あわただしい休日
朝になり、支度を整えてまず2人でジーザメリウスの両親のところに挨拶に行った
「ありがとう、ハイネ。このような愚息だがよろしく頼む」と父上に言われ
母上はとにかく大喜びだった
「あなた、私にすごく感謝しなさい」とハイネの指輪とネックレスを見て俺の耳元で囁いた
「いつも、ありがとうございます。感謝しかないです」と母と笑いあった
「また、ゆっくり参ります」とすぐにグライシス領に向かった
クラウスは俺のことを随分怒っていたので心配していたが、グライシス家でも歓待してくれた
グライシス侯爵夫妻とクラウスにも事情を話し、結婚の了承を得ようとしたがすでに、ある程度の事は夫妻は父上からハイネがダンスのパートナーになりしばらくして話を聴いていたらしい
父上は、この子が息子の選ぶ娘に違いないと感じたそうだ
父上はハイネから、癒しの特別な力を感じたそうだ 緑の愛し子だからそれは間違いないが、父上いつも、先を見すぎです
でも、余計に父上は、俺の事がもどかしく感じたのに違いない
と言うことはあの時からすでに両家の中では「婚約者」としてお互い位置付けられていたのかと思うと、今までの自分の行動がすごく恥ずかしくなった
どうやら、クラウスは俺の気持ちを察したようで、ずっと揶揄ってきた
そしてあの時、クラーケンと戦ったのが俺だと知ると改めて礼を言ってくれたのだが逆に身分を偽って邸を出入りしたことを詫びた
「銀色の髪の貴公子、漆黒の皇太子が両方うちのお婿さんになるなんて素敵ね」
と侯爵夫人が笑った
「母上、まだありますよ、「魔弾の射手」「ブラックジョーカー」とね」
「クラウス先輩、もうやめてください」
「違うだろう、弟よ!兄上だろ」と嬉しそうに笑った
「それで、婚約式なのですが、通常ですと婚約式と舞踏会を開くのですが、できれば私達は国民に伝え、一緒に祝って欲しいので近々開催する国の祭りを婚約式にしたいと思っています」
「お父様、お母様衣装もできればあの初めてきた舞踏会のドレスを着たいと思っているのです」
本当ならば、新しいドレスを作り舞踏会を行うのが皇帝としての婚約式であるのかもしれないが、2人で話し合い国民に寄り添った婚約式を行いたいと思ったのだ
「あなた達の思う通りにすればいい、私はそういう思いを抱くあなたたち2人を誇りに思いますよ」と、侯爵は快く私達の希望を受け入れてくれた
その日はグライシス家に泊まり翌日、帝国に戻り家臣たちを集め報告した
「結局、殿下お忙しいおやすみにはなりましたが、本当によかったです」
「また、学園に戻り祭りの演出家を連れて参る。忙しないことで申し訳ないがよろしく頼む」
「その前に、後1週間のお休みはあちらでゆっくりしてきてください ヨハン様のことはすでにこちらでもティモシーが動いております 兄弟のことでもありますし、ここはティモシーにお任せください」
「わかった、何かあれば急ぎ知らせてくれ」
アッサム卿に任せてまた学園に戻る 休日も兼ねているがこの機会に魔塔の魔術師や薬学部の学者とも打ち合わせしたい、結局家に戻っても書類を広げていた。
あまり今までとは変わらない生活だが、一つだけ違うことがある
ふと隣を見るとハイネがそばにいることだった
ご覧いただきありがとうございます。
次回はハイネ視点のお話です、あの事件のお話です