ある晴れた昼下がり。
「くねくねって知ってる?」
千崎ユキは、そう言うとー。
倉木英知の対面の椅子に腰を掛けた。
ある晴れた昼下がりの図書室の出来事だ。
千崎も倉木も月ヶ岡高等学校に在学している2年生である。
月ヶ岡高等学校は、都内にある高等学校で、周辺には様々な施設が隣接している。ショッピングモール、広大な公園、スポーツ施設、リゾート施設。病院。近くには海があり、潮の香りが風に紛れて運ばれてくる。有名な進学校だ。
「くねくね?あぁ。都市伝説の話の?」
倉木は言葉を返す。
「そうそう。都市伝説の…。少し前に動画とかで見たんだけど…。ああいうのって存在するのかな?」
千崎は机に身を乗り出すと興奮気味に質問をした。
倉木は千崎の方を見ることも無くー。
本を読みながら言葉を返す。
「存在するよ。」
「えっ?いるの?何で知ってるの?見たの?」
千崎は矢継ぎ早に質問を投げ掛ける。
倉木は呆れながらも、深く呼吸をして本を閉じた。
そして千崎の方へ向き直る。倉木の瞳に千崎の姿が映った。
大きな瞳に高い鼻梁。シャープなフェイスライン。キメ細やかな白肌。艶やかな黒髪。彫りは深くエキゾチックな顔立ち。身長166cmで体重46kgと云う誰もが羨む様なスタイルだった。日本人離れしているのは、北ヨーロッパのクォーターだからである。その上、美声の持ち主で、歌手を夢見ているのだった。
「存在はするね。でも僕は見てはいないよ。だって…。見たら精神に異常をきたすからね。まぁ。ドッペルゲンガーの派生みたいなものだよ。ドッペルゲンガーは見たら死ぬけどね。」
倉木は欠伸をしながら言葉を紡いだ。
「あれれ?ドッペルゲンガーは自分と同じ姿の分身でしょ?くねくねとは違うんじゃないの?だってくねくねは白い形をした得体の知れないモノだよね?」
「ん?姿形は違うけど、同じモノだよ。幻覚だから…。」
倉木は、そう言うと…。
また欠伸をした。