大変です!マスターが変態です!
その後、レオン先輩に続きセツカ先輩も見事に勝利を飾る。
雪月鳥とのリンクを高めた武装変化は背中に雪のように白い翼を生やす結果となっていた。
サラサラな黒い長髪と白い翼が相反する魅力を発しており、その姿が現れた瞬間、場内は一瞬静まり返る。
観客たちはその美しさに見とれていたのだ。
そしてもう一体は風の精霊であるシルフ。
ランクはAランクであり、風の魔法を得意としている。
その強力な風魔法は攻防どちらもこなせ、回復までもこなす。
まさに万能という言葉がぴったりな召喚獣だ。
そんなシルフは、セツカ先輩の半分くらいの身体を透明な羽によって浮遊させている。
こちらもまた神秘的な美しさを漂わせているが……なんだかフリフリの少女趣味な洋服を着用しているのが激しい違和感を覚えてしまう。
実際にシルフ自身も恥ずかしいのか、身体を隠すようにしていたのが特徴的だった。
あ、あれって……セツカ先輩の趣味だよな……
よい趣味をしていますね!
召喚獣は召喚主の魔力によってその身体を生み出されている。
そのため召喚主のイメージが色濃く出ることがあるという。
まあファーナのように召喚獣自身が強くイメージしている場合は、そちらの方が優先されるので全召喚獣に適用されるわけではないのだが。
おそらく自分が着たいが似合わないので諦めている服装をイメージしたのだろう。
……胸が大きいのもセツカ先輩の願望なのかな?
マスターはデリカシーという言葉をご存知でしょうか?
……すみませんでした。
対戦相手は召喚主が大剣を装備した戦士、召喚獣がドラゴンにストーンゴーレムというゴリゴリの力押しパーティーだった。
セツカ先輩は風と雪を融合させて風雪という合成魔法で対戦相手全員の足止めをすると、動けない召喚主の背後に回り、鋭い剣を首筋に押し当てた。
「ふふふ……捕まえたぞ……?」
そして雪のように冷たい微笑を浮かべた。
「ひぃぃぃぃぃぃ!?首筋が冷たい!?ギブアップ!ギブアップを宣言します!」
その結末を見た観客の男性陣はすっかりと大人しくなってしまった。
先ほどまでは大興奮だったというのにだ。
一部で荒い息を吐いているやつもいたが……見なかったことにした。
それに反して女性陣は大興奮だったのも特に記憶に残っている。
とまあその結果、セツカ先輩は雪姫と呼ばれるようになり、女性に責められるのが好きな男性と熱狂的な女性たちによってファンクラブが作られたという話もある。
レオン先輩は尻に敷かれるんだろうな……
むふふ……それもまた悪くないのかもしれん。
……マスターもファンクラブに入りますか?
どうやら特殊な趣味をお持ちのようですので。
ち、違う!俺は……至って普通だぞ?
そういうことははっきりと自信を持って言ってほしいものですが?
おう!言ってやらぁ!
俺がはっきりと断言しようしたのだが、俺の脳内にあるイメージが湧いてきた。
まるで牢屋のような一室に俺は囚われている。
「ふふふ……さぁ……跪くがいい……」
「は、はい……」
俺は素直に椅子に座っているフレアの命令に屈した。
すると嘲笑うフレアが、俺の目の前で足を組む。
短いスカートからのぞく白い足と黒いニーソックスが俺を魅惑的に誘う。
「何を見ている?」
そう言い俺の頭を踏むフレア。
「とんだ変態さんですね……女の子に頭を踏まれて喜ぶなんて……どんな気持ちなんですかぁ……変態さん?」
しゃがみ込み、俺の視線に合わせて囁くリーナ。
ゾクゾク!
俺の脳内に不思議な感覚が滲んでいき、それが快楽だと脳が認識してしまう。
こ、このままではまずい!
逃げなくちゃ!
俺が快楽から逃れようと身体を起こそうとしたとき。
ふにょん。
背中に柔らかな感触と重みが伝わってくる。
「動いちゃダメ」
聞こえてきたのはサリアの声だ。
その声により俺の身体は動けなくなってしまう。
「いい子、いい子……だけど次動こうとしたら悪い子だからお仕置きしないとね……」
「ふふふ……」
「うふふ……」
「とっても楽しい……」
………………
…………
……
ゴン!
「あいだぁ!?」
突然の頭への衝撃に俺の意識は現実へと引き戻されていった。
「な、何が起きたんだ!?」
俺は隣に座っているルースに状況の説明を頼む。
「ファーナさんの腕が急に出てきて、カイの頭を叩いていったんだけど……」
ファーナ!?
マスターがあらぬ方へと行ってしまいそうだったので、正気に戻させていただきました。
本当にありがとうございます。
危うくフレアたち三人にお願いするところだった。
踏んで、なじって、乗ってくださいってな。
召喚師は想像力豊かな分、妄想力も強いんだなぁ……
それだけ妄想力豊かなのはマスターくらいだと思いますよ。
「まもなく三年生の部に入ります!それまでしばらくお待ちください!」
そうしている間にも試合は続いていたようで、いつの間にか三年生の部へと移ろうとしていた。