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複雑に入り組んだ迷路の様な…。
「ドッペルゲンガーは、【自己像幻視】【妄想性人物誤認症候群】【集団性心因性疾患】が絡み合った複雑で複合的な存在となるんだよ。そして…【くねくね】はドッペルゲンガーから派生した存在なのだろうね。違いは…。知っての通りだよ…。」
倉木はペンでノートに言葉を描きながらー。
其れを読み上げる。
「死ぬか…。気が触れるのか…。」
其処で言葉を区切り、少しの間を空けて…。
「何方にしろ脳からの警告だね。」
と言った。
図書室は潮風の香りに満ちている。
窓の枠の傍にいた蜻蛉は…。
何時の間にか居なくなっていた。
倉木はー。
千崎の瞳の奥を覗き込む。
千崎はー。
倉木の言葉に酔っていた。
酩酊したかの様に世界は廻る。
「幻覚を視るのは脳からの警告なんだよ。その世界は現実とは違う世界なのだから…。」
眩暈の様に視界は明滅する。
「そろそろ昼休みも終わるね…。教室に戻ろうか…。」
倉木は、千崎に優しく言葉をかける。
その言葉でー。
千崎の世界は元の姿を取り戻した。