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トップアイドルの俺が魔力過多の廃王子に転生しました  作者: 瑠璃
第2部 グードリーヴァアカデミー 〜dance for the first time ~
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剣術大会 後編

控え室にもどり、汗を拭いシャツを新しい物に着替え水分補給をしていると、大会役員から連絡が入った。

「アレク・ボノ・ズマイルカルプス君ですが、大会規約により、棄権となりました。また先程、ユリアス・ジェラミー君とヨハン・カリオス君の試合が終了し、ユリアス・ジェラミー君が勝者となりましたので、半時後ユリアス・ジェラミー君とリル・ジーザメリウス君の優勝決定戦を行いますので、よろしくお願いいたします」


「了解致しました、ご連絡ありがとうございます」


ストレッチをして集中をする、魔力とはまた違う「気」を溜めていく。幼い頃からカリアスに教えてもらった集中方法だ。師匠に教えてもらったことをひとつひとつ思い出しながら頭の中で確認してしていく。魔力量がいくら膨大であっても剣についてはまた別物だ、本当の自分の実力を試されるようで緊張し不安もあるがワクワクした気持ちがとまらない。


「リル・ジーザメリウス君、時間です 試合会場までお越しください」


大会役員が呼びにきてくれた。


「うっしゃあ〜!」と気合いを入れて試合会場に向かう


通路をぬけ試合会場に出るともう夕陽はほとんど沈みかけ、1日の終わりを惜しむかのように空を紅に染めていた。

中央に立ちユリアス先輩に対峙する。いつもの温厚で優しい笑顔のユリアス先輩は一欠片もいない、礼をし構える。先程までの足元から響くような声援が急に静けさに変わった今までに無いような緊張感の中、号令がかかった


「試合開始!」


カキーン!と剣と剣がぶつかり合う音、剣を合わせて押し合ってもどちらも一歩も譲らない。


「リル! ここにきて初めて本気出したなお前」


「ユリアス先輩こそ、完全にいつもと違う人じゃないですか」


ユリアス先輩の鋭い突きがきても俺も即座にターンしてかわす


「本当にすばしっこいな」ユリアス先輩が苦笑いする

どんどん溜まった「気」が握っている剣に放出されていくのがわかる、剣先まで届いたのが確信できた瞬間 「パシッ!」とユリアス先輩の剣がふたつに折れ、宙に吹き飛んだ。

歓声が一瞬やんだかと思うや否や、地鳴りのような歓声に変わった。


「勝者! リル・ジーザメリウス君 よって……

 優勝は リル・ジーザメリウス 」


優勝者のコール中も、歓声が鳴り止まなかった……


表彰式で優勝者の花の冠を授与される。

2位のユリアス先輩と3位のヨハンは、コサージュを授与された。

この花は枯れない魔法が解かされている。

好きな女性がいる場合は、その女性に捧げるのだがそんな相手はいない。

それよりも、この世の中で1番感謝しているあの人に捧げる。


表彰台をおり、歓声の中ゆっくり来賓席で、座る父上の元へと行った。

父上の前で片足をつき、「父上お受け取りいただけますか? 」と尋ねた。

「勿論だ!」いつもクールな父が珍しく感情的に叫んだ。

父は、手差し出し俺を立たせ、俺より高い背を腰からかがめ頭を差し出した。

父の頭に冠を載せた瞬間、歓声が更に大きくなった、父上は、俺をだきしめ、

「リル、おめでとう、よく頑張った」と更に強く抱き締めた。

父を抱きしめ返した俺の手は震えが止まらなかった。


父上は、俺の肩を抱き、観衆に手を振り応えたあと、いつの間にか、深い夜の闇にうかぶ一番輝く「北皇星」に俺の拳を握り掲げた。

父上の頬にうっすらと涙が落ちるのが見えた。


忘れられない一日に、夜の帳がおちていく。



※「北皇星」はリルの世界の北極星のような星




ご覧いただきありがとうございます。

剣術大会のいろんな視点でのお話はまた別の機会に書きたいと思っています

次回は剣術大会の後のお話です

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