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泊まるところ探してます!

ひと悶着あったが、無事に自己紹介を終えてホテルへと歩き出した。

俺の両親も近くに置いてあった旅行バッグを手についてくる。

いい大人が制服の学生に交じって歩くと……まあ教師に見えなくもないからいいか。

母さんだけは馴染んでいそうだが。


「なんでついてくるんだよ?」


「ホテルに戻るんだろう?どうせならお前が宿泊しているホテルに泊まろうと思ってな」


「夜行馬車で朝に着いたばかりだから宿泊先まだ決まってないのよ」


……うん?


俺の足が突如生まれてしまった疑問によって止まりそうになる。


まさか……


「二人とも予約って知ってる?」


「バカにするな。あらかじめ約束を取り付けておくことだ」


「そうよ、変な子ねぇ」


親父は呆れたように俺を見ている。

その表情はめちゃくちゃ腹立つが、ここで声を荒げてしまっては仕方ない。

先ほどの二の舞はごめんだからな。


「……グランプリの影響で宿泊施設はどこも満室だぞ」


「まんしつ?なんだその言葉は?」


「知らない単語ねぇ?」


「二人の泊まる場所がないって意味」


「な、なんだと……?」


「こ、こんなに大きいのに?二人の部屋もないの……?」


確かに俺の故郷ではホテルなんて立派なものはなく民宿のようなものだ。

海が近くにあるが、波が荒く海水浴には向かない。

そのため釣り好きな人が泊まりに来るくらいなもので、それほど多くない民宿だが満室になることなんてない。

しかし、それだけで経営が成り立つがわけがないので食事を提供しており、俺も何度か食べに連れて行ってもらったものだ。

懐かしいなぁ……


「そんな懐かしそうな表情を浮かべるな!私たちはどこに泊ればいい!?」


「とりあえずルースのお母さんがホテル関係者だから聞いてみるよ」


たぶん無理だと思うけど……


そう思いながら俺は少し重くなった足で歩みを進めていった。



「残念ですが、不可能としか言えませんね」


ホテルで解散した後、ロビーにあるテーブル席スペースでモアさんに相談したのだが、そう即答されてしまった。


「そうですか……」


一縷の望みにかけていた両親はその言葉を聞いて、がっくりと肩を落とした。


やっぱりな……


「僕たちの部屋は広いからそこに泊まってもらったらいいんじゃない?」


モアさんの隣に座っているルースが提案したが、


「そう単純にはいかないのよ。部屋には法律で決まっている定員というものがあるの。二人部屋に一人で泊まるのは構わないけど三人では泊まれない。災害などの緊急時には適用されないのだけど、催事には適用されるから法律違反になってしまうわ。なので歴史あるホテルとしてそういったことはできないのよね」


「そうなんだ……」


完全に論破されてしまう。

ルースには甘いモアさんだが、経営のことになると手厳しい。

公私混同しない経営者の鏡とも言え、キリっとした表情はカッコよく映る。


「ごめんねぇぇぇぇぇぇ!本当ならルースちゃんの言うことならなんでもしてあげたいのにぃぃぃ!」


「くっつかなくていいから!」


前言撤回しよう。

やはりただの親バカだ。


とはいえなんとかしないとこの寒空の下に両親を放り出すことになる。

親父だけならどうでもいいが、母さんだけはなんとかしないと……


「おいバカ息子、なにか良からぬことを考えてないか?」


ちっ……鋭いやつだ。


「親父だけなら牢屋でもいいなんて思ってないぞ」


「なら一緒に入るか?それで空いた部屋に母さんが泊まればいい」


「俺を犯罪者と一緒にするな!」


「私もまだやってないが!?」


「いつかやるってことだな!」


「揚げ足をとるな!ちょっとした言葉のあやだろうが!」


つい親父につられてぎゃぁぎゃぁと騒いでしまう。


「……静かにせんかぇ?」


「「誠に申し訳ございません」」」


そのせいで母さんに静かに怒られる結果となり、心からの謝罪を口にした。


どうしたもんかなぁ……


マスター、相談してみてはいかがですか?


ん?誰に?


頼りになるおじいさんがいるではないですか。


なるほど、その手があったか。

セイロウさんなら年の功でなにかいい情報をくれるかもしれない。

今なら時間もあるし、食事を取るついでに聞いてみるとしよう。

いつになく冴えてるじゃないか。


私はいつでも冴え冴えですが!?


えっ?なえなえ?


冴え冴え!


ファーナはむきになって言い返してきた。

ウチのお姫様はいつも面白い反応である。


「モアさん、お忙しい中相談に乗っていただきありがとうございました」


「いえ、お力になれずに申し訳ございません。我が家に泊まっていただくことも考えたのですが、あまり人様にお見せできるものではなくて……」


「……片付けしてないの?」


「えへっ……忙しくて……」


「ホントにもう……」


ルースとモアさん、どっちが親か分からんな。

そんなルース親子にほっこりした後、俺は両親に告げる。


「親父に母さん、紹介したい人がいるんだ」


「ん?結婚は早くないか?」


「そうね、卒業してからの方がいいと思うんだけど」


「なんでそうなるんだよ!違うって!はぁ……二人とも腹は空いてる?」


「うむ、腹ペコだ」


「少し食べたくらいだからね」


「なら食事にいこうぜ。そこで紹介するから」


「もちろんお前のおごりだよな?」


「そこは親父が出せよ!」


「けっこうな収入があるんだろ!?親に感謝の気持ちはないのか!」


「感謝されるような父親になってから言え!」


「立派な父だろうが!」


「バ、バカなこと言ってないでいくぞ!」


ゴゴゴゴゴゴゴ……


また母さんに怒られそうなので、俺は急いで話を切り上げた。

体調不良で寝込んでおりました。

申し訳ございません。

完結させずに終わらせることはありませんので、これからも応援よろしくお願いします。

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