寝る前にゆっくり遊びます!
カイとファーナの思念での会話に〔〕をつけました。
読みやすくなれば幸いです。
よろしければご要望やご感想、お待ちしております!
風呂場から出たというのに身体が火照って仕方ない。
〔マスター?どうしました?浴場ではゆっくりできなかったので?〕
〔いや、今は放っておいてくれ……〕
〔そうですか?わかりました〕
リンクを切っていたのでファーナは俺の様子が変な原因に気づいていない。
ファーナに説明をするのも嫌なので放っておいてもらうことにした。
女性陣の風呂は長いようで俺たちが食堂に着いてからしばらくしてリーナたちがやってきた。
フレアは椅子に座っている俺を見つけるとギロリと睨んでくる。
「まったく、風呂場では変なことを大声で言いおってからに」
そういうフレアだって変なこと言っていたくせに……
〔マスター?どのようなことを言ったのですか?フレアさんは随分怒っているようですが?〕
〔ちょっとした悪ふざけだよ……もうこの話は終わり!〕
〔むぅ……除け者にされた気分です……〕
ファーナは不満げにしつつも納得してくれたようだ。
「まあまあフレアちゃん、ご飯ですから座ってください」
「ああ、わかっている」
フレアはそう言うと、俺から一番距離のある場所に座った。
だがそんなことはどうでもいい。
俺の視線に気づかれていたことが問題だ。
俺がフレアとリーナには腰を、サリアとクリス先輩の時には胸を見ていたことがバレていたようだ。
なんてことだ、バレていないと思ったのに……
〔ファーナ〕
〔はい?〕
〔フレアたちと会うとき、俺の視線の先にあるものに気づいたことはあるか?〕
〔ああ、胸やお尻に視線がいっていることですか?まあ気にしないでいいのでは?マスターも男性ですし〕
〔……そうか。ありがとう〕
ファーナにも気づかれていたようで、逆に慰められてしまった。
女の子には見抜かれているものなんだな……
そう思うと次に対面したときにどこを見ればいいのかわからなくなるな。
目をじっと合わせるのも恥ずかしいし、困ったもんだ。
昼とは違って人数が寂しい中での食事。
その夕食の内容は肉の野菜炒めだった。
細切れとなった肉の脂と野菜たちの旨味が混じり合い、塩と香辛料の味付けも見事だ。
「野菜ばっかり……お肉がもっと食べたいなぁ……」
「トムスってば本当に子どもね!お野菜だって美味しいわ!」
「そう言うシェンナだってちょっと前までは野菜嫌い!って言ってたじゃん!」
「はいはい二人とも、食事中にケンカしないの」
トムスとシェンナの言い合いにスティニーが仲裁する。
そんな様子を優しく見つめるセレナさんは、にっこりと微笑んでいた。
そして夕食も終わり、後は就寝するまでの自由時間となった。
「にーちゃんたち!遊ぼうぜ!」
「いいけど、あんまり夜更かししたらダメだぞ?」
「わかってるって!アンジも一緒に遊ぼうぜ!」
「うん……!」
人見知りだった様子のアンジも俺たちに笑顔を見せてくれるようになった。
それがなんとも嬉しいものだ。
「シェンナとティー姉も遊ぶか?」
「私たちはリーナお姉ちゃんと一緒におしゃべりするの!」
「そっか。わかったよ」
夜の段取りは決めていなかったが、男子と女子に分かれて過ごすことになりそうだ。
「それではお休みなさい」
「あんまり遅くまで遊ぶんじゃないぞ?」
「お休みー」
「またね!」
「ああ、お休み」
「お休みなさい」
女子たちはリーナとサリアの部屋へ楽しそうに入っていった。
俺たちも部屋に入り、円を描くように座る。
「それじゃトランプでもするか」
「二人は知っているのある?」
「最初はババ抜きがいい!」
「僕もそれでいいです」
「よし、それじゃババ抜きをするか!」
俺はトランプを切り、カードを配っていった。
そうして遊んでいく途中に、剣を持つジャックのカードを見てふとブレイのことを思い出した。
「昼にやってきた貴族ってどんなやつだ?」
「あいつはやなやつだよ!リーナねーちゃんが出ていくきっかけにもなったやつなんだぜ!」
「それは最悪なやつだな」
「だろっ?もともとはこっちで働くことも考えていたのに、リーナねーちゃんをあいつが見つけてから、毎日来るようになって遠くにいくことになったんだ」
そうか。
リーナに召喚士なんてあんまり似合わないと思っていたけど、そういう事情があったのか。
「でも、嫌がらせとかなかったの?この街の領主のお孫さんなんでしょ?」
「領主様はおじいちゃんだけど、いい人なんです」
ルースの問いにアンジが答える。
「跡継ぎっていうけど息子さんはいないのか?」
「事故であいつのとーちゃんとかーちゃん死んじゃったんだって」
「なるほど……だから領主さんもあんまり強く言えないのか」
「こっちはいいみ迷惑だよな!アンジ!」
「うん……シスターも困ってる……」
ふむ……
〔なんとか解決したいところだな〕
〔そのきっかけはあちらからやってくるのでは?〕
〔たぶん、そうだろうな〕
「やった!一抜け!」
「むっ!やるなトムス!」
意外にもトムスは顔に出すこともなく、なかなかのババ抜きマスターだった。
───領主の館、レイセントの部屋───
レイセントは二十代くらいの男と話をしている。
着崩した服装で貴族の屋敷にはふさわしい男だとは思えない。
男はならず者の首領であり、レイセントが護衛として雇い子飼いにしているものだ。
「おい、お前は召喚術が使えるんだったな?」
「はぁ……独学なのでそれなりにですがね」
「明日教会に女を攫いにいくからついてこい。お前の部下たちも一緒だ」
「レイ様よぉ?女くらい自分で攫ってくるもんだぜ?」
「自分で行ったさ!妙に強い奴に邪魔されたんだよ!」
「妙に強い奴ねぇ……まあ金はもらってるし、働かせていただきますよ」
「ああ!よろしく頼むぞ!」
「それで?いつにするんで?」
「明日の昼だ!リーナ待っていろよ……絶対に俺のものにしてやる……」
男はレイセントの執着を見て、やれやれと肩をすくめるのだった。




