学園長の正体
迷わないように地図を見ながらどうにかこうにか校舎の本館にたどり着いた
本館2階にある学園長室を訪ねる
コンコンとノックをし、扉の前から声をかける
「リル・ジーザメリウスただ今参りました
入ってもよろしいでしょうか? 」
「お待ちしておりました どうぞ」
ん? どこかで聞いたような声
扉を開けると、そこには、グリー教授が座っていた
「えっ! 教授、ここの学園長だったんですか? 」
ずっと家庭教師兼俺の魔法の師匠のグリー教授が学園長だったなんて! 知らなかった…
「どうして今まで教えてくれなかったんですか! 」
「だって、リル聞かなかったじゃん 私に興味無いのかと思っていて寂しかったよ」
本当にあー言えばこういう……
「それで今日は、俺をびっくりさせる為に、呼んだのですか? 」
「いやいや、違うそれだけじゃないんだ」
グリー教授は、立ち上がり
「おめでとう リル・ジーザメリウス君 首席合格だよ」
「えっ!」って俺凄くまぬけな顔して固まってしまった
「首席合格おめでとう 新入生代表挨拶よろしく!」
「かしこまりました よろしくお願いいたします」
と丁重にお受けした
部屋に帰り早速父上に通信魔道具で連絡した
「父上、無事到着致しました
それと首席で合格入学致しました」
「そうか、よく頑張ったなおめでとう」
父の一言で実感が湧き、胸が熱くなった
「ありがとうございます
ところで…グリー教授、このアカデミーの学園長だったんですね 」
「言って無かったか
魔塔の塔主とアカデミーの学園長兼任しているからな 学園長の方は 言ってなかったか」
「父上! 魔塔の塔主というのも今! はじめて! 聞きました」
「そうか!ハハハハ!」
また、この人は 都合が悪くなったら笑って誤魔化すよ
「まあ、アイツもいつも学園に居るわけでもないからな」
「ところで双子達は、あれから大丈夫でしたか?」
「いやぁー!大変だった
目が覚めたらどこにもお前がいなかったからな
でも心配するな あいつらも、成長しなければならないからな」
ついつい弟妹達の事が気にしてしまう
こんな俺も弟妹離れしなきゃな…
その後もたわいない話をして通信を切った
通信を切ると急にまわりが静かになった
(さて、挨拶考えるか )
通信魔道具を机の引出しに片付けて、紙と万年筆をだした
万年筆は、あの「魔力暴走事件」の時懐中時計を預けたままにしていたら邸にお見舞いと一緒に届けてくれたのが縁で店主のボルトに、腕のいい職人を紹介してもらい色々な物を作ってもらっている
万年筆もそのひとつだ
まだまだ大量生産は、できないので親しい人にもプレゼントしたりしている
特に父は、大喜びしていた 大量生産…してみたいなぁとか考えながら文章を考える
いざ書こうとすると言葉というものは、でてこないものだ
気分転換! 食事に行こうと、食堂に降りてきた
今まで全て使用人に任せていた人が多いせいか
みんなかなり学園のルールに戸惑っている
ひとりで食事をしていると、金色の長い髪を編み込む様にひとつに纏めた男が隣に座ってきた
「ここイイっすか!? リル・ジーザメリウス君ですよね
俺、ヨハン・カリオスっていいます
よろしく! 」
と褐色の肌に桜色の瞳をキラキラと浮かべながら満面の笑顔で挨拶してきた
「こちらこそ!リル・ジーザメリウスです
これからよろしく」
それから食事を終えたあとも、場所を談話室に移してからもヨハンは、ずっと自分の話や既に耳にした噂話まで教えてくれた
ご覧いただきありがとうございます。
リルの学園生活、これまでと違った目線でグリー学園長か温かく見守ってくれます。




