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過去が改竄されて未来は変わる。


目覚めると私は…。病院のベッドで、横たわっていたのだった。頭は霞み、記憶は朧気になっている。記憶と云うのはそもそも曖昧なモノだ。その真偽は確かめようが無い。私が記憶している記憶は、その時の私の記憶で、現在の私が記憶した記憶ではない。だから差異があるのは仕様が無いモノなのだろう。


だけど…。

私の記憶はー。

所々が虫食いの様にポッカリと穴が空いていた…。

そんな気がする。

何故、そんな気がしているのか…。

穴の空いた箇所を埋めるかの様にー。

記憶が歪み、捻れている様に感じているからだった



私は登校拒否をしていた。理由は分からない。

まぁ。家庭の事情はあったのだけれどー。

ただ学校へ行く事が厭になっていたと思う。

その時の私は生きる事さえ億劫になっていてー。

身体も痩せ細っていた。


時折、中学の頃から仲良かった倉木(くらき)くんが家に来てくれて色々と話をしてくれていた。

多分、其れがあったから私は死ぬ事はしなかったのだろう。


確かあれは…。

私が此処にいる事になったのは…。


そうだ。久しぶりに倉木くんと公園で話そうとしていた時だ。

確か月ヶ岡公園で待ち合わせをしてー。

私は倉木くんとの約束の時間よりもかなり早く到着していて…。

不意にー。

誰かに声をかけられた。


振り向くと…。


津坂那月(つざかなつき)ちゃんと高野良彦(たかのよしひこ)くんがいた。

その2人は中学時代から度々、私に嫌がらせをする。


その時もそうだ。


突然に近付いてきたと思うと…。

私の方に歪に捻れた形の塊を投げてきた…。

ソレが小動物だったモノである事に気付いたのは…。

暫くしてからだったと思う。


私は過呼吸になり…。

胸が痛む。肩の筋肉は萎縮して手足は痺れた。

口周りの筋肉も萎縮して漏れる吐息は犬の鳴き声になった。


2人はそんな私の様子を見て嗤いながら去っていく。



私はその場に座り込み(うずくま)ってしまったのだった。

不安が私を包み込む。しっとりとした感覚が肌を包む。

触ってしまえば弾けて消える様な感覚だ。


辛いです。苦しいです。

いっその事、死にたいです。


意識が遠のくなか…。

聞き慣れた優しい声が聞こえた。


「大変だったね…。苦しかったね…。もう大丈夫だよ…。」

頭を撫でる優しい感触。背中を摩る優しい感覚。

それを最後に私の意識は途絶えたのだった。



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