学生グランプリが開催されるそうです
「みなさん、お久しぶりです。休暇はゆっくりと過ごせたでしょうか?」
新学期となり、久しぶり……というわけでもないルナ先生が教壇で挨拶をしている。
休暇のほとんどを学園で過ごしていたため、ちょくちょくと会うことがあった。
とはいえ綺麗な先生に会えるというものは男子にとって、テンションが上がるというものだ。
「これから新学期となりますが、一か月後には王都で学生グランプリが行われます。そのためより実戦的な授業が多くなっていきますので、頑張りましょうね?」
にっこりと微笑むルナ先生だというのに、冷や汗が止まらない。
それは俺だけではないようだ。
「あの、学生グランプリとはなんですか?」
リーナがルナ先生へと質問をする。
召喚師にあまりなじみがないと知らないか。
学生にとっては憧れの舞台でもあるのだが、田舎暮らしだった俺は話に聞いたことがあるくらいだ。
「学生グランプリとは、その名の通り学生による召喚戦闘の強さを競うものです。そしてその開催地は王都となります。六つの地域にある学園から各学年での主席と次席の二人が代表となり、個人戦にて優勝を競うことになります」
「よくわかりました。ありがとうございます」
「はい。それと我が校の成績ですが、あまり芳しくありません。クリスさんが二年連続で優勝を果たしていますが、それまでは優勝経験がほとんどないというものでした。そのため最弱校(一人例外あり)という評価を受けています」
クリス先輩、例外扱いされているのか……
「ですが、私としてはその評価を覆すことは十分可能だと思っています。クリスさんの後を継ぐ者として頑張ってくださいね?」
例外の後継者って、プレッシャーかかるよなぁ……
何を言っているんですか。
クリスさんが歩いた道を歩くことができなければ、彼女を追い越すなんて夢のまた夢ですよ?
……ということは?
もちろん優勝を勝ち取りにいきましょう!
軽く言ってくれるよ……
だけどその前に代表にならないとな。
「今のところ学年主席はカイ君、次席はフレアさんです。しかしランキング戦にて入れ替わることは可能となっています。十分に力をつけたと思ったなら、どんどん上を目指してください」
はぁ……ルナ先生もたきつけてくれるよ。
何を弱気なことを言っているのですか!
マスターに挑戦する者は全て叩き伏せてみせましょう!
頼りになる騎士の言葉を力強く思いつつ、周りを見渡す。
その周囲の誰もが目をギラギラと輝かせていた。
簡単にはいきそうにないな。
俺も気合を入れ直す。
たとえ誰に挑まれようとも、主席の座は渡さない。
その決意とともに新学期が始まる。
いろいろと説明を受けた後の、休み時間。
俺はいつものメンバーと話をしていたのだが……
「私が代表となる。絶対に負けはしないぞ」
「そう簡単にはいきませんよ!私も頑張りますから!」
「フレアにリベンジするいい機会。今度こそわたしが勝つ」
グランプリのことを話している内に、ライバル心むき出しとなってしまった。
(私が代表となりカイと一緒に王都へ行くんだ!)
(それは私の役割です!)
(残念だけどわたしだよ)
目でバチバチと火花を散らす三人を見て、俺は場を和まそうとルースに話を振ろうとした。
だがその前に、
「僕だって負けない……いや、僕が勝つから」
宣戦布告がルースの口から告げられる。
「ほう……おもしろいではないか」
「私も負けませんよ!」
「かかってこい」
ルース君、素晴らしい宣言です。
あれ?俺だけ置いてけぼりにされてない?
俺も何か言っておいた方がいいかな?
四人が不敵に微笑みあう中で、俺だけが話に関われていない気がしてならない。
マスターが何か言うと雰囲気を壊しそうなので、やめておきましょう。
わかりました……
俺は目の前のフレア、両隣のリーナとルース、後ろにいるサリア。
にらみ合う四人に囲まれて居心地の悪いまま、行儀よく椅子に座っていたのだった。




