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王様と仲良しです!

「ほ、ほんもの……」


「うむ、影武者ではないぞ」


ファーナ!起きて起きて!


俺はリンクを切っていたファーナを呼び出す。


なんですか?そんなに慌てて。

手は洗いましたか?


そんなことを言ってる場合じゃない!

王様に対しておじさんって呼んじゃったんだけど!?

俺どうなりそう!?


私の時代でしたら一週間ほどの投獄ぐらいですが?


重すぎぃ!


そうですか?優しい方だと思いますよ?

ある姫友の国では頭と身体がさよならするところもありましたから。

不敬罪として。


ひぇっ!?


「あっカイ君とルース君。何やってんの?」


俺が呆然と突っ立っていると再び背後から声をかけられる。


「クリス先輩!」


声の主は、すっかりと眠気がなくなっている元気なクリス先輩だった。


「おお、クリス。久しぶりではないか」


「あっオーさんじゃない。お久しぶりぃ♪」


まるで友達のように挨拶を交わす二人を見て、俺とルースはあっけにとられてしまう。


「一人で行動してたら怒られるんじゃないの?」


「トイレにまで護衛を付けられては敵わん。後ろで立っていられては出るものも出ん。そう思わんか?」


「ボク、一応女の子なんでそういうこと言われても困るんだけど」


「そう言われるとそうだな。どうだ少年たちよ?無言でジーっと見られていてはやりにくいだろう?」


しょ、少年?誰のことだ?


どう考えてもマスターとルース君のことでしょう?


そ、そうか。


ほら、早く答えないと無礼ですよ。


「その気持ちよくわかる思いますです!」


言葉遣いがおかしいですが?


仕方ないだろ!?

相手は王様だぞ?


私はお姫様ですよ?

慣れたものでしょうに。


ファーナは近所の姉ちゃん感が強すぎる。


誰が近所の姉ちゃんですか!


「あははは!カイ君何言ってんの!?」


「ぶはははははは!変な奴だ!」


俺の醜態を見た二人が指差して笑ってきやがった。


「俺だって緊張しますよ!ていうかクリス先輩はなんでそんなに親しげに話しているんですか!?」


「ボクが一年の時にこんな風に偶然会ってね?」


「懐かしいな。その後一年の部の優勝者として再会するとは思わんかったわ」


「ボクもだよ。表彰式で王様だって言われてビックリしたんだから!ていうかオーさんが王様だってすっかり忘れてたよ!」


「おいおい酷い話だな!」


お互いにうんうんと頷きながら昔話をすると、顔を見合わせて笑い合う。


親子か?そう思ってもおかしくないくらいの仲の良さだ。


「二人には改めて名乗らせてもらおう。フェルドランド王国の長であるオルドグラン・フォン・フェルディアだ」


「カ、カイ・グランであります!」


「ルース・ファクトです!」


「おお、君がファクト家の息子か。君の父エルヴィから話は聞いている」


エルヴィさん、王様との繋がりもあるのか……


「ち、父がですか?」


「うむ。可愛らしくて目に入れても痛くないとな。会うたびに話すものだから一度会ってみたいと思っていたのだ。なるほど、確かに愛らしい顔をしている」


「あ、あうぅ……」


ルースの顔は真っ赤に染まっていく。

まさか王様にまで息子自慢をしているとは思わなかったのだろう。


「そして君がカイ……ん?クリスの後輩でカイということは、もしかしてルードリア学園の首席か?」


「自分のことをご存知なので!?」


「このグランプリは毎年の楽しみなのでな。各学園の代表の情報くらいは目を通すのだ。それに君の召喚獣がリビングメイルというのが印象に残っていた。そんな低ランクの召喚獣で首席になったのは君が初めてだからな」


「カイ君もリビングメイルさんも強いよ!ボクと引き分けるくらいだからね!」


「なに?クリスと引き分け?」


「すごいでしょ!」


時間制限もあったし召喚獣も一体だけで対等に闘った訳じゃないんです!

と説明したいが、口を挟めない。


「うむ、君の闘いが今から楽しみだ。それにしても……」


「なに?」


オルドグラン陛下はクリス先輩のことをまじまじと見ると、


「ふふふ、ずいぶんと女らしくなったな」


「最初から女の子だけど!?」


クリス先輩を怒らせた。


「そういうつもりで言ったのではない。少女から女性になった、つまり大人になったと言いたかっただけだ」


「あははは、あれから一年も経つからね」


「いや、人を成長させるのは時間だけではないぞ?……だろう?」


「ななななななっ!?」


会話の一部を小声で耳打ちしたのでよく聞こえなかった。

そのため何を言われたのかは知らないが、クリス先輩の頬は赤くなっていく。


「図星か」


「し、知らないよ!オーさんのバーカ!」


クリス先輩はそう言うと足早に去って行った。

一国の王をバカと呼べるのはクリス先輩くらいだろう。


「な、何をお話ししたのですか?」


「秘密だ。それよりも二人とも付き合いたまえ」


「付き合う?」


「トイレだよ。連れションというやつだ、はははははは!」


こうして俺とルースは王様と連れだってトイレに向かうことになる。


……なんだこの状況?


マスター?


なんだ?


ションとはなんですか?


知らんでいい!

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