表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/31

呪術


多分、高野が犬や猫に囲まれていた訳では無いと、倉木は考えていた。きっと高野は、犬や猫を集めていたのだ。10日程前の会話が関係しているに違いないのだ。


10日程前の事である。倉木は高野と、ある都市伝説の考察をしていたのだった。其れは【蠱毒】と呼ばれる呪術、特に【犬神(いぬがみ)】や【猫鬼(びょうき)】に関する内容だったのだ。その会話の最中に、「興味がある。」と言っていたし、引きこもりである高野が積極的に外に出ていたのなら、時期的にも、高野が公園で犬や猫を集めていたと考えるのが正しい様に思える。


倉木からは溜息が零れた。


しかしー。

確信は無い。余計な事は言わない方が良いのだろうとー。

「それで、何か話したの?」と訊いた。


ううん。と千崎は答え、首を左右に振る。


「話せなかった…。遠くから見ていただけ…。実は…。私ね…。」

放課後の教室は静かだった。茜色の空は綺麗に夕空を染める。


少しの間を空けてー。

「中学の時から高野くんが好きだったんだ。」

と言った。


【恋は盲目】なのだなぁ。と倉木は思う。

冷静に視れば、高野がどんな人間なのか理解出来る筈なのだ。

高野は人非人である。俗に言う人でなしなのだ。

【恋は盲目】…。【盲目】…。

倉木の脳裏に10日程前のある会話の記憶が浮かぶ。


「【猫鬼】は猫の姿をしているのが多いんだけど、【犬神】は様々な姿があるらしいんだよ。例えば…。犬神の容姿は、若干大きめの(ねずみ)位の大きさで斑があってね。尻尾の先端が分かれ、土竜(もぐら)の一種であり【盲目】で、一列になって行動すると伝えられているね。」


あぁー。

恋も愛も…。人を想う事は【呪い】みたいなモノだな…。


倉木は何時(いつ)の間にか、思考の海を泳いでいた。



意識の遠くからー。

千崎の声が聞こえてくる。


「高野くんを好きな人、多いからなぁ…。あっ…。津坂那月(つざかなつき)ちゃんも、高野くんの事好きらしいよ…。」


【津坂那月】その名前が耳に触れるとー。

倉木は現実の世界へと戻されたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ