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トップアイドルの俺が魔力過多の廃王子に転生しました  作者: 瑠璃
第4部 魔弾の射手 〜ブラックジョーカー 〜
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束の間の休息

 気がつくと見慣れた部屋の天井が目の前にあった


 学園の中の自分の家だった階段を降りると、ブルーとホクトがいてソファにハイネが座っていた


 あれ?今までのことは夢だったのか まだここの研究所で職員としていた自分なんだろうか そんな錯覚に陥ってしまった 庭からブライアンがリビングに入ってくるまでは・・・・・・


「殿下、お目覚めになられましたか? 先程お医者様もお帰りになられましたよ やっぱり過労です!過労!すぐにアッサム様に連絡いたしました 心配されているのでいますぐに連絡して下さいね」


「ああ、わかった」と返事する前にブライアンが通信機を作動させた

 ブライアンと言う奴は本当にせっかちだ しかし、性格は明るく気がよくつく


「殿下!大丈夫ですか?1週間ほどそちらでお休みになられてから帝都にお戻りくださいませ」


「いや、しかし東部地域の小麦の確認にも行かなければ」


「それぐらいは、私どもでもできます それとも私どもでは信用ならないと」


「いや、誰もそんなことは言ってないし思ってもない」


「では、お任せください」


「すまん、頼む 一つこちらで調べたいこともあるので1週間ほど時間をもらう」


「殿下!それでは休みになりませぬ!では2週間!せめて10日お休みください」


「ぬう、では報告だけは常にくれ気になっては休めぬからな」


「かしこまりました あ、ハイネ様もお見えでいらっしゃいましたか 殿下をよろしくお願いいたします」


 そう、アッサム公爵が言うとハイネが立ち上がり礼をした


 俺はまだハイネと一言も声を交わしていないのに・・・・・・


「リル様、もう起き上がられて大丈夫ですか?今、ユキがお茶の用意をしております

 何か召し上がりますか? 」


「いや、大丈夫だハイネありがとう そうだな少し腹が減ったかな 」


「では、何かご用意いたしますね 」

 そう言ってハイネはユキに食事の用意をするように伝えに行った


 いや、待て、今 俺は黒髪、漆黒の瞳 彼女の知るリルではないはず・・・・・・。


「ハイネ、私が誰だか、わかっているのか? 」


「リル様? どうされたのですか? 」彼女は不思議そうな顔をする


「いや、この出立では誰も私をリル・ジーザメリウスとはわからないはずだ」


「どんな髪色をされていてもどんな瞳の色をされていてもどのような服装をされていても、リル様はリル様ですよ」


「そうなのか・・・・・ ! ではあの時も、もしかして」


「はい、グライシス家をお守りいただいたのもリル様とわかっておりました」


 ハイネは全てわかっていたのか そう思うと恥ずかしい気持ちでいっぱいになった


「それで、どうしてここに?」


「リル様がお倒れになったとブライアンさんが私のところに知らせに来てくださったんですよ」


「そうだったか、驚かせてすまん」


「本当にそうですよ。いつも驚かされていてばかり」とコロコロと笑う


 ああ、ハイネのこの笑い方、すごく久しぶりだな


「そうだ、いつも手紙をありがとう」


「いえ、ユキとハナのことと取り留めない内容ばかりで・・・・・」

 そう言う手紙に癒されているが返事はいつもあまり出せていない


「それで、ハイネはヨハンのことは知らないか? 」

 ヨハンの名前を出すとハイネの顔が急に曇った


「実は、私も噂話というのに疎くてつい最近お聞きしたのですがヨハン様がパトリシア様とご一緒に学園を出て行かれたと伺いました」


「ではリリアーヌ皇女は? 」


「皇女様は学園で学問を続けられております」


「ブライアン、明日にでも皇女にお話ができないか、連絡をとってきてくれ」


 ヨハンが一体いつからいなくなったのか 今までどうして誰も気が付かなかったのか

 ユーゴスもそうだ ユリアス先輩にも連絡を取らなければならないな

 そう考え込んでいると、ユキが食事を持ってきてくれた


「リル様、とりあえずお食事にしましょう 今は体を休めてゆっくりしてください

 あと、もう一つ驚かせることが・・・・・・」

 ハイネはそういうと庭への扉を大きく開いた


 そこには大きくなった金木犀が黄色い花をつけていた

 金木犀の香りが部屋の中を包み込んだ


「すごいな、そうかいつの間にか秋か」


「そうですよ、それにご自分のお誕生日がもうとっくに過ぎていることもお忘れでしょう? 」


 ああ、そうだ、そういえばそうだ 知らない間に18歳になっていた


「今日は、ゆっくり休んで明日、お祝い致しましょうね」

 そう言ってまたハイネが笑った

ご覧いただきありがとうございます。

休みは大切です

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