上級生の部が始まりそうです!
一年生の部の六試合が終わると、続いて二年生の部が始まった。
レオン先輩やセツカ先輩が出るので応援しないとな。
「このホットドッグおいしいね」
「だろ?どこの闘技場もこういった屋台での食べ物は美味しいって相場が決まってるんだ」
クラス全員でモグモグと食事をしながら、先輩たちの試合に備えている。
食事とドリンクで完全に観戦ムードですね。
まあ俺たちの部は終わったからな。
ここからは自由時間みたいなもんだ。
「一年生のフレッシュな闘い!素晴らしいものでしたね!」
「ええ、特にルードリア学園の二人は素晴らしく思います。明日が楽しみです」
「お一人はお孫さんですが、お孫さんが活躍している姿はヴィオラさんにはどう映っているでしょうか!?」
「それはもう……最高だ!息子夫婦の反対を押し切ってまで行かせたかいがあったといういもんだ!ふはははははは!」
「あ、あの……ヴィオラさん?」
「……こほん、よく頑張ってくれている。そう思いますね」
「どうやらおじいちゃん愛は相当のものですね!」
あははは!!!
実況の人とルースのおじいさんのやり取りで、準備中の闘技場内に笑いが溢れる。
「ルースは愛されてんなぁ……」
「もう……おじいちゃんってば……」
ルースは苦笑して、紙カップのドリンクに口をつけた。
「ルースの祖父君は素の部分は豪快のようだな?」
「うん、普段はフレアのお父さんに近いかな?召喚師を引退してからは落ち着いた話し方を心がけているみたいだけど、興奮すると素に戻っちゃうんだよね」
「ふふっ、なんだか可愛らしい方ですね」
「こっからじゃあどんな人か見えないのが残念」
実況席はちょうど俺たちの席の上の方にあるので、その容姿を見ることはできない。
いつか会う機会があればと思う。
「さて、準備も終わったようです!これから二年生の部に入っていきますが、一年生との違いはどこにあるでしょうか!?」
「大きな違いとして、二年生は召喚獣二体での闘いになります。実質的に三対三になる訳ですので、召喚獣との連携、そして戦闘経験が重要です」
「なるほど!召喚師本人の経験が大きな勝因になると!」
「召喚師本人も重要ですが、それ以上に重要なのは召喚獣の戦闘経験です。いくら意思疎通ができると言っても、戦闘中に召喚師は命令を出す暇がありません。一瞬の遅れが命取りになるからです。そのため各召喚獣が自身の考えに基づいて動きます。自分の主の勝利のために自分はどうすればいいのか?どう連携を取っていくべきか?それらは日々の訓練と経験でしか養うことができません。どれだけの汗を召喚獣とともに流したか、それが勝敗を分けることになるでしょう」
「さすが元ランク一位の召喚師ですね!言葉に重みがあります!」
なるほど……
単純に仲間と敵が一人増えると言う訳ではないのか。
当然です。
二×二が四ならば三×三は九です。
戦場にて考えるべきことは倍以上になるのですから。
闘いは難しいなぁ……
いずれ俺も新たな召喚獣と契約することになるだろうけど、ファーナはどんなパートナーだと闘いやすいと思う?
……
あれ?
急に黙ってどうしたんだ?
マスターもやっぱり新しい子の方がいいんですね!
男性というのは本当に困った人たちです!
なんでそんな話になるのかな!?
私という者がありながら、ぐへへ……今度はどんな子を俺のハーレムに入れようかな?なんてことを考えるとは不潔です!
まったくもって考えてねぇぇぇぇぇぇ!
例えるならファーナの騎士団に新たな仲間が入るとしたらどういった人がいいかっていうだけの話だろう!?
なんだ、そういうことですか。
それならそうと早く言ってください。
最初からそう言ってるんだが?
ふむぅ……そうですねぇ……
ファーナは俺の言葉を全く気に留めずに考え込む。
実力は未完成だとしても、やはりやる気があって素直な者がいいですね!
あれ?最初から強いとダメなの?
そういった者と考えが対立すると大変です。
それならば一から教え込み、私の思うままに動いてくれる者が至高だと考えます!
なにせ私が騎士団長なのですから!
うわぁ……厄介な上司だぁ……
何か思いましたか?
い、いや?新しい騎士団員にどんな召喚獣が来てくれるか楽しみだな。
召喚時には当然私が面接しますので!
マスターは良い子を召喚してくださいね!
もし召喚した子が、ファーナのお眼鏡にかなわなかったら?
その子の今後の活躍をお祈りして、次に参ります。
……
俺の騎士団の入団倍率は、かなり高くなりそうだ……