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召喚されたリビングメイルは女騎士のようですが契約しますか? オネガイシマス……マスター  作者: think


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リーナのお家に到着です!

「あ、あれ!馬車の中じゃない!?」


クリス先輩がフレアの背中の上からキョロキョロと辺りを見回し、驚いた表情を見せる。


「とっくに着いてますよ」


「起こしてくれればよかったのに!ありがとうね!フレアちゃん!」


クリス先輩はそう言うと地面に立つ。


「散々起こしましたけど起きなかったんですよ」


「うぅ……おんぶされてたなんて恥ずかしいなぁ……フレアちゃん重くなかった?」


「重くは……一部が重かったですね」


一度は否定しようとしたが、少し考えて訂正した。


「一部ってどこ!?」


「それは自分で考えてください」


「なんだかフレアちゃん怒ってる!ごめんなさい!今度はボクがおんぶしようか!?」


「別に怒っていません!もういいですから謝らないでください!」


その後普通に話すようになったクリス先輩は、あちこちに興味を示してははしゃいで回る。


「うわぁ!すごいね!どこもかしこも煙突だらけだ!あっ!あそこに木彫りの犬が立ってる!」


あまりにはしゃぐものだから地元住民の方に温かい視線を送られる。


うふふ、学生さんね。

楽しんでいってね?


みたいな感じだろうか?

やんちゃな子どもに向けられるような視線が少々恥ずかしい。


「クリス先輩……少し落ち着いてください」


「あっごめんごめん!ボクだけ騒いじゃって!」


しかしその後も、解き放たれた犬のように走り回るクリス先輩。

俺はもう諦めることにした。

こうして楽しむことも旅の醍醐味なのかもしれないしな。


それからも俺たちは歩き続け、およそ二十分ほどが過ぎた頃、


「お待たせしました、見えてきましたよ。あの教会の隣にある建物が私の家です」


小さな教会。

この国の国教であるプレシア教の象徴である花が屋根の上に彫刻として一輪立っている。

そしてその隣には教会よりも少し大きい建物があり、それが孤児院なのだろう。


「それじゃお邪魔になりに行こうかな」


「どうぞどうぞ。シスターも張り切っておもてなしすると言っていましたのでお楽しみに」


そういえばシスターがどういった方か聞いていなかったな。

まあもう少しで会えるからいいか。


教会の近くにまで赴くとどことなく神聖さを感じさせられる。

騒がしいクリス先輩もすっかりと静かになった。


「ただいま戻りました」


リーナが教会の扉を開くと、とんでもない事態になってしまった。


きゃぁきゃぁきゃぁ!


大勢の子どもたちが我先にと入り口へと殺到したのだ。


「リーナ姉ちゃん!お帰り!」

「お帰りなさい!」


いちにいさんしぃ……二十人くらいはいるだろうか?

ここまで多いとは思わなかった。


「す、すごい人数だな?」


「まだお昼くらいですからね。この時間は託児所にもなっているんです」


フレアの問いにリーナははしゃぐ子どもたちを相手にしながら答える。

完璧な対応だ。

さすがお姉ちゃんというべきか。


「よく無事で帰ってきましたね」


そして奥からやってきたのは、犬の足跡が刺繍されたエプロンを着た女性。

見た感じルナ先生と同じ歳だろうか?二十代半ばくらいに見える。

長い水色の髪をポニーテールに纏め、その表情からは絶対に優しいであろう性格が窺える。

俺の第一印象は若っ!だった。

もう少し歳のいった女性を想像していたから余計にギャップを感じる。

それに……美しい……


マスターはすぐにそれですね。


仕方ないだろう?ファーナはそう思わないのか?


……まあ、思いますけどね。


「わぁ!綺麗な人だね!」


「あらあら、照れますわ」


クリス先輩の遠慮ない言葉に彼女はにっこりと微笑む。


「皆様、ここでお話もゆっくりできませんのでぜひ入ってください。温かいお茶をお出ししますわ」


「は、はい。ありがとうございます」


「それではお邪魔させていただこう」


「「「お邪魔します」」」


俺たちはシスターと子どもたちに誘われ、中へと入っていった。


中は茶色の絨毯が敷かれ、長い椅子が中央に五列ほど並んで置かれてある。

そして一番奥には女神プレシアの大きな絵画が飾られている。

その少し手前にピアノがあり、右側には暖炉が備え付けられていて、室内を暖めてくれていた。


「それでは少しお願いしますね」


「はい、シスター」


俺たちよりも少し年若い女の子たちにこの場を預けると、シスターは別室へと案内してくれる。

そこは応接室のようで大きな四角いテーブルと木製の椅子がその周囲に置かれている。

八人は座れるような配置だ。


「それではお茶を淹れて来ますので少々お待ちくださいね」


「シスター、私もお手伝いします」


「ありがとう。それじゃ一緒に行きましょうか」


「はい、みなさんはゆっくりしていてくださいね」


二人は連れ立って部屋を出ていくと、俺は一気に脱力した。


「はぁぁぁ……緊張したぁぁぁ……」


「そうか?優しそうな方じゃないか?」


「うん。あたしもそう思う」


「女子はそうかもしれないけど、男子はなぁ?ルース?」


「……き、緊張したね」


「どういうことだ?」


「ふっ……男子っていうのは綺麗なお姉さんの前では緊張するものなんだよ」


「またそれか、貴様は」


「すぐにそれ」


「綺麗なお姉さんはここにもいるでしょ!」


「クリス先輩はなぁ……?お姉さんと言われるかと言えばどう思う?」


「ぼ、僕に振らないでよ!」


「ああ!ルース君まで微妙な反応!そんなぁ……」


クリス先輩はショックを受けた様子でしゅんとうなだれた。


「二人ともクリス先輩をいじめるんじゃない」


「クリスは綺麗」


「ファーナちゃん……サリアちゃん……」


「じゃあお姉ちゃんって呼べる?」


「「……」」


俺の問いに二人は視線を外した。


「二人とも!?」


「いや……姉と言われたら、妹のような感覚で……」


「お姉ちゃんではない気がする」


「そんなぁ……」


さっきよりもがっくりと肩を落としたクリス先輩に、誰もがかける言葉を持たないでいた。

そんな少し気まずい空気の中、ノックの音が聞こえてくる。


「お待たせしました」


誰もが待ちわびた声とともにドアが開かれるのだった。

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