時間軸
「まだ、少し混乱しているよね?」
倉木は訊いた。
千崎はまた頷く。
「こうすると分かりやすいかな?」
懐かしいでしょ?と云いながらー。
倉木はペンとノートを取り出した…。
其処に【言葉】を綴りー。
【言葉】を唱う。
【動物の残骸を使った虐め】
【殺人未遂】
【父親への圧力】
【不幸の手紙】
「これは、【呪い】による祟りや穢れでは無い。君に【嫉妬】した【人物】による穢らわしい犯罪行為なんだ…。」
倉木は吐息を零す。
「初め、其奴は君に【呪い】をかけようとした。でも【呪い】は失敗をしている。当の本人は、その事に気付いて無かったよ。まぁ。其奴に【呪い】の方法を教えた奴が…。」
倉木はまた吐息を零す。
「人非人。俗に云う人でなしだったのが不幸中の幸いだったね…。話してる最中に面倒になったからと、詳しい方法を教えてなかったんだよ。だけどね…。」
倉木の瞳は、少しずつ光沢を失う。
「偶然にも其奴は無意識に、君に違う【呪い】をかけていた。其奴の本性が、そうさせたのかも知れないけどね…。【不幸の手紙】が媒体となったんだよ。媒体は分かりやすく云うと、関係を取り持つ、橋渡しをするって事だね。【不幸の手紙】を読み、初めて君は其処で【畜生の呪い】をかけられていると思い込んでしまった。【犬神】【猫鬼】のね。」
時間軸にすると、こうかな…。そう云いながらー。
倉木はノート言葉を記した。
【猫鬼】
取り憑いた人間を殺すと共に、その人間の財貨を呪術を行使した人間の元へと運ぶ。
【犬神】
取り憑かれると、胸、手足の痛みを訴え、急に肩を揺すったり、犬の様に吠えたりする。人間の耳から体内の【内臓】に侵入し、憑かれた者は嫉妬深い性格になる。
「どうだい?君が調べたのと同じかな?」
「うん。同じ…。」
2人の声は帳に消えた。




