんな男の子だったの? サイテー女の子泣かすなんて!』
『・・・だ、大、どうしちゃったんだよ、』
『いつもの大じゃないぞ!』
『“うるさい! みんな黙れ!”』
『えぇ!?』
『・・・だ、大、今日はどうしちゃったんだよ、体調が悪いのか?』
『先生に言って、家に帰ったら? それとも保健室に行くか?』
『ご、ごめん、保健室に行くよ先生に言っておいて。』
『分かった、一人で行けるか?』
『あぁ、ううん、大丈夫! ありがとう。』
・・・僕は一先ず、保健室に向かった。
【ガラガラ】
『何? 三田君、調子が悪いの?』
『・・・・・・』
忘れてた! 保険の先生も顔は僕だったんだ!
凄くキレイな先生なのに、僕の顔になると残念な先生になるな。
“ブサイクな人になってる。“
僕ってそんなにカッコいい訳じゃないけど? こんなにブサイクだとは
思っていなかった。
それだけでも落ち込むのに、みんな僕の顔なら気持ち悪すぎるよ。
今日は最後まで、“保健室のベットで寝ていよう。“
*
僕は保健室のベットで気がつけば寝ていたらしい。
そこに担任の先生が入って来た。
『“三田君、大丈夫?”』
『先生! 戻ったの?』
『はぁ!? 何、寝ぼけてるの?』
『・・・べ、別に、』
『今日はもうこのまま寝てなさい!』
『はい!』
僕は少しホッとしていた。
担任の先生の顔が、“先生の顔に戻っていたんだ!“
良かった、これで僕はまた元の世界戻れたんだと信じ込んでいた。
下校時間になり、僕は友達と帰る為に教室に戻ると?
まさかの展開に、、、!?
“皆、担任の先生の顔になっている!“
もしかして? 僕もそうなのか?
僕は直ぐに男子トイレに駆け込んで鏡を見ると、、、?
やっぱり僕も担任の先生の顔になっていた!
これって? ずっと続くのか?
僕、もう元の世界に戻れないの?
誰か? 僕を元の世界に戻してくれないか。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。




