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世界最強は善人じゃない~やりたい事だけして好きな人だけ守ります。あれ? 結局善人している?~  作者: 村岡 太一
一章 分岐点

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十五話 化け物のはじまり

 異種族解放同盟の拠点が焼かれてから数日後。


 暗雲立ち込める中、キルケアス帝国の議会が開かれた。


 それは議会とは言えないほど小規模であり、参加者はたったの四人だったが、この会議で国の動きのすべてを決めるような会議だった。

 参加者は騎士団長、魔法師団長、宰相。そして帝王が参加している。


 出席者の中には襲撃に参加していた《剣帝》キトラや帝国の魔法師団長のカトナが参加していた。


「それで、計画の方は順調か?」

「アぁ?」


 帝王の問いにキトラは一言と殺気で返した。

 公式的な立場では帝王の方が上だが、この会議においてはキトラの方が上位者であるようなふるまいである。


「ごめんなさい。キトラくんに悪気はないんです。大国のゼドアムの主軸《賢剛》《戦場の悪魔》の暗殺作戦についてですが、作戦は失敗。更に言えば現状において意味がなくなりました」

「何!? 失敗したのはいいだが、意味がなくなったとはどういう意味だ!」

「言葉の通りです。当初の予定では二人を殺した後に内乱を起こし、混乱した中で攻め込む予定でした。周辺国も巻き込んだ()()()に発展させる計画でしたが、二人を殺した所で無駄なことが分かりました」


 その発言を聞いた仮面をつけた宰相の男が手を挙げた。


「その無駄なことはなんなの」

「オレたちが任務に失敗した。それだけで察しろよ。カマ野郎」

「なんですって!」

「ごめんなさい。ごめんなさい。キトラくんは黙っててね。《傀儡子》さん。ベルク・ザルゴルについて知っていますか?」

「魔法陣の子よね。それがどうしたのよ」

「そいつにオレたちが負けたんだよ!」


 言葉と共にキトラは座った状態で踏み込み石畳を割った。


「ええっとですね。そのベルクくんなんですが、今、三歳でもうすぐ四歳らしいんですよ」

「うそっ。そんな子があの論文の核なの!?」

「それで、今回キトラくんが負けたのはハイエルフの《戦場の悪魔》との戦闘によって疲弊していたからです。ただ、彼が肉体強度で今のキトラくんのレベルに達するのは恐らく二年後。魔法力で私に届くのは来年を予測しています。そして、試算ですが、全盛期の《賢剛》レベルになるのは五年後。彼が八歳ごろを予測しています」


 場が静まり返った。

 ベルクを見たことがない二人にとってはいかに馬鹿げた試算かと耳を疑ったが、その計算を行ったのが最強の魔法使いであるカトナであることから信じるしかなった。


 言葉を信じた上で帝王は怒りの感情で拳を握った。


「つまり、そのベルクとかいうガキが我を差し置いて世界の帝王になると言いたいのか?」

「誤解を恐れず言えばそうなります」

「なら強くなる前に暗殺をすればよかろう」

「それも無理かと」

「なぜだ!? 相手はただの子どもだろう」

「暗殺のトップと呼ばれる《影の殺し屋》メッシュアートさんが言うには、彼の隣についている使用人のエヌートという女性。彼女がいる限り、暗殺は不可能とのことです」


 正面戦闘のセンスについてはザルゴル家の人間であることがから無理やりにでも納得できたが、暗殺不可能だとは誰も思いもしなかった。


「なので、直接対面した私とキトラくんの結論を述べます。どんな手段を使っても彼をこちら側に着けるべきです」

「テメェらの好きにしろ。オレたちはあのあのガキがいる限りはゼドアムに手は出さねぇからな。やりてぇなら勝手にやれ。まっ。エルフの集団すら相手にできないだろうがな」


 二人は議会を去った。


「もう。なんなのよ。あの子たち」

「よせ。あいつらの支援があったから皇位継承権がないに等しい我が帝王になったのだ。逆に言えば、我を引きずり落とすこともたやすいだろう」


 戦争の計画は頓挫とんざし、そのまま議会は終わった。


「あの小娘たち。生意気ね。とにかく大戦争は起こすわよ」


 ――――――


 襲撃から異種族の人たちを救って、比較的に王都に近い場所に用意していた村に住まわせた。


「まさか、魔法陣を商品にしちゃうなんて、流石ベルク様ですね」

「そんなことはないよ。現状ドワーフの職人に陣を書いて貰って、エルフの魔法使いたちに魔力の貯蔵庫の充填をお願いしてって、みんなの得意を生かした部分がなければ成立していないからね」


 彼らには図書館が所有する試験用の土地に暮らして貰っている。

 仕事は魔法陣の大量生産。少数の優れた職人と魔法使いにしかできない作業をお願いしている。


 販売ルートが確立して、魔法陣が浸透したら異種族の凄さを民衆に伝え、馴染みやすい社会を作っていこうと思っている。

 半年は貴族相手に商品を売って、徐々に民間に流通させたい。


「これで、しばらく研究はお休みかな。今は基礎を作り上げないとね」


 僕たちは今、宮廷騎士団の練兵場で訓練をしている。


「ベルクくん。ここの訓練にも慣れたかい?」

「はい。お陰様で」


 この巨人みたいな人は騎士団長のガードン・シットさん。剣術で有名な公爵家の当主で近接戦闘における僕の師だ。


「間を習得した人間は基礎を疎かにするものだが、自らを律するとは流石だな」

「いえ、基礎の恐ろしさを知ったので鍛え始めただけです」

「そうだ。よければ、私の家で修行をしないか? 食事から徹底的に鍛えようじゃないか」


 今、僕は魔法と同時並行で鍛えている。だから、それぞれの練兵場で訓練をしている。

 ガードンさんの家に行けば、近接戦闘を主にやるだろう。それも、いいかもしれない。生活単位で体を鍛えることができれば、より早くキトラのような肉体に近づけるようになるかもしれない。


「ありがとうございます。ぜひ、お願いします」

「じゃあ、今夜から一緒に帰ろうか。なに、君の親のエツドにはもう言ってあるからな」


 ガードンさんは僕の父上と旧友で互いに仲がいいらしい。

 だから、事前の根回しも完璧という訳なんだろうね。


 僕はシット家にお世話になることになった。


 この二年間はみんなを守れる強さを手に入れることに集中した。



これで一章は終わりです。


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