対魔獣戦!闘い方は三者三様です!
「せやぁぁぁぁぁぁ!」
はぁぁぁぁぁぁ!
空から急降下してきた二人は、それぞれ別の魔獣の後頭部に剣を振り下ろす。
ぐぅぅぅ!?
突然の衝撃により、魔獣はその大きな身体をよろめかせた。
だが、倒れるまでは至らずにくるりと振り返る。
その瞳は怒りによるものか、魔獣化の影響か真っ赤に輝きを放つ。
「父上!無事ですか!?」
「その声!フレアか!?」
久しぶりの親子の対面は残念なことに兜越しとなり、声での判断となった。
「はい!」
「ふははは!その姿!見違えたぞ!」
ガギィィィン!
団長であるフレアの父は会話しながらも、魔獣の攻撃を盾で受け止める。
「こちらの二頭は私たちにお任せを!」
「どうやら心配はいらんようだ!もう一人も相当な実力者だと肌で感じるからな!総員!魔獣の包囲を解き、前面に集中せよ!」
「「「はっ!!!!」」」
その一喝により、三頭に分散していた戦力が一頭に集中していく。
「よし!私が先陣を切る!援護を頼むぞ!」
「「「かしこまりました!!!」」」
「さて、これであちらは大丈夫でしょう」
ならばあとはこちらですね。
背中は任せましたよ。
「お任せください!」
紅と白の戦乙女は背中を合わせ、魔獣へと剣を構える。
並んでみると、魔獣は二人の身長よりも頭一つ分大きい。
そこから見下ろしてくる真っ赤な瞳は、一般市民だけではなく騎士だとしても恐怖で動けなくなるのは容易に想像できる。
フレアも一人でならそうなっていたかもしれない。
だが、今は自分の身を守ってくれる召喚獣がいて、後ろには尊敬する人がいる。
一人ではないという想いが、フレアの身体に力を与えていた。
「フェザー!剣に炎を!」
その言葉に応じ、フレアの剣は炎を纏っていく。
それは燃え盛るような炎ではなく、凝縮したように剣を紅く染めていく。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
渾身の気迫を込めた上段からの振り下ろしは、
ガツッ!
魔獣の分厚い腕に防がれてしまう。
しかし、
ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?
今までと同じように受けていた攻撃とは違い、身が焼ける痛みに魔獣は悲鳴のような咆哮を放った。
「我が剣に触れると、ただの火傷では済まんぞ!」
魔獣の毛皮に燃え移った炎はまるで生きているかのように、どんどんと広がっていく。
どしん!
ゴロゴロ!
全身を焼き尽くそうとする炎の熱に耐え切れず、地面を転がって消火を試みる。
それでも炎は消えることなく、いまや全身にまで広がっていた。
ぐるぁぁぁぁぁぁ!
火だるまになった魔獣は、道連れとでも言わんばかりにフレアへと突進していく。
「これで、最後だ!」
フレアは抱きこむように両手を広げた魔獣の腹に、横薙ぎの一閃を打ち込んだ。
がぁぁぁ……
弱々しい声とともに魔獣の巨体は後ろへと倒れていった。
……どしぃぃぃん!
絶命した魔獣の身体は激しく燃え上がっていくが、
「ロスト」
フレアの言葉により、炎は消え去っていった。
さて、いきますよ!
ファーナは光の剣を構え、魔獣へと斬りかかる。
魔獣はその一撃を爪で振り払おうとするが、
ぎゃおん!?
私の剣の切れ味は生半可なものではありませんよ!
鉄のように硬い爪を斬り裂いた切っ先は、肉にまで届く。
鮮血をまき散らしながらも戦意を失うことなく、真っ赤な瞳で睨みつける。
良い気迫です。
さあ、かかってきなさい!
ぐぉぉぉぉぉぉぉ!
魔獣に言葉が届いたわけではないだろう。
しかし、その言葉に応えるように身体を低く構え、一直線にファーナへと襲い掛かる。
光の剣よ、貫きなさい。
二本の剣をファーナは召喚し、射出した。
ぎゃぁ!?
その二本は正確に魔獣の膝に突き刺さる。
血が噴き出し、勢いが止まると同時にファーナは疾走を開始。
ファーナと魔獣の距離は瞬く間に近づいていき、
グサッ!
光の剣が魔獣の胸を貫いた。
剛毛に血がつたわり、地面へと鮮血がこぼれていく。
ぐらり……
倒れかかってくる魔獣の身体を、ファーナは後方に跳ぶことによって避ける。
どしぃぃぃん……!
討伐、完了ですね。
その言葉とともに、倒れ込んだ魔獣の身体を貫いていた光の剣はその形を失っていった。
ほぼ同時に二頭の魔獣を討伐した二人の戦乙女。
その伝説の再来のような光景は、闘いながらもフレアの父の目に入った。
「見事!こちらも負けてはおれんな!」
魔獣が鋭い爪の突きをフレアの父へと向ける。
「邪魔だ!」
その突きを見て、すぐに剣と盾を投げ捨てた。
魔獣の破壊力抜群の突きを寸前まで見極めると、最小限の動きで避ける。
「どりゃぁぁぁぁぁぁ!」
空を切った腕を掴むとその勢いのまま、投げ払った。
がぁぁぁ!?
背中から叩き落された魔獣は、自分がどうなったかを瞬時に理解できない。
その一瞬が戦場では命取りになった。
フレアの父はすぐさま剣を拾い、走り出している。
「柔よく剛を制す。さらばだ」
激闘を繰り広げた魔獣を見下ろすと、胸に深々と剣を突き刺す。
ごぁぁぁぁぁぁ!
激しい絶命の咆哮を最後に、戦闘は終わりを告げたのだった。




