みんなの二回目の召喚です!
「次は二年生です。準備をしてください」
監督がルナ先生へと替わり、俺たちも召喚の用意を始める。
この一年振りの召喚にワクワクが止まらない。
〔さて、どんな子が来てくれるのか?楽しみですね〕
〔あまりいじめるんじゃないぞ?〕
〔誰がいじめますか!〕
「それでは行ってくる」
「行ってきます!」
「あたしも」
「うふふ……どのような子が来てくれるかしら?」
「頑張ってな!」
「いってらっしゃい!」
女子たちが最初のグループに呼ばれ、魔法陣へと向かう。
「召喚開始!」
ルナ先生の号令の下、魔法陣は各場所で光り輝いていった。
「出でよ!」
フレアの召喚に応えたのは氷竜だった。
その名の通り氷を纏うドラゴンであり、Aランクの中でも上位にあたる。
しかし火のフェニックスとの相性は悪いので、キャンセルをするかと思ったのだが、フレアは氷竜の身体を擦ると氷竜は頬ずりしてフレアの身体へと消えていった。
どうやら契約を交わしたようだ。
「お疲れさん、少し聞いていいか?」
「うん?」
俺は早速戻ってきたフレアに聞いてみる。
「どうして氷竜を選んだんだ?相性的に悪そうな気がするんだけど?」
「何を言う。彼女はすぐ熱しやすくなる私やフェザーを落ち着かせてくれる存在になってくれるはずだ。そう考えてみれば相性はバッチリではないか」
「なるほど。確かに」
「名前はもう考えたの?」
「ああ、レイランとした」
ルースの問いにあっさりと答えるフレア。
直感で決めると言っていた割には結構考えているな。
「貴様、何か失礼なことを考えているだろう?」
「おっと!アリシアも聖霊を召喚したみたいだな!」
先ほどまでフレアがいたその隣ではアリシアが召喚をしている。
彼女が呼び出したのは……リビングウェポンだな。
それも騎乗槍とも言われるランスだ。
ランクはそう高くないはずだが、なんだが……
ふよふよと浮いているランスをアリシアは手に取った。
そしてにこりと笑うと、手に吸収されるように消えていく。
どうやら気に入ったみたいだ。
そんな彼女はさらりと髪をかき上げて戻ってくる。
「あの召喚獣、気に入ったのか?」
「ええ、実に手に馴染みました。ふふふ……それはもうしっとりと吸いつくほどに……」
クスクスと笑うアリシアは少し怖い。
「そ、そっか……それならよかったよ……」
俺たちはそれ以上触れないようにして視線を移す。
「来てください!」
魔力を集中させて、タイミングを見計らって召喚をしたのはリーナだ。
そしてその召喚により現れたのはカーバンクルだった。
ふわふわの犬のような緑色の毛皮を纏い、額にあるルビーのような宝石が特徴だ。
風魔法を得意としていて攻撃補助回復となんでもござれの召喚獣。
主人と決めた相手にはなつき、その高性能を十分に発揮するため、Aランクに認定されている。
「きゃぁ!可愛いです!」
リーナはそのもふもふに手を差し伸べると、カーバンクルもその手を受け入れた。
そしてリーナの額にカーバンクルは自分の額にある宝石を当てて、リーナの中に入って行く。
〔ははは、言っていた通り可愛い子を選んだな〕
〔リーナさんにはお似合いだと思いますね〕
そうして召喚を終えたリーナはパタパタと走ってきた。
「見てましたかカイ君!?可愛い子を召喚できましたよ!」
「ああ、可愛い子だったな」
「うふふ!なんて名前にしましょうか!うーん……すぐには決められませんね!」
ご機嫌な様子のリーナを俺たちは微笑ましく思っていると、サリアの魔法陣が光り輝いていた。
「おいで」
サリアの召喚により現れたのは慈愛の微笑みを浮かべたドリアード。
木の精霊で葉の髪を持ち、茶色の肌を持つ優しい女性の様な聖霊。
回復や補助が得意でランクはB。
サリアは手を差し伸べると、ドリアードはそっとその手を取り、彼女の中に消えていった。
これで女子たちは全員終わったな。
だけどサリアにも聞いておきたい。
「どうしてドリアードにしたんだ?」
「温かい気持ちで召喚したら、きてくれたから……」
「そうか……」
悲しい気持ちから召喚したのは氷狼セツナだった。
その時とは違う気持ちがドリアードという優しい聖霊を召喚したのかもしれない。
「お疲れ様」
俺はサリアの頭に手を置いた。
「ん」
するとサリアは嬉しそうに微笑んだ。
「次の組は魔法陣に入ってください!」
規定の三回の召喚を終えて、次はルースの出番だ。
「行ってこい、ルース」
「うん。行ってきます」
ルースはそう言うと、にこりと笑って魔法陣へと向かっていった。
「それでは召喚開始!」
再び、ルナ先生の号令により召喚が開始される。
「ふっ……」
ルースは落ち着いて魔力を集中させているようだ。
「来て!」
その言葉と同時に、力強い光が湧き上がる。
おっ!きたか!?
ノエリーアのときと黒髪の少年と似たような輝きに、俺は心震える。
そうして現れたのは、黄金に輝く騎士だった。
〔リビングメイルですか?〕
〔いや、あれはレオン先輩と同じエインヘリャル。それもロードだ〕
〔ロード?〕
〔ああ、そのままの意味だ。ヴァルキュリアが選定したエインヘリャルを束ねるものだな〕
〔エインヘリャルですか……あまりいい思い出はありません……彼は違うといいのですが……〕
〔さて、契約できるか?ルース?〕
「僕と契約してください!」
黄金の騎士に手を差し出したものの、騎士は動く素振りを見せない。
そして消え去ろうとする魔法陣の光。
これは……失敗か?
「……僕は、負けたくない!カイにも!フレアにも!リーナにも!サリアにも!アリシアにも!……だから、来い!お前の名前は、イクスだ!」
おとなしいルースが叫びに応えるように、騎士の目が光ると騎士はルースの手を取った。
そしてそのまま光の粒子となってルースへと溶け込んでいく。
ここにきてルースのSランクとの契約は大きい。
ランクが全てではないが、その能力を十分に引き出すことができれば俺もうかうかとはしていられない。
「お疲れ、ルース。言ってくれたな」
「……僕は本気だからね」
にこりと笑うルースの瞳には、メラメラと燃えるものがあった。
「これは負けてはいられないな」
俺は自分の召喚の番が待ち遠しくて仕方ないのだった。




