深海にいる…。
レヴィアタン
【ねじれた】
【渦を巻いた】と云う意味。
ヘブライ語が語源。
七つの大罪に於いてー。
【嫉妬】を司る悪魔とされている。
また、嫉妬は動物で表された場合は蛇となりー。
レヴィアタンが海蛇として描かれる場合の外観と一致する。
私は、学校へ行かなくなった…。
行けなくなったと云った方が正しいと思う。
総てが怖かった。視線も陰口も何もかもが怖くなった。
胸の痛みも、手足の痛みも酷くなり生活にも支障をきたした。
肩の痙攣も酷くなりー。
私の美しかった声は無くなってしまったのだった。
ソレよりも怖かったのは…。
私の心だった。
澱んでしまった私の心がー。
周りの人を傷付けてしまいそうだったから…。
羨ましかった。妬ましかった。
私以外の誰かがー。
笑顔でいる事も。健康な事も。恋愛している事も。
何もかも。何もかもが…。
羨ましくて、妬ましくて、暗い海の底から見上げていた。
深海にいる。そんな感覚で私は満たされていく。
そう。深海だ。
水は冷たく私の心をも凍らせていく。
視界は暗黒に包まれて、何も視覚出来ない。
低酸素状態は私の呼吸を荒くさせた。
高水圧の環境は、私の心も身体も圧迫していく。
私はマーメイドになりたかった…。
美しい容姿と歌声で魅了したかった…。
魅了したかった?
誰を?
そうだ…。
私は高野くんに愛されたかったんだ…。
それなのに…。
高野くんは私を見てはくれなかった…。
会いたくて会いたくて、仕方なくて…。
幾度も幾度も、会いに行ったのに…。
1度だって…。
顔も見せてはくれなかった…。
だけど…。会えなければ会えない程に…。
また愛してしまう…。
でも…。
会ったところで…。
私にかけられた【呪い】はー。
きっと高野くんをも傷付けてしまう…。
寂しい。暗い。侘しい。悔しい。
羨ましくて。妬ましくて。愛して欲しくて…。
様々な感情が渦巻いた…。
私は、その渦に巻き込まれて…。
徐々に。徐々に。もっと深い海に沈んでいく。
徐々に。徐々に。水は冷たく。
徐々に。徐々に。視界は暗く。
徐々に。徐々に。呼吸困難になり。
徐々に。徐々に。水圧で変化していく…。
気付くとー。
私は悍ましい怪物に変わり果てていた。




