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プロローグ~世界の破壊者~

 世界が真っ赤に染まった時の光景は今でも忘れない。


 主人が世界中の人間の首をねて回ったあの日。

 私には主人を止める能力も意思もなかった。


 この世界の滅亡は既に確定してしまっている。何をしても意味はない。


「フェトラ。聞こえているかい?」


 主人が私の名前を呼んだ。暴れ始めてから、私の名前を呼んでくれなかったから、それだけでも少し嬉しかった。


「どこから間違えたんだろう? 僕はみんなからの嫉妬に耐えられなかった。君がいたお陰で少しはマシになった人生だったけど、もうダメみたいだ」


 すべてが終わり、主人は自ら首を刎ねた。


 大好きだった彼の最期の表情は諦めだった。私は彼の後悔を知っている。


 今度は私が彼を救う番だ。


 しばらくすると空から天使が現れた。世界の意思を擬人化させた存在がこの地に降り立つということはこの世界に見切りをつけたということだろう。


「おめでとうございます。悪魔フェトラ。他の悪魔が脱落した為、あなたが神に至る権利を得ました」


 こんな世界で神になる意味なんてない。


「そうですか。それは困りましたね。しかし、規則ですので何かを司る神になって頂きたいのですが」

「時間を下さい」

「時間ですか。制約も多い立場ですが、大丈夫ですか?」

「はい」


 時間の神になって過去に戻り、主人が壊れた原因を取り除く。そうすれば、きっと幸せな毎日になるはずだ。


「魂胆は分かりました。では、お好きな時間帯にお進みください。制約として、あなたこの時間に戻った瞬間消滅します」


 消滅は怖くない。彼さえ幸せになってくれればそれでいい。


「分かりました。それでは彼が生まれた日にお願いします」

「それではこれより時間復元を始めます。契約の悪魔フェトラ。これより神格の悪用によりあなたの時間の神としての権能を剥奪します」


 私の中から何かが消えていく。


「これは個人的な言葉なのですが、『今度は世界が破壊されないように』お願いしますね」



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