目眩
国の経済状態は、正に火の車状態だった。サタームスは国の財源をとことんまで私欲のために使い果たしそのほとんどは、形ないものに費やされていたようだ。
よくいう「何に使ったかはわからない」というものだ。
今回粛清された領主たちが収めていた領地、特にサタームスの領地と帝都の有様は酷いものだった。皇室直管理地としてまずそこから手をつけていくことになり、毎日眠る暇もなく走り回っていた。
「殿下、ちゃんと寝ていますか?」
「アッサム卿、大丈夫だ、寝ているよ」
「馬車の中でしか寝てないじゃないですか」
侍従のブライアンが、すかさず突っ込んでくる。
「アッサム卿、もっと殿下に注意してくださいよ、殿下が休んでくれないとみんな休めないんですよ」
ブライアンの言わんとすることはわかるけど・・・・・な
まあ、確かに帝国の改革を始めてからもうすぐ1年、私もだけどみんな走り続けてきて国民達もみんな頑張ってきてくれたものな
「アッサム卿、祭りをしよう 音楽祭でも小さな祭りでもいい みんなが楽しみ明日からまた一緒に頑張ろうと思えるような祭り」
「いいですね、みんな仕事ばかりで疲れ切ってますからね」
「すまんな、みんな 祭りの企画と演出は適任に心当たりがある 善は急げだ、今からアカデミーに行ってくる アッサム卿明日には戻ってくる 何かあればすぐ連絡をくれ」
「かしこまりました、殿下」
すぐに執務室から出て行きアカデミーへと向かった
「師匠、ご無沙汰しております」
「おお、久しぶりだな、ちょうど私もリルに話があった」とちらりと侍従のブライアンを見た
「ブライアン、すまないが外に出て待っててくれ」
ブライアンは頭をさげそっと部屋をでた
「すまないな、お前が訪ねてきてくれたのに申し訳ない」
「いえ、お気になさらず、あまりいい話ではないようですね」
「ああ、実は「蛇の紋章」ずっと調査しているうちにある人物に辿り着いた誰だと思う?パトリシア・ジャクシーだ」
パトリシアは、ジャクシー卿が失脚した少し前から行方しれずである
「パトリシアですか、彼女とはここに職員として私が住むことになった時偶然あった時にあったきりですね」
「ちょうどそのからだ、アレクと彼女はアカデミーを休みがちになっていた どちらかと言うと彼女が主導権を握っていたようだ」
「確かに、最初からアレクも彼女の周りの男たちは操られたように彼女の言いなりになっていた」
「しかし、彼女の後ろにはまだ黒幕がいるようなのだがそいつの存在がまだ明らかになっていない」
「尻尾を出さないほどの奴ということですね」
「・・・・・・それと、パトリシアとともに、ユーゴス・ジェラミー、ヨハン・カリオスが行方不明だ」
「ヨハンが!」まさかヨハンの名前がこういう話題の中で出てくるとは思いもしなかった
思わず立ち上がった瞬間、目眩がした目の前の景色がぐるぐる回り師匠の声が遠くに聞こえていった瞬間意識が途切れた
ご覧いただきありがとうございます