プロローグ
あの舞踏会の日から半年以上経ち、学園はまた新たな学年へ変わっていた。
あの舞踏会の夜、リル様が、ハイネ様と別れた後のことだ。
「シファーそこにいるのだろう、お前が私の影としていつもいるのはわかっている、出てきてくれ。」
「リル様」と跪きリル様の前にシファーが出てきた。
「いつもご苦労、すまないが今この瞬間からハイネの影として彼女を守ってくれないか、俺が彼女をパートナーとして選んだばかりに彼女が危ない目に遭うかもしれない。俺は今からできるだけ早く動かなければならない。俺が信頼して頼めるのは、お前しかいないんだ、命令ではない、俺からの願いだ、どうか彼女を守ってほしい」
リル様は俺に頭を下げた。
「お願いですから頭を上げてくださいリル様、出会った時からあなた様は私の主君です。どうかお任せください、必ずハイネ様をお守りいたします」
「ありがとう、シファー」
「しかしリル様、何か危険なことがございましたら必ずお呼びください」
「ああ、わかった、では頼んだ。父上には俺から話す」
あの夜から1ヶ月ほどでリル様は早期卒業の資格をとり、学園から姿を消した。
俺は、リル様の動向はわかっているがリル様のご友人やハイネ様は、何も知らず突然のことで今も気持ちが追いついていないご様子だ。
ハイネ様は何かを忘れないといけないように今は薬学の研究に力を注いでいる。
天真爛漫に笑う笑顔が、優しく不器用に微笑むように変わった。
リル様、ハイネ様のことは守れていても彼女の笑顔は俺には守れていないかもしれません。
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次回第3部本編開幕です。これからもよろしくお願いいたします
次回は8・1 20時 プロローグと同時更新です




