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召喚されたリビングメイルは女騎士のようですが契約しますか? オネガイシマス……マスター  作者: think


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受け継がれていくもの

「ははは!カイ君には先に挨拶をしたが私がフレアの父、クレドだ!改めてよろしく頼む!」


当然鎧姿ではなく、スーツ姿なのだが相変わらずの大声である。


「ひぃっ!?」


「ふぅぅぅ!」


「あはは……落ち着いてサリア」


おかげでリーナは怯え、サリアは威嚇し、ルースは苦笑していた。


「父上……」


フレアが苦言を呈そうとしたとき、


「パパ、うるさい。みんな驚いてるでしょ?」


「うっ……すまん」


マリーちゃんの言葉ですっかりと大人しくなってしまう。


「マリー?お皿を持って行くの手伝ってくれる?」


「はーい!」


クレドさんのおっきな身体が、小さく見えるぜ……


トボトボと大人しく一番角の席に着くと、俺の正面で深いため息をついた。


なんだか可哀想になってきたんだが?

ファーナには初対面でビンタされるし、愛娘には冷たくあしらわれるし……


……次からは気をつけます。


そんなことがありつつ配膳されるのを待っていると、目の前にドンドンと料理が並んでいく。


「お待たせしました。皆さんどうぞ遠慮なく召し上がれ」


「ママのお料理はどれも美味しいんだから!」


「マリーとメリーも手伝ってくれたものね?」


「うん!」


トマスさんとメリッサさんは帰宅したのでここにはいないが、仲良さそうな様子が伝わってくる。

シャルネさんとマリーちゃんも椅子に座り、フレア家の人たちと対面するような形となってテーブルに全員が着いた。


パンとスープにサラダ。

メインディッシュにコロッケだろうか?

揚げ物が用意されている。


どれもこれも美味しそうだ。


「あまり目新しいものがなくて、ごめんなさいね」


「だが、マリーも言っていた通り味は保証するぞ!さあいただこう!」


「「「いただきます!」」」


メインのコロッケからいくか、サラダで胃腸を整えてからにするか……


何から食べようかと悩んでいると、スープに目がいった。

特に変わったものではない。

透き通った黄金色のスープで、具材はキノコや芋にニンジンと野菜類がふんだんに使われている。


だが、妙に気になってしまう。


「あの、このスープはどういったものですか?」


俺の問いにシャルネさんが答えてくれた。


「それはこの街の伝統のスープなの。オーレリア様の好物だったというお話が伝わってるのよ」


「そうなんですか。ありがとうございます」


そうなのか?


俺の質問にファーナは黙ったままだ。

だが、無意識にその手はスープへと伸びていき、スプーンで一口飲む。


ほんのりとした塩味がベースの優しい味わいだ。


俺はただ美味しいなと感じただけだったが、猛烈に懐かしさを感じる。


「カイ君?どうしたんだい?」


「えっ?」


正面にいるクレドさんが聞いてくる。

その場にいる全員の視線が俺へと集中していく。


頬に何か伝うものを感じ、指で拭う。

俺は知らない間に泣いていた。

だが、この涙は俺のものではない。


ファーナの感情が俺に激しく伝わる。


……これは私の亡くなった国の料理です。

お父様やお母様、みんなで笑って食べていました。

この味だけが私が持ってこれたものでした。

剣の修行に明け暮れていたので料理なんてほとんどしませんでしたが、これだけは母が教えてくれたんです。


ファーナの感情が俺自身の感情を昂らせていき、胸が痛くなってくる。

その間にも涙は止めどなくこぼれていく。


ファーナ落ち着け、君の国は残ってるじゃないか?

ここに全てが。

だからもう悔やむな。

誇ればいい。

オーレリア・シェルト・ハーランド。

君の遺したものはここに息づいているんだから。


……私の自己満足ではないのでしょうか?

私は、自分の国の代わりに救っただけなのです……


理由はどうあれ、フレアもフレアのお父さんもファーナに感謝していただろ?

長い時が経っても、いまだに感謝されているなんてことそうそうないんだ。

だから、いいんだよ。


マスター……ありがとうございます……

あなたと出会えて本当に良かった……


な、なんだか愛の告白みたいだな……


もう、そんなこと言わないでください……


ま、まぁこちらからも改めてお願いするよ。

俺にとってファーナは召喚獣じゃない、同じ人なんだから。


マスター、本当にありがとうございます……


暖かい気持ちが拡がっていく。

ファーナの心は完全に晴れたようだ。


「突然すいません。彼女の亡き故郷の料理だったようです。その気持ちが伝わりまして泣いてしまいました」


「そうか、このスープはオーレリア様の故郷の料理だったのか……」


「いまだに伝わっていてくれて嬉しかったようです」


「これからも伝えていくよ。フレアは知らんが、マリーはちゃんと受け継いでいるからな」


「えへへ、バッチリだもん!」


「わ、私だって作れます!」


「フレア?作れると言っても美味しく食べられるかどうかは意味が違うわよ?」


マリーちゃんに対抗したフレアだったが、シャルネさんの言葉で撃沈してしまう。


「お、お母様ぁ!」


「「「あははは!」」」


フレアの悲しそうな訴えを、みんなの笑い声が消して去っていく。


「さあ!楽しく食べようではないか!オーレリア様が遺してくれた料理を!」


クレドさんの号令で楽しく食事会が始まった。


美味しいです!

見事な味付けですね!


こっちのコロッケの中はクリーム!

それにこっちはホクホクのポテトだ!


「「「美味しい!」」」


おいしくて、楽しくて、暖かい気持ちでの食事会は終わりを迎えた。

ごちそうさまでした。

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