二人ともお疲れ様でした!
「とっても良い闘いだったね!ボクもあんな闘いをしてみたいなぁ……」
チラチラっと俺の顔を見てくるクリス先輩。
「夏休みまでには申し込むんで待っていてください」
今は六月だが、七月の終わりから一か月ほどの長期休暇に入る。
それまでには一学期の集大成として挑んでおきたい。
「約束だよ!嘘ついたら承知しないから!」
「ちゃんと守りますって」
「よろしい!それじゃあボクはお先に失礼するよ!リーナちゃん、また今日もお風呂入りにいくから!」
「はい、お待ちしていますね」
「ばいばーい!」
クリス先輩は早口でまくしたてると、そのまま走り去っていった。
「相変わらず元気な人だね」
「ホントだな」
「それにしても、クリス先輩との再戦だけどなにか対策思いついたの?」
「ふふっ……」
「自信ありそうな笑顔ですね?これは期待できそうです!」
「残念だが、まったく思いついてない」
俺は不敵に笑った。
不敵と言うか能天気ですね。
「フレアとサリアのところに行こうか?」
「そうですね」
「ちょっと待ってくれよ!?」
ルースとリーナに置いて行かれそうになり、慌ててその後を追いかける。
そうして階段を降り、闘技場の治療室へと向かうと、中から元気な声が聞こえてきた。
「私の勝ち!」
「むぅぅぅ……」
「二人とも魔力切れなのですから大人しく寝てなさい。どこか痛むところはないですか?」
「フレアに殴られたおっぱいが痛い」
「その言い方にはとげがあると思うが!?拳を出した先がたまたま胸だっただけだ!」
「うそ、強い憎しみを感じた」
「それはハンバーグの恨みだ!」
「とても元気なようで、よかったです……」
元気に言い争う二人と呆れたようなつぶやきをもらすルナ先生。
「楽しそうだね」
「ええ、とっても」
闘いが終わってしまえば、仲の良い友達に戻る。
だからこそ、ああして憎まれ口を叩きながらも楽しそうに過ごせるのだ。
コンコン。
「どうぞ」
ルースのノックにルナ先生の言葉が返ってきた。
「失礼します。少し話してもいいでしょうか?」
「ええ、元気が有り余っているようなので問題ないでしょう」
ルナ先生は苦笑しつつ許可をくれる。
「二人とも元気なようで良かったよ」
「はい!それにとってもいい勝負でした!」
「最後までどちらが勝つか分からなくてドキドキしたぞ」
ベッドに横たわっているフレアとサリアだが、俺たちの顔を見ると嬉しそうに微笑んだ。
「私も負けたと思ったが、執念の勝利だな」
「ハンバーグの恨みは恐ろしい。もうフレアのおかずは食べないようにする。みんなもダメだよ?」
「「「それは十分に伝わった」」」
「それではまるで私が食いしん坊みたいではないか!そこまで食い意地は張っておらんぞ!?」
「じゃあまたおかず取ってもいい?」
「いいわけあるか!」
はははははは!
そんな二人のやり取りを笑っていると、
マスター!サリアさんに耳と尻尾を出せるのか聞いてください!
ファーナがすごい剣幕で語りかけてきた。
なんで?
私が撫でたいからです!
いっそ清々しさを覚えるほどの欲望まみれの発言だ。
まあ、俺も気になるところではあるので聞いてみよう。
「サリア?あの狼の耳や尻尾って今も出せるのか?」
「もしかして、さわりたいの?」
純粋な瞳で首をかしげないでくれ。
心が痛い。
「お、俺は別にいいけど、ファーナが触りたいって言うから……」
人をだしにしないでください!
言い出したのファーナだろう!?
「出せるよ。それ」
ぴょこん。
サリアの頭にモフモフの狼の耳が生えてきた。
「かわわわっ!?」
「可愛いですぅぅぅ!」
「撫でてもいいですか!?」
きゃぁぁぁぁぁ!?
すると、女の子たちは大興奮である。
あれ?一人多くない?
「ルース、撫でたいって言った?」
「い、言ってないよ?」
「それじゃぁ……?」
俺たちの視線がルナ先生へと向かう。
「……なんですか?」
何事もなかったかのように冷静さ取り繕っているが、頬は赤みを帯びている。
「ルナ先生ならさわってもいいよ?」
「おふっ」
サリアの言葉にルナ先生のポーカーフェイスは崩れてしまった。
ガタッ。
そして椅子から立ち上がると、恐る恐るサリアのケモ耳に触れた。
「んっ……」
その瞬間、サリアはくすぐったそうに目を閉じる。
「も、もふもふぅぅぅ!」
「ルナ先生ばかりズルいです!私も触らせてください!」
「わ、私も!……ぐはぁ!身体が痛い!」
私が一番最初に聞いたのにぃぃぃl
「ええっと……ファーナも触っていいか?」
「いいけど、やさしくしてね?」
ほら、お許しが出たぞ。
マスター……この御恩は一生忘れません!
にょき。
俺の胸からファーナの籠手が出てくる。
そしてふよふよと空中を漂いながら進むと、サリアの耳に触れた。
これは素晴らしいモフモフです!
ていうか鎧なんだけど触覚あるのか?
ありますよ!これは私の肌みたいなものですから!
そ、そうなんだ……
「尻尾も出せますか!?」
「ちょっと待って」
大興奮のルナ先生がサリアに問いかけると、サリアはうつぶせに寝転がり、少しだけズボンをずらした。
すると白い肌のお尻が見えそうになり、そこまで興味はなかった俺とルースの目も釘付けになる。
「それ」
サリアの言葉でポンっと尻尾が生えると、
フリフリ。
モフモフの尻尾が揺れる。
「「か、可愛い……!」」
これはモフらないといけませんね!
「んぅ……なんだかとってもきもちいいの」
「わ、私にも触らせてくれぇぇぇ!」
「帰ろうか……」
「そうだね……」
ま、待ってください!もう少しだけでも!
俺とルースはこの女の子な空気に耐えられずに、そっと治療室を後にする。
モフらせて下さいぃぃぃ!?
ファーナの悲しげな絶叫が俺の中で響いたのが、辛かった……




