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この物語は悲劇となる
想いが溢れて…。
私は涙を流していた…。
きっと最後は歌にはなっていなかったと思う。
静まり返る会場。聞こえるのは私の呼吸音。
会場と云う水面は波も無く、音も無い。
でも…。
ソレは束の間の事だった。
会場と云う水面の1点から拍手が湧き上がるとー。
それは波紋を呼び、周囲に伝播した。
鳴り止まない拍手が降り注いだ。
私はー。
その雰囲気に後押しされてー。
何を思ったのか…。高野くんの方へと歩み寄った。
高野くんの前で私は立ち止まるー。
ソレに気付いた高野くんからー。
「綺麗だったよ。」
と声をかけられた…。
鳴り止まない拍手の中…。
私はー。
ただ幸福の中にいた…。




