決別
ジーゼメリウス領を出てアッサム公爵に色々と今まで知らなかったことをたくさん聞いた
父上とお父様は従兄弟同士でお祖父様お祖母様と大叔父様と大叔母様はお互い双子だったので父上とお父様は髪色と瞳の色が違うだけで双子のようによく似ていたそうだ
ジュリア俺の実の母親は、元の世界からこの世界に迷い込んできたのだがその時まだ5歳の子供だった
ジーザメリウス領の邸の庭に突然現れ結局そのまま父上の義妹として引き取られ育てられたらしい 父上と両親の3人はいつも一緒で仲が良かったそうだ。
今まで父上とお父様の関係は友人としか聞いていなかっただけに驚き、父上とは血のつながりがあったことが俺としては、すごく嬉しかったのだ
父上、お父様、アッサム公爵グリー師匠カリアス、グーゼラスは同級生で何かあるといつも一緒にいる仲間であり、父上は俺の母親ジュリアを、妹をすごく可愛がっていていたそうでお父様と婚約 結婚の話が出た時もかなり機嫌が悪かったそうだ。
そんな父上とお父さまの話を聞いているうちに皇急に到着した。
つい、この前まで事務員としていた皇宮に今度は皇太子として帰ってきたのだから変な気分だ。
謁見の間に入り、皇帝の椅子に座る。
皇太子として認めてもらうための1番最初の関門だ この椅子世界樹の木から作られているという伝説がある 椅子に認めなければ座ることができない
座れなければ皇帝に認証されないということだ
椅子に向かってツカツカと歩き、椅子にストンと座る
座った途端大きな拍手と歓声が起こった お父さまが亡くなった後、椅子に誰も近ずくことすらできなかったのである
自分自身もホッとしたが周りの家臣達も胸を撫で下ろしていたようだ
しかし、コレは認証では、なく、皇帝の認証は、また別の話になるそうだ
でも今は、皇太子として認められただけで十分だ
やることは山積みなので、休む暇もなく重臣だけでなく皇宮で仕事をする者 国民に呼びかけて皇宮に集めてもらいバルコニーから挨拶をする
自分の声で、自分の言葉で伝えることが大切だからである
これまでのこと、これからのことを伝えることができる部分を簡潔に説明し、これからのこと 国民みんなに国の再建に力を貸してほしいと伝えて協力を願い出た
想いが伝わるよう語りかけた後、割れんばかりの拍手で沸いた
スピーチが終わり、その足で地下牢へと向かった
サタームス親子と対峙するためである
暗く湿った地下牢にはサタームス親子とサタームス派の貴族 ジャクシー卿などの面々も囚われていた。
「これは、初めまして皇太子様このようなむさ苦しい場所へようこそ」
サタームスは苦々しい笑顔を向けて俺に言葉を放った
「サタームス ポリゼ ズマイルカルプス、とても歓迎しているような顔ではないな」
「何をおっしゃる、探しましたぞ、ねずみのように隠れられてやっとお出ましになられましたか」
「貴様こそ、何を言っておる、何度も顔を合わせておる、貴様の息子とは剣を交えたこともあるな」
「なんだと!」とアレクが吠える。
「アレク、あれほど俺のことを煙たがっておったのに髪色が変わっただけでわからぬとは、なんとも薄情なやつだ」
指をパチンと鳴らして銀色の髪と深い蒼い色にする。
「お前!リル・ジーザメリウス! 」
何やら、アレクは、色々と叫んでいるが聞く耳も持つ気にもならなかった
「灯台下暗しとはこの事だな、サタームス、全ての罪を抱え地獄の業火に焼かれ続けるがいい、さらばだ」
髪色を戻し、地下牢を後にした
サタームスがどのような感情を持って父と母を亡きものにしたかは、聞くに値しない者達だと思ったからだ
サタームスにこだわるよりもこの国を、この国で生きている人達とどのように歩んで行くかを考えていく事のほうがお父様が一番願っていると信じている
ご覧いただきありがとうございます。
最後まで悩みに悩んだ今回のお話でありました。
これからまた、新しい1歩です。まだまだ幕は、降りておりません。これからもよろしくお願いいたします