早く大人になりたいです!
「二人ともお疲れ」
「とっても素晴らしい闘いでした!」
「んっ、感動した」
「凄かった!僕も手に汗握ったから!」
いつの間にかフレアたちがやってきてくれて、いろいろと感想を言ってくれるが理解が追いついていない。
〔やりますね、クリスさんは。なかなかの先制攻撃です〕
〔あ、あのさ……好きってやっぱり、そういうことだよな?〕
〔当然でしょう?いくらクリスさんが天然といえど、あの雰囲気でお友達として大好きですとは言わないでしょう〕
〔ど、どうしよう……俺なんにも答えられてない……〕
〔そんな弱々しい態度でどうします!〕
〔だって俺!女の子に好きって言われたの初めてで!〕
〔その想いを受け止められる人になってください。そして将来、しっかりと答えを出すんです〕
〔それで、いいのかな……〕
〔クリスさんも答えを求めているわけではありません。彼女もまだ自分の道を歩みたいし、マスターの枷となるつもりはないのですから〕
〔……わかった〕
〔わかっていただけて嬉しいですが、ここから大変ですよ?マスター?〕
〔えっ?〕
〔女の子たちは鋭いですから〕
俺が呆けていた間になにかを察したようで、フレアたちは座っている俺に向かって視線を下ろしてきた。
「クリス先輩になにか言われたようだな?」
「どういったものかは想像つきますが、ここではあえて言わないことにしておきます」
「まあ早くに卒業するハンデがあるしね」
「あはは、みんなありがとうね」
「もう少し後に言うのではなかったのですか?」
「いや、ごめんごめん。つい言っちゃった」
「くっ……その笑顔はズルいと思います……」
「うん。もうなにも言えない」
女の子四人は通じ合っているようだが、俺はついていけていない。
なのでなんとなく気まずい思いをしつつ、体力の回復を待つのみだ。
「カイ」
「はい!」
突然フレアからの呼びかけに、大きな返事をする。
「クリス先輩も言ったであろうが、まだ答えを出すなよ?私たちはまだスタートラインに立っていないのだ」
「私たちが卒業して、大人になってから答えを出してくださいね」
「カイは待っててほしい」
フレア、リーナ、サリアはしゃがみ込むとまっすぐに俺の目を見つめてくる。
そこには確かな決意を秘めた瞳があった。
「……わかった」
今の俺には詳しいことはわからないが、猶予があることはわかった。
時が経っても答えが出るかは自分次第だ。
これからの日々を無駄にせず、早く大人になりたい。
〔青春ですねぇ……〕
〔なにをおばさんくさいこと言ってるんだよ〕
〔誰がおばさんですか!お姉さんと言いなさい!〕
〔はいはい。お姉さんお姉さん〕
〔はいもお姉さんも一回でいいんです!〕
「それじゃみんなでお疲れ様パーティーでもしようか?街の喫茶店にでも行こうよ」
「「「賛成!」」」
ルースの提案に反対するものは誰もおらず、俺はゆっくりと身体を起こした。
だいぶ疲労感はあるが、歩けないほどではない。
「一旦風呂入ってから来るわ。集合は入り口前広間でいいか?」
「ああ、いいぞ」
「あっ!ボクも入ってこよっと!……カイ君、一緒に入る?」
「ク、クリス先輩!からかわないでください!」
「あはは!顔真っ赤だ!カイ君のえっち!」
こうして、クリス先輩との模擬戦は終わりを告げた。
その後、風呂に入って汗を流した俺とクリス先輩は広間に集まり、フレアたちと合流し行きつけの喫茶店へと赴く。
「「「乾杯!!!」」」
そこでフルーツジュースで乾杯し、ケーキやクッキーといったお菓子を食べて、みんな笑顔ではしゃいだ。
もうすぐ来る別れの日を感じさせないように。




